工作で自然エネルギーが身近に。夏休みの「親子講座」レポート
生活クラブでは、原発のいらない社会をめざし、「減らす」(省エネをすすめエネルギーの使用を減らす)、「つくる」(自然エネルギーをつくる)、「使う」(自然エネルギーを選択して使う)を3つの柱として活動をすすめています。こうした活動の一環として各地で組合員向けに開催されているのが、エネルギーについて学べる「省エネ講座」。今回は、夏休みの時期に開催された親子向け講座の様子をご紹介します。
子どもにも親しみやすいアニメなどを使いエネルギーについて解説
東京都の23区南生活クラブのまち渋谷が開催したこの日の講座は、「親子でつくる自然エネルギー工作」。身近な材料を使った工作を親子で作りながら、風力発電、太陽光発電などの自然エネルギーについて学ぶことができる講座です。この日は講師に鈴木伸予さん(一般社団法人グリーンファンド秋田 事務局長)を迎え、ペットボトルを使った風力発電作りに挑戦する内容。夏休みの自由研究にもピッタリということで、会場の渋谷区文化総合センター大和田の学習室には、たくさんの親子が集まりました。
まず最初に、講師の鈴木さんより、自然エネルギーと省エネの大切さについてわかりやすい解説がありました。鈴木さんが「みんなエネルギーって知っているかな?テレビやゲームはどんなエネルギーで動きますか?」と問いかけると、子ども達から「電気!」「電池!」という元気な声が。「では自動車は?」「ガソリン!」…そんなやりとりのあと鈴木さんは「エネルギーの中でもガソリンや石油や石炭や天然ガスは地下から掘り出す化石燃料といって、燃やすと地球がどんどん暑くなってしまうんです。それで今、エネルギーを化石燃料じゃないものに切り替えようという動きが出ています」と、地球温暖化の問題とエネルギーの関係についてわかりやすく触れました。
その後、短いアニメーションを上映。化石燃料を食べて動く恐竜と、風や太陽や水や植物や地熱をエサにするドラゴンのストーリーで、地球が温暖化に至ってしまう原因や、自然エネルギーの大切さが伝わるものです。物語仕立てでとても分かりやすく、子ども達はもちろん、大人も引き込まれていました。
ペットボトルを使った風車づくりで自然エネルギーを実感
自然エネルギーと省エネについて学んだあとは、お待ちかねの工作です。ペットボトルを切り開いて風車の羽根を作る工程では、ハサミを慎重に動かして切る子、大人の助けを借りながら進める子、みんな真剣なまなざしでした。できた風車を発電のキットと組み合わせて、うちわでパタパタと風を送ると…風車が回り出し、LEDランプが赤く灯って「ついたー!」という歓声が。ペットボトルの種類や羽根の長さや開き方によっても回り方が違うそう。ランプを点灯させたくて、うちわを全力でパタパタさせる子どもの姿があちこちに。ランプをつけるためにはかなり風を起こさないといけないことも、子ども達は実感できたようです。講師の鈴木さんが「風で電気を起こすってけっこう大変だってわかりますよね」と声をかけていました。
風力発電機を完成させて、満足げな表情や、「めっちゃ大変だった!」「疲れた!」なんていうにぎやかな声も。鈴木さんからは、規模は違うけれどペットボトルの風車も風力発電であること、発電に使うような大きな風車は、さらにギアを使って力を上げて発電機を回していることなどについて解説がありました。目に見えにくい「自然エネルギー」の存在を、親子での楽しい工作でより身近に感じられたのではないでしょうか。参加した親子からは、「よい経験になった」「環境問題を楽しみながら学べてよかった」などの感想も出ていました。
親子向け講座を通して感じる「伝える大切さ」
講座の主催である「まち渋谷」の住吉夕香さんと上園美穂子さんにもお話を聞きました。他地域の生活クラブで同様の講座を開催しているのを知って、楽しそうだと思い今回企画したそうです。人数も集まり、関心の高さを感じたとのこと。「アニメーションは子どもも真剣に見ていたし、親にも勉強になる内容でよかった(上園さん)」「この講座を通して自然エネルギーのことが子ども達にわかりやすく伝わっているといいなと思います(住吉さん)」と話してくれました。
生活クラブの省エネ講座には、このような親子向けのものもあります。今後も組合員同士で自然エネルギーや省エネの大切さについて学び、広める活動を続けながら、持続可能な自然エネルギー社会をめざしていきたいと生活クラブは考えています。
【2018年9月10日】