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「子どもが育つ、子どもと育つ、子どもを育てる」  生活クラブ大阪「里山のがっこう」

「食と子育ては生協運動の2本柱」という考えのもと、生活クラブ大阪(本部・大阪府茨木市)では毎年、子どもたちのための「里山のがっこう」を通年で開催する。年間を通じさまざまな行事が催され、大人も子どもも共に育つ場となっている。

「遊びほうけられる」場所

森の中を流れる川で。子どもたちは「自由になんでもできるのがおもしろい」とさまざまな遊びを考え出す

JR関西本線の無人駅から細い道路を山奥に向かうこと30分余り。平坦な畑が開けた場所に、現在は廃校となっている小学校の校舎が姿を現す。さらに山道を登っていくと、周囲を山に囲まれた、数軒の人家と畑のある集落が現れた。

前夜、校舎に宿泊した子どもたちは、朝の集いを終えると車に分乗してこの集落を訪れ、三々五々山に分け入っていく。支柱を建てトタン屋根を張っただけの手作りの小屋に到着すると荷物を置き、それぞれが遊び始める。川に入って川遊び、山際を登つてカブトムシ捕り、のこぎりを使って工作を始める子やバドミントン、将棋をする子もいる。

「ここでは特別なプログラムはありません。思い思いの過ごし方で時間を忘れ、くたくたになるまで『遊びほうける』場所です」と、がっこう部会代表の寺山由美子さんは言う。大人からの指示、管理はなく危険回避の注意事項以外は制約もほとんどない。

「最初はちょっとゆるやかすぎると思ったんです」。そう話すのは、初期のころから息子と共に参加するベテランスタッフの一人、小寺健司さん。

「フィールドつくり隊」手作りの八ンモックは人気の遊び

ボーイスカウトの経験もあるだけに、あまりに自由なこの場の在り方に当初は戸惑いもあった。しかし、子どもたちが自分で考え、危険回避に必要なことなどを身に付けていく様子をみるうちに「ここはこれでいいのかな」と感じるようになったという。

がっこうの主な拠点は京都府南山城村の童仙房。滋賀県、三重県と境を接する山あいの地だ。「仙の森」と名付けられた森と小学校、校舎周辺の田畑が活動の中心となる。

毎年3月に25人の生徒を募集し4月に開校、春の田植えから・冬の餅つき、翌3月の閉校式まで宿泊企画4回を含む計9回の企画が毎月のように催される。メンバーは通年で固定、年間参加が基本だがそれぞれの事情も考慮する。

「単に自然体験をする林間学校ではなく、共に『生活の場』をつくる中で、仲間との関係を深めたり、自分のやりたいことを発見する体験が日的」と生活クラブ大阪の常任理事、清水啓子さんは言う。

過疎の村で新たな出会い

昨年、念願の風呂が完成“地元住民の厚意で場所の提供を受け、ボイラーのみ購入し、他はすべて手作り。風呂のたき付けも子どもたちの役割

生活クラブ大阪と童仙房との出会いは、2006年にさかのぼる。当時、この地域にあった野殿童仙房小学校は統合によって廃校となり住民らは跡地の活用を模索、京都大学教育学部と提携し教育施設として再興する計画を進めていた。

一方、生活クラブ大阪(当時アルファコープおおさか)が既存の学校とは違う学びの場、「がっこう」の活動を始めたのは1995年のこと。当初は提携生産者のいる山梨県白州で年に1回だけ4泊5日の「なつのがっこう」を実施していた。自然体験は好評だったが、大阪からは遠く年に何回も訪れることはできない。

「春になると実行委員会を結成して参加者を募り、ほぼ1年がかりでの準備と反省。年に複数回行うのは難しかったですね」。初期の実行委員会代表を務めた阪本光代さんはそう振り返る。担当事務局だった小出譲さんも「年に一度の単発型ではプログラムを詰め込まざるを得ず、子どもの主体性をうたっていながら大人が作ったプログラムをこなす運営に陥っていたように思います」と当時の苦労を口にする。なんとか近場にいい場所はないかと、アルファコープ職員で初期リーダーでもあった金森昂作さん(故人)が連絡をとったのが、童仙房に住む旧知の内藤浩哉さんだった。

「ここは明治時代以降入植が進んだ地域、外部の人に対しても比較的オープンな風土です」と内藤さん。大学や生協との提携にも好意的だったという。住民の大久保徳己さんは、子どもたちがきで村がにぎやかになるならと私有林を無償で貸してくれた。

こうして、旧小学校の校舎を拠点にやぶだらけの森林を自力で開拓し、子どもたちの遊び場にする活動が始まった。主役は「フィールドつくり隊」。がっこう部会とは別に、主にお父さんたちを中心に組織され、下草刈りから木の伐採、トイレや休憩所、遊具まですべて手作りで作業を進めた。内藤さんたち地域住民もこれを支援、校舎近辺に子どもたちが使える田畑も総出で整備してくれた。「おじさんたちが毎週のようにきてテントに泊まり作業する。もう子どものための活動か大人の遊びかわからないくらい。アウトドアの得意な人も初心者もいるけれど対等で。みんなで少しずつ積み上げてきた場所ですね」と内藤さんは笑う。

混ざり合う里山家族

後列左から生活クラブ大阪の常任理事、清水啓子さん、初代実行委員会代表の阪本光代さん、事務局の小出譲さん。前列、がっこう部会代表の寺山由美子さん(左)、理事の米津正子さん

がっこうへの参加は原則子どものみ。親が参加する場合はスタッフに徹し自分の子どもの面倒はみない。子どもにしてみれば親から離れる不安は大きいが、管理されない自由がある。代表の寺山さんはこの間の体験から「不安と自由、両方あって子どもの心は強くなる」と実感する。

がっこうでは大人と子どもが混ざり合って過ごす。はた目には誰が誰の子か親かまったくわからない。寺山さんはこの関係を「里山家族」と呼び、「親せきより近く家族よりもおおらか。ほど良い距離感の大人と接するのは子どもにとってもいいこと」と言う。

初代代表の阪本さんも、親子の枠を離れて双方が接する場を好ましく見守る。「子どもは家での親とは違う面を発見するし、親にとっても自分の子どもを客観的にみる機会になります。それがお互いの関係によい循環を生んでいるようです」

童仙房という拠点を得て、里山のがっこうは11年目を迎える。寺山さんはこの場所を「時間に追われず、自然や他人や自分と向き合い、豊かな感性を育てられる空間」だと評し、「次世代やその次の世代にまでここで培った感性をつないでいけるようにしたい」と今後に思いを寄せた。

『生活と自治』2017年11月号の記事を転載しました。

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