第1回 新機軸・魚柄仁之助 魚料理は得意技
「近頃のヒトは焼魚をしなくなったねぇ~」とご年配の料理研究家さんたちはおっしゃる。
昭和の料理本に書かれた「焼魚の仕方」って、魚の切り身に串を打って塩を振り、遠目の強火で皮目からじっくり焼く。
これは炭火を使う場合の「焼き方」です。
今日のようなガスや電気、電磁調理器で行うと、魚の汁がコンロにぽたぽた落ちて焦げ付いたり、魚の脂がボッ!と燃えて炎が出たりします。煙ももうもうと立ち込めるからマンション向きではありません。そこで無煙ロースターなどが使われるんですが、これはこれで使った後の汚れ落としが大変ですね。
フライパンで焼魚
そこでおススメなのが切り身のフライパン蒸焼です。
切り身に塩を振る⇒片栗粉をまぶす⇒フライパンに並べ、ふたをして弱火で10分蒸す。
これが現代の台所事情に適した焼魚法でしょう。
片栗粉でコーティングされた焼魚は日持ちが良い。保存容器に入れてストックしておき、みそ煮や照り焼きに使っても身が崩れずきれいに仕上がる。
例えばこんな使い方も……
1.そのままポン酢で食べる
2.みりん:しょうゆ=1:1を入れたフライパンでさっと煮詰めると照り焼き
3.焼網に乗せてさっとあぶる焼魚(煙はほとんど出ません)
4.みりん+みそ+おろしショウガで煮詰めるみそ煮(サバのみそ煮はこれでOK)
5.チーズをのせて電子レンジでチーズとじ
ブリ、サバ、サケなどの切り身に薄塩をして、全体に片栗粉をまぶします
フライパンに20㏄位の水を入れて火にかけ、沸騰したら最弱火にし、皮目を上にして並べる。
ふたをして約10分間蒸し焼きにする。(切り身はひっくり返さない事)
*片栗粉が焦げ付きやすいのでフライパンを時々揺すって切り身を動かすのがコツ。
蒸し上りは表面がツルピカした水晶蒸になりますから、そのままでも上品な一品です。
ぱさぱさになりにくいから保存がききます。温めてタルタルソースをかければ洋風の一品も簡単。
大きなフライパンでまとめて作ってストックし、「さかなバナレって、どこのはなし?」と言ってやろうじゃありませんか。
写真・文/魚柄仁之助