【放射能検査なるほどコラム】すくすくカタログ掲載食品「不検出」その舞台裏、教えます!
生活クラブでは2016年4月から、放射能の自主基準値をそれまでの半分以下へと大幅に引き下げました。中でも注目されるのは、毎日の子育てを応援する「すくすくカタログ」に掲載の食品は、すべて「不検出」を基準としたことです。このトピックについて詳しくご紹介します。
基準値「不検出」までの準備期間
「すくすくカタログ」の創刊は、今から約1年あまり前の2015年4月。実は、自主基準改訂前のこの時期からすでに、「すくすくカタログ」に掲載する乳児用食品(粉ミルクやベビーフード)については、検出下限値の目標を1Bq(ベクレル)/kgと、厳しい基準に設定して測っていました。そして2015~2016年の1年かけて、確実に「不検出」という結果を重ねていたのです。こうした準備期間を経て、2016年4月に、すくすくカタログ掲載食品については検出下限目標値1Bq/kgの計測で「不検出」という自主基準を打ち出すことになりました。
「低い検出下限値」+「不検出」だから意味がある
この「不検出」という基準は、計測時の検出下限値の目標を低くすることとセットでないと意味がありません。検出下限値というのは測定の限界の値のことを指すので、例えば「5.5Bq/kgの検出下限値で不検出」となった場合は、5.5Bq/kg以下の放射性物質が含まれている可能性は残ることになります。「すくすくカタログ」では、その検出下限値の目標を1Bq/kgと非常に低く設定しているので、「不検出」にも大きな意味があるのです。(生活クラブでは「飲料水」「牛乳(原乳)」「米」についても、検出下限値の目標を1Bq/kgとしています。)
子どもに食べさせるものは安心・安全であってほしい
「不検出」という厳しい自主基準を設定することになった背景には、「やはり子どもに食べさせるものは限りなく安心・安全であってほしい」という親の願いと、その願いに応えたいと考える生活クラブの姿勢があります。
国が定めた放射性セシウムの基準値を見ると、乳児用食品の区分では50Bq/kgとなっています(一般食品は100Bq/kg)。この値も国として食品の安全と安心を考えた設定ですが、生活クラブでは、さらにできる限りの安心を追求したいと考え「不検出」を基準値としました。お母さんたちが子どもの食べもののことで不安になったり、あとから自分を責めたりすることがないように、というのが私たちの願いです。
たまごボーロは検査の難敵!?
「すくすくカタログ」に食品が掲載されるまでの流れですが、だいたい3カ月ぐらい前までに掲載予定品目が決まります。半年以内に検査が行われていない消費材については検査を行ない、すべてきちんと「不検出」の結果が得られたことを確認したうえでカタログに掲載となります。
すくすくカタログ掲載食品の検査は、基本的に新しく導入したゲルマニウム半導体検出器で行っています。検出下限目標値1Bq/kgの検査には2ℓの検体が必要なので、例えば容量がとても少ないベビーフードなどは、1回の検査のために20個ほど用意しなければなりません。また検査に意外と苦労するのが子ども向けのお菓子。特にたまごボーロは、固くて崩れにくく空気がなかなか抜けないので、検体を入れる容器にぎゅっといっぱいに詰めるのがとても手間がかかったという裏話があります。
小中学生がいるご家庭でも目を通すと役立ちます!
「すくすくカタログ」は乳幼児のいる家庭向けのカタログと思っている方もいるかもしれませんが、掲載されているのはベビーフードや粉ミルクだけではありません。カタログを見ると、肉類や加工食品など小中学生の食事に登場するような消費材もたくさん紹介されています。これらはすべて検出下限目標値1Bq/kgの厳しい検査で「不検出」となった食品ということ。ですので、乳児や幼児のいる家庭でなくても、届いたすくすくカタログにさっと目を通して「ああ、こんな食品が『不検出』なんだ」と確認し、役立ててもらえるといいですね。
~たとえば8月の「すくすくカタログ」では、こんな消費材が登場します。~
- ・8月1回 餃子の皮2袋、ごま油500g、ミックスチーズ、低脂肪牛乳1000ml
- ・8月2回 国産十割こうじみそ・袋、マヨネーズ、ナン、豚肉切り落とし300g
- ・8月4回 鶏肉ムネ250g、焼き肉のたれ、食酢
- ・8月5回 まぐろ油漬缶4缶組、手延べそうめん、小粒カップ納豆(カジノヤ)
これらは、ぜんぶ検出下限目標値1Bq/kgで「不検出」です。
【2016年7月25日】