「国産ブレンドなたね油」がリニューアル! 国産なたねのブレンド率を10%から30%にアップします
春のなたね畑(北海道 2017年5月撮影)
長く組合員に親しまれている定番の生活クラブ消費材「国産ブレンドなたね油」は、これまでオーストラリア産NON-GMなたね90パーセント、国産なたね10パーセントのブレンド率でした。
生活クラブは、GMなたねの広がりにストップをかけ、国産なたねの生産量を高めるよう各方面に働きかけてきました。ここ数年、なたねの主産地である北海道での作付け面積が広がり、2017年秋の収穫量が大幅に増えたことから、「国産ブレンドなたね油」の国産なたねブレンド率を10パーセントから30パーセントにアップします(2018年3月から)。
GM原料を使わない生活クラブのなたね油を、おおぜいの組合員が利用し続けることで、国内・国外の両方でNON-GMなたねの生産を支えることができます。さらに、国内での農産物の生産継続を支え、食料自給率を上げることにつながります。
GMなたねへの依存にNOを
春を知らせる一面の黄色い花。菜の花畑は、かつてはいたるところで見られる風景でした。町や村には、農家から集められたなたねやごまを搾って油を製造する小さな油工場もありました。そうした工場で作られる油は、貴重な食用油として、特になたね油は灯りの燃料としても大事に使われ、搾りかすは質のよい肥料として地域で循環してきました。
ところが大手製油メーカーが大規模な生産を始めた1950~60年代からは、大量生産された安価な食用油が流通し、1971年のなたね輸入自由化以降、外国産のなたねが安く大量に輸入され、国産なたねの生産量は激減。菜の花畑はしだいに姿を消しました。
近年では、なたねの自給率は0.1パーセントほどで、ほぼ全て輸入GMなたねによってまかなわれているのが実情です。さらに、消費者が手にする食用油の原材料表示には、GM原料使用の表示義務はないので、消費者にとってはGM原料由来の油であるかどうかが読み取れないという問題があります。
国産なたねの作付けが広がり、生産量も上昇
生活クラブでは、輸入なたねの産地であるカナダ・オーストラリアに対して、NON-GMなたねの使用を継続する意志を伝えてきました。しかし主な輸入先だったカナダでは、GMへの切り替えが進んだためNON-GMなたねの調達が難しくなり、輸入先をオーストラリアに変更しました。オーストラリアでもGMなたねの作付けがしだいに広がってきています。
国産なたねの生産についても、生活クラブは産地・提携生産者等とともに「生活クラブ国産なたね協議会」を設置し(2005年)、産地での安定生産を支える農業政策を進めるよう働きかけてきました。近年では交付金の後押しもあり、作付け面積が広がっています。
2017年秋、北海道の産地では天候にも恵まれ豊作となったため、消費材への国産なたねブレンド率を10パーセントから30パーセントに上げることにしました。組合員価格は据え置きとし、今後も利用を継続して増やすことで国産なたねの消費量を増やします。
化学合成薬品を使わない「湯洗い洗浄」
消費材の「国産ブレンドなたね油」と「国産100%なたね油」は、ほんのり緑がかった黄金色をしています。緑色の正体は、なたねに含まれる葉緑素の色。化学合成薬品を使った抽出や精製を一切行なわない「一番しぼり」だからこその、自然のままの色なのです。
一般的には、原料から油を搾るときに「ノルマルヘキサン」という溶剤が使われます。溶剤を使うことで、原料に残る油は最後まで搾り取ることができて生産効率が高まります。さらに油の不純物を取り除く精製方法も、リン酸水・苛性ソーダ・活性白土などの化学合成薬品を使うことが製油業界では一般的な方法です。
しかし提携生産者の米澤製油では、「安心で安全な油を作りたい」という考えから、溶剤などの化学合成薬品を使わない搾油方法・精製方法にこだわって生産を続けています。
圧搾機内部。圧力をかけて搾られる「一番しぼり」なたね油。
搾油方法は原料に物理的な圧力をかけて搾る「圧搾」のみです。精製方法は、油をお湯と混ぜて遠心分離機にかけ、不純物をお湯に溶け込ませて「洗浄」するという「湯洗い洗浄方式」を世界ではじめて開発し、製法特許を取得しました。
搾油・精製の工程で化学合成薬品を一切使わないなたね油は、市場では希少な存在です。NON-GM原料というだけでなく、製造方法にも「安心・安全」を第一とする製法で作られた食用油です。
湯洗い洗浄後、ろ過して不純物が取り除かれたなたね油。
精製されたなたね油を缶に充填、消費材として出荷されます。
消費材「なたね油」の利用で国産なたねの安定生産を支えます
現在、消費材のなたね油の国産原料の産地は、北海道と青森が中心です。両産地では、水田からの転作や、連作障害を避けるため複数の作物をローテーションする輪作体系のひとつとして栽培されています。青森はジャガイモ、北海道は大豆・小麦・そば・ビート等との輪作です。農家にとっては、なたねは作付け後の手入れも比較的負担が軽く、既存の設備も流用しやすく、次の作物の施肥量も減ることから輪作に取り入れるには魅力のある作物です。
しかし、生産コストも含めて農家の収入が保障される条件がなければ、栽培の継続は難しくなってしまいます。生活クラブの「なたね油」をおおぜいの組合員が将来にわたって利用し続けることで、自給率向上と国産なたねの安定生産につながります。
NON-GM原料の一番搾り、湯洗い洗浄で作られる消費材「国産ブレンドなたね油」と「国産100%なたね油」。これからもおおぜいの組合員で利用し続け、国産なたね・NON-GMなたねの生産を支えます。
【2018年2月26日掲載】