【遺伝子組み換えコラムvol.1】そもそも、遺伝子組み換え作物ってなんだろう?
生活クラブは1997年以来、遺伝子組み換え作物(Genetically Modified Organisms=GMO)を取り扱わないことを基本にし、すべての消費材の原材料から家畜のえさまで見直し、GM作物を使わないよう対策を行ってきました。
なぜそういった対策が必要なのか、そもそも遺伝子組み換えとはどんなものなのか、どんな問題があるのかなど、このコラムではシリーズで一つひとつ解説していきます。
今回は、遺伝子組み換え作物とはどのようなものか、日本でどのように扱われているのかをお話します。
第1回 そもそも、遺伝子組み換え作物ってなんだろう?
これまでの品種改良とは違う 遺伝子組み換え技術を使用した品種改良
遺伝子組み換えが行われるようになる前、新しい品種をつくるには、異なる性質を持つ同種の作物を掛け合わせるのが一般的でした。例えば寒さに強くおいしい品種をつくりたい場合、同種の作物での交配を繰り返し、求める性質が出現して定着するまで、栽培環境や生理などに適応させながら、つくり出していました。
それに対し遺伝子組み換えは、改良したい品種の遺伝子そのものを組み換える技術で、他の生物由来の遺伝子を導入するなどして、新たな品種をつくるもの。現在、海外では他の生物由来の害虫や除草剤に強い遺伝子を導入したものが開発・栽培されています。ただ遺伝子組み換え技術そのものは実はまだ不安定なもの。そのため、偶発的に予想外の性質をもつ品種が生まれてしまう可能性が危惧されています。
日本に輸入されているGM作物とその流通量は?
このうち、アメリカ、ブラジル、カナダ3国からの輸入が98%。この3つの国でつくられる大豆は、90%以上が遺伝子組み換え大豆です。この事実から考えると、日本で流通している大豆の8割以上が遺伝子組み換えではないかと言われています。
▲農林水産省食料需給表及び国立研究開発法人農業生物資源研究所遺伝子組換え研究センターWEBサイトより作成
遺伝子組み換えは、生物や環境に影響を与える可能性が
先に紹介したように、従来の品種改良では同種の作物同士で交配していたのに対し、遺伝子組み換え作物は、他の生物の遺伝子を入れるなど、種を超えた操作が人為的になされています。これは、自然界ではありえないことです。
このように遺伝子操作された作物が、例えば50年先、100年先の自然界に与える影響については確かめられていません。私たちの孫やその先の子どもたちに対して、どのような影響が出るかは、誰にもわかりません。
実験動物に遺伝子組み換え作物を与え続けた結果、健康への影響が出たという実験結果も報告されています。人体へどんな影響があるかは未知数で、その安全性に対してまったく問題ないと断言できないのが現状です。
また、遺伝子組み換え作物が自然環境に出てしまうと、在来種との雑種が出現する可能性が。本来自然界にないものが生まれ、繁殖してしまった場合の環境への影響は計り知れません。
日本における遺伝子組み換え食品の表示は不十分
このような状態では、遺伝子組み換え食品かどうか、きちんと判断できません。
生活クラブでは、1997年から遺伝子組み換えに反対
生活クラブでは、1997年1月に「遺伝子組み換え作物・食品は取り扱わないことを基本とする」「やむを得ず使用する場合は、情報を公開して取り組む」と決定しました。これを実践するため、提携生産者と協力。すべての消費材を見直し、遺伝子組み換え食品・飼料・添加物などを取り除くことと、どうしても使用しなくてはいけない場合の独自表示を進めてきました。
現在、微量原材料(仕込み重量割合で5%未満)にいたるまで、対策を実施しています。遺伝子組み換え作物が原材料に使われる可能性のある品目1,598品目のうち85.9%(1,372品目)が対策済みで、残りの226品目のうち204品目が酸化防止剤のビタミンEやビタミンC、香料の抽出に使われるアルコールなど特定の微量原料の「1%未満要対策」となっています(2017年3月末現在)。
またカタログでは、マークで対策状況を掲載。GM対策の状況は、対策済と要対策の2種類のマークで「食べるカタログ」やインターネット注文(eくらぶ)に明記しています。
【2018年8月28日掲載】