紀伊半島の青果の生産者が集まって、新たな生産者組織を設立しました ─生活クラブは生産者とともに持続可能な農業をめざします─
KARP取締役のみなさんと、組合員を代表して総会に参加した増田和美さん(左から4番目)
日本の農産物の産地では、農家の高齢化や後継者不足などが問題になっています。それは生活クラブの提携生産者も例外ではありません。これからも安心でおいしい農産物をつくり続けるため、紀伊半島でみかんをはじめとした農産物をつくる4つの生産者団体は協同して、新たに(株)紀伊半島エリア再生産組織(略称:KARP*1)を結成しました。2018年5月11日に奈良県で設立総会が行なわれ、4団体の代表をはじめ、生活クラブの組合員代表、その他関連する行政や教育機関の代表など約50名が参加。持続可能な農業に向けて、生活クラブは食べて消費することを通じてこの取組みを一緒に進めます。
*1 KARP(カープ):Kiihantou Area Re Production
これからも農業を続けられるように生産者が集結
紀伊半島は、生活クラブの農産物の重要な産地です。とくに和歌山県でみかんなどをつくる農事組合法人紀州果宝園や和光農園グループ、奈良県で梅を生産する農業生産法人(有)王隠堂農園とは30~40年の提携の歴史があります。生活クラブと各生産者は直接結びつき、おいしくて安心な農産物の生産と消費を続けてきました。
しかし近年は農家の高齢化や後継者不足、産地の人口減少が問題になっています。生活クラブの提携生産者も例外ではありません。紀伊半島の生産者は、農業をこれからも続けられるようにするには生産者どうしの連帯が必要だと考えました。そこで旬彩くまの(和歌山県)*2をふくめた4つの生産者団体は、新たに(株)紀伊半島エリア再生産組織(略称:KARP)を設立。持続可能な農業に向けて新規就農者や後継者の育成、栽培技術の向上、物流の合理化などを進めていくことにしました。
*2 旬彩くまの:王隠堂農園の関連会社の(株)オルトと提携する生産者。ピーマンなどを生産しています
生活クラブは食べることでKARPの活動に参加します
議案を討議する生産者のみなさん
KARPの設立総会には生活クラブの組合員代表として、生活クラブ東京副理事長の増田和美さんが参加。「後継者不足などの課題に対して生産者が集まって解決しようと決断されたのは、たいへんすばらしいと思います。未来の子どもたちのためにも、ぜひ持続的な農業を実現してください。生活クラブは組合員が増えており、おおぜいの食べる力で生産者が元気になる活動を進めていきたいと思います」と挨拶。
KARPの代表になった内芝和哉さん(和光農園グループ)は、「4つの団体でそれぞれの優れた点を吸収し合い、他の生産者のモデルになるような産地づくりをめざします。そして10年先、20年先も生活クラブの組合員のみなさんに、おいしくて安心な紀伊半島の農産物を届けていきたいと思います」と語りました。
生産者が新たな活動を始める時、確実に食べてくれる人や組織があると大きな支えになります。KARPがめざす持続可能な農業に向けて、生活クラブは消費を通じてこの取組みをともに進めます。
行政とも連携してKARPは農業を志す人を応援
来賓で挨拶した奈良県の五條市教育委員会の堀内伸起教育長は、「市には、五條市立奈良県立五條高校賀名生(あのう)分校という農業専門の高校があります。KARPのみなさんには、ぜひ生徒に農業を学ぶ機会を与えてほしいと期待しています。そして地域の農業に貢献できる人を手を携えて育てていきたいと思っています」と述べました。
五條市からの農業実習の受入れ要請はすでに王隠堂農園にあり、実習はもちろん、希望があれば卒業生の就農も王隠堂農園は受け入れる方針です。KARPも五條市と連携して、今後、就農希望者などの受入れを検討していきます。
KARPは最初のステップとして「生活クラブみかん生産者部会」を設けて生産をひとつにまとめ、みかんの生産者や生産量の拡大をめざします。
9月には早生の温州みかんの収穫が始まります。生活クラブは組合員どうしで呼びかけ合って、みかんの利用を進めていきます。
KARP代表の内芝和哉さんの抱負や、生活クラブ東京副理事長の増田和美さんのKARPへ寄せる期待など、それぞれの思いを後日お伝えする予定です。
【2018年5月18日掲載】