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それぞれが描く福祉の実現を



生活クラブ山梨・理事長の上野しのぶさん。「単協が新たに事業を始める時は、自己資金だけに頼るのはきびしいです。助成が受けられてとても助かります。今後は私たちも基金を考えていくつもりです」

2025年には日本の65歳以上の高齢者の人口は総人口の30%を超えるといわれている。高齢者介護だけではなく、子育てや貧困、就労などの分野でも課題は山積だ。これらに向き合い、誰もが幸せに暮らすための福祉事業への挑戦が、各地の生活クラブですすめられている。

生活クラブ共済事業連合生活協同組合連合会は、昨年、CO・OP共済《たすけあい》の割戻金の寄付を募り、「生活クラブ福祉事業基金」を設立した。新たに福祉事業を始める団体や、既存事業から新たな転換や改善、拡充を図る団体を助成する基金だ。

全国約150の生協でつくるCO・OP共済は、病気やけがなど万が一の時のための保障制度で、加入者同士のお互いさまの助け合いの仕組みだ。生活クラブでは年間のべ1万7,000件強の共済金の支払い申請がある。加入者が支払う掛け金は、事由が発生した時に保障内容に応じて支払われる共済金と、事業運営に必要な経費に使われる。

決算の結果、剰余が生じた場合は、加入者への還元として割戻され、また、事業を続けていくための準備金や積立金として残される。その中には、組合員による地域の福祉向上のための活動に助成することができる「教育事業繰越金」があり、2010年度より福祉たすけあい活動や事業を助成するための資金として使われてきた。具体的には各地の生活クラブが新たに福祉事業を立ち上げたり、今までの活動・事業を転換しようとする際、先行事例の視察や講演会開催などの費用に充てられた。

この動きをさらに進めていこうと、割戻金の寄付をよびかけ設立されたのが生活クラブ福祉事業基金だ。助成する対象を事業と活動に分け、「事業」に関しては同基金を活用し、福祉たすけあい活動全般についてはこれまでの支援を継続することになった。

生活クラブ福祉事業基金は寄付を主な財源として助成や融資を行うため、これを管理運営する一般社団法人生活クラブ福祉事業基金も同時に設立された。

助け合いから始まる基金

生活クラブ福祉事業基金は、CO・OP共済の割り戻しを実施する時期に、契約加入者の同意を得て、割戻金を「寄付」として募ることで成り立つ。2017年度は698人の同意があり、寄付金の額は300万円近くになった。それ以外にも共済契約者ではない138人から寄付の申し出があり、合わせて12万円ほどになった。「契約者はもちろんですが、満期者など、そうでない人からも寄付の申し出があったことは予想外のことで、基金への賛同者の輪を広げていきたいと考えています」と共済連政策企画部長の稲葉昭浩さん。CO・OP共済の掛け金の一部が生活クラブの福祉事業に使われ、それが将来自分の地域にもつながっていくと考えてもらえればいいと言う。

18年度は、17年度と同じようにCO・OP共済《たすけあい》契約者へ割戻金の寄付を呼び掛けると同時に、満期終了など契約のない組合員にも一口1,000円の寄付を募る。契約者も割戻金全額ではなく、この方法でも寄付ができるようになり、多くの組合員の基金への参加が期待される。

同基金に応募できる団体は、生活クラブ連合会、生活クラブ共済連の会員単協。または会員単協と連携して活動・事業を行い、それぞれの生活クラブの理事会の推薦を受けた「生活クラブ運動グループ」だ。単協エリアを越える生活クラブ運動グループが、連合福祉政策の実現を目的として生活クラブ共済連の推薦を受けた場合も、同基金に応募できる。

応募の条件は、「生活クラブ 福祉たすけあい8原則」に合意またはそれを追求すること。各地の生活クラブが地域で福祉づくりを描く時にめざす多様性や尊厳の尊重、参加型社会などが定められている。新規で立ち上げる場合だけでなく、既存事業から新たな転換や改善・拡充を図る福祉事業も対象となる。

助成の第一歩

同基金では、18年度から助成を開始するため、18年1月に第1回の助成対象団体を募集した。4団体が応募し、5月に、共済連が設置し会員単協も参加して構成する審査委員会によって審査会が行われ、「フードバンクかながわ」「生活クラブ山梨」「ワーカーズ・コレクティブ蒲公英たんぽぽ」の3団体に合計248万2,000円の助成を行うことを決めた。

フードバンクかながわは、生活クラブ神奈川が県内の多くの団体とともに立ち上げた、生活困窮者など社会的弱者の生活再生を支援する取り組みのひとつだ。助成金はその広報宣伝に使用する。

ワーカーズ・コレクティブ蒲公英は、山梨県北杜市で、「レストラン事業(たんぽぽ食堂)」「助け合い事業」「つながる広場事業」の三つの事業を行っている。生活クラブ山梨の推薦を得て応募した。在宅で独り暮らしの高齢者が増え、配食のニーズが多くなり、見守り活動も兼ねて始める手作り弁当の配食サービスが対象だ。助成金ではそのリーフレットを作る。

生活クラブ山梨は、新たに福祉事業に取り組む単協だ。デイサービス事業を始めるに当たり、助成金を使い、千葉県にある社会福祉法人「生活クラブ風の村」に職員を派遣して資格取得と実技習得を行う。

生活クラブ山梨の挑戦


生活クラブ山梨峡北エリアの「コミュニティカフェたんぽぽ食堂」。今日はお総菜の日で焼き鳥を焼いた。午後からは端唄会が開かれる。スタッフの明石泰子さんと奥野純子さん

現在、組合員数約3,300人の生活クラブ山梨は、2016年に個別配送を導入した。同時に、六つのエリアに組合員同士がつながり活動を伝えあい、助け合いをすすめていく場をつくろうと、拠点づくりを方針とした。その一つが連携先であるワーカーズ・コレクティブ蒲公英が運営している「コミュニティカフェたんぽぽ食堂」だ。

さらに、南アルプス市で活動している共生ケア「また明日」との共同事業で、共生型のデイサービス事業に参入する。 生活クラブ山梨理事長の上野しのぶさんは「高齢者も障害のある人も子どももいっしょに過ごすことのできるデイサービスは、これからどんどん必要になってくると思います。各エリアでの拠点づくりの励みにしたいです」と抱負を語る。しかし生活クラブ山梨は、今まで福祉事業の経験がない。職員を研修のために風の村に派遣することが、基金へ応募する動機だった。

共済連の稲葉さんは「生活クラブ福祉事業基金は、CO・OP共済を利用し、そこから生まれる剰余を新しい福祉事業を始めるための資金とし、住み慣れた地域で家族や気心が知れた仲間とともに、最期まで自分らしく暮らしていけるしくみを作るために設けられました。そこには、すべての生活クラブがそれぞれの福祉を実現できるようにとの願いが込められています」と、今後も進んでいく少子高齢社会を見すえる。  

撮影/魚本勝之  文/本紙・伊澤小枝子

『生活と自治』2018年9月号の記事を転載しました。

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