これからも東日本大震災からの復興を支援します
2011年3月11日の東日本大震災、東京電力福島第一原発事故で被災された方々に対し、生活クラブは復興支援カンパをもとに息の長い支援を続けています。そして、今回2018年7月5~8日の西日本豪雨、9月4~5日の台風21号、9月6日の北海道胆振東部地震についてもカンパを実施し、被災された方々を支援しています。2017年度からこれまでのカンパの報告と支援についてお知らせします。
*上画像はクリックすると拡大します。
2017年度の東日本大震災復興支援カンパ(第7次カンパ)には、3,255万4,000円が寄せられ、[表1]のような活動に使用しました。また2018年3月から4月にかけて募った第8次カンパには、3,713万500円が寄せられました(9月30日現在)。2018年度のカンパ使途計画に基づいて活動していきます[表2]。
<甲状腺検査活動報告会>
2017年で6年目。続けることでわかってくることがあります
福島第一原発事故で放出された放射性ヨウ素による子どもの甲状腺がんが危惧されるなか、生活クラブは独自の甲状腺検査活動を毎年行なっています。2017年度の検査結果の報告会を2018年9月8日に開催しました。
甲状腺検査活動報告会には組合員など65人が参加しました
2017 年度も745人の子どもが受診
福島第一原発事故から約7年半。事故当初に拡散された放射性ヨウ素による影響で、子どもの甲状腺がんの発生が心配されています。生活クラブは子どもたちを守るとともに、福島県の県民健康調査との比較や監視のため、2012年度から甲状腺検査活動を各地で行なっています。
2017年度は21地域の生活クラブで60ヵ所の医療機関の協力を得て、745人の子どもが受診。検査を監修する松崎道幸医師(道北勤医協・旭川北医院)は北海道胆振東部地震のために参加できませんでしたが、「生活クラブの検査は福島県の検査よりも、小さな結節やのう胞をしっかり発見しており、ていねいに検査されている可能性を示しています」と評価しています。
ふだんの甲状腺データを集めることが大事
報告会では会津放射能情報センターの代表などを務める片岡輝美さんの講演を行ないました。「福島では、家を除染した際にいったん庭に埋めた汚染土を、掘り起こして他の場所へ移し替える作業が行なわれています」と片岡さん。また、放射能を常時監視するために設置されたモニタリングポストを「一定の役割を終えた」と原子力規制委員会が撤去する方針を示し、それに対して多くの人が「まだ事故は続いている」と反対しているとの報告がありました。講演はふだん知ることの少ない福島の現状を知る貴重な機会となりました。
片岡輝美さん。子ども脱被ばく裁判の会、モニタリングポストの継続設置を求める市民の会の共同代表もされています
また甲状腺検査活動を続けていく方針について、生活クラブ栃木の渡部加奈子さんは「原発事故はいつどこで
起こるかわかりません。万が一に備えて、ふだんの子どもの甲状腺データを集めておくことは重要です。検査活動の価値を多くの組合員に伝えたい」と語りました。放射能による子どもの甲状腺がんは数年経ってから発症したり、結節などの大きさが変化したりと、まだわからないことが多いのです。だからこそ、子どもを守るために検査を続ける意義があると生活クラブは考えています。
生活クラブ栃木の渡部加奈子さん
<子どもたちのリフレッシュツアー>
放射能の影響を忘れて身体も気持ちものびのび
復興支援カンパをもとに各地の生活クラブは、福島県や栃木県の子ども・家族を招いたリフレッシュツアーを行なっています。短い期間でも子どもたちが放射能の心配のない地域で保養することは、外部・内部被ばくを減らしたり気持ちをリフレッシュする効果があります。今年も13 地域の生活クラブで合わせて16ツアーが行なわれ、子どもたちは外遊びを楽しむとともに、親たちは組合員同士で福島や栃木の現状を話し合い、共有する機会になりました。
参加者のメッセージ
滋賀…福島へ心を寄せてくださる方々が遠く離れた滋賀にいると実感でき、励まされました! 福島で元気に生きていくエネルギーになりました。
愛知…子どもたちはいつもはできない砂遊びや、芝生に寝転んでのお昼寝などを思い切り楽しんでいました。外遊びをさせてあげることができて、親も解放されました。
支援団体からメッセージ
―みなさんの支援で活動を続けています―
生活クラブは震災当初から共生地域創造財団(下記参照)を通じて物資などを支援。2018年春にはWEB 限定品として、うみねこが作る「いちじくの葉茶」を共同購入しました(一部地域を除く)。
いちじくの木に願いを込めて
代表の八木純子さん
震災前からあったいちじくの木。津波による塩害にもかかわらず、2年目になんと実がなりました。元は漁師で仕事がなくなったお父さんたちに「女川に農家はないから新たな産業を作ろう!」と、声をかけて始めたのがいちじくなどの畑仕事です。最初は高齢者の生きがいづくりが目的でしたが、若者が働く場が少ないことに気づき「夢を持てるような働き方、仕事場を作ろう」と、4年前から若い人にも声をかけています。
現在、うみねこは高齢者だけではなく、30代前半の男女3人が農業や商品づくりに汗を流しています。それを販売して収入を上げて新たな仕事や生きがいを作り、女川が生き生きとした街になること、そして子育て世代が安心して働ける場所にしたいと思っています。
私たちが作る「いちじくの葉茶」はミネラルが豊富でカフェインレス、女川の風景のように素朴でとても飲みやすいお茶です。機会がありましたら、ぜひ飲んでみてください。
いちじく畑の前で、八木さん(左)とスタッフのみなさん(写真左)、いちじくの葉茶(写真中央)、唐辛子も栽培しています(写真右)
東日本大震災をきっかけに被災者支援のため、生活クラブとグリーンコープ共同体、NPO 法人ホームレス支援全国ネットワークの3 団体で2011年に設立。熊本地震や西日本豪雨災害の支援も行なっています。
被災者の課題に合わせた支援を
事務局長の石井優太さん
共生地域創造財団は宮城県石巻市、岩手県大船渡市、大槌町に拠点を設け、被災者の生活再建を支援しています。被災地では仮設住宅の撤去が進む一方で、引っ越しがむずかしい人もいます。その人たちが抱えている課題は生活困窮や、認知症を患いながらの一人暮らしなどさまざま。財団は一人ひとりの課題に合わせて制度の利用や就職活動、行政手続きなどを支援しています。
これらは震災前から起こっていた課題であることが多く、今後も再発や悪化が予想されます。課題が再び埋もれぬよう、地域での支え合いのしくみや担い手づくりに取り組んでいきます。
お金の課題を抱えている人には家計が安定するまで、食料支援も続けています
福島第一原発事故後に甲状腺がんと診断された子どもへ療養費を給付する団体。これまでに16都県の子ども120人を支援(2018年3月現在)。生活クラブは2018年度も100万円を寄付します。
医療相談を希望する声に応えて
3・11 甲状腺がん子ども基金は生活クラブをはじめとした全国からの寄付によって、2017年度はあらたに、再発や転移などで再手術する子ども(事故当時18歳以下)への医療費の追加給付をすることができました。また、給付を受けた人からの医療相談を希望する声に応え、日本女医会東京都支部連合会の協力を得て、電話での個別相談を実施。原発事故後の健康に不安がある人を対象にした「1日無料電話相談」も2回行ないました。生活クラブふくしまとの共催でコンサートとおはなし会を開催し、甲状腺のはたらきを多くの人に知ってもらう活動もしています。
甲状腺がんなど、健康への不安に医師が応える無料電話相談を実施
西日本豪雨・台風21号・北海道地震カンパへのご協力ありがとうございます
8月4回の注文から西日本豪雨災害へのカンパを呼びかけていた矢先、台風21号、北海道胆振東部地震が相次いで発生。3つの災害への支援カンパとして10月4回まで延長しました。寄せられたカンパは西日本豪雨・台風・北海道地震の支援へ振り分けます。カンパの使途は生活クラブ連合理事会で責任をもって決定し、2019年3月発行の復興支援ニュースでお知らせする予定です。
西日本豪雨災害への支援
西日本ファーマーズユニオン愛媛(無茶々園・西予市)*写真左
倉庫に土砂が流れ込んだり、みかん山で土砂崩れが発生しました。生活クラブは救援物資を届けました
豊共園(和歌山県海南市)*写真右
関西の生活クラブの生産者のみかん山が崩れ、エスコープ大阪や生活クラブ大阪、生活クラブ都市生活が土砂の撤去作業などの支援を行ないました
台風21号・北海道地震への支援
提携生産者へのお見舞い、被災地への支援金などを予定します。
王隠堂農園(奈良県)*写真左
強風で柿の木が根元から倒れました
古川りんご園(青森県弘前市)*写真右
台風21号で木が折れたり、約2割のりんごが落下しました
★『生活クラブOPINION 復興支援ニュース』2018年11月4回号の記事を転載しました。