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守りたいのは平和 「知憲・活憲」をすすめる生活クラブ北海道文化委員会

生活クラブ北海道市の「文化委員会」は、平和と文化に関するさまざまな活動を積み重ねながら憲法を読み解き、共に考え行動する仲間を増やしている。

生活クラブ北海道(本部・札幌市)には、平和を考え文化を共有し、協同を広げ深めていく文化委員会がある。平和と文化に関するさまざまな活動を積み重ねながら憲法を読み解き、共に考え行動する仲間を増やしている。

平和と文化から憲法へ

「まず自分たちが憲法を知り、情報を発信し、共に考えることができるような道具を提供します。そして一緒に行動する人が増えていけばと願っています」と、生活クラブ北海道文化委員会の担当理事、小松真理さん。そうした活動を「知憲・活憲」と表現する。めざすのは平和な暮らしだ。

文化委員会は生活クラブ北海道が設立して10年後の1993年に発足した。それまで仲間づくりや利用の呼びかけ、たすけあい、脱原発などを中心に行っていた活動を平和・文化へもひろげた。

以来、組合員のカンパを募り、組合員を被爆地である広島県へ送り出す「ヒロシマ平和行動」を活動の中心に据えている。また、自分たちが住んでいる札幌の町を知るためのフィールドワークも始めた。太平洋戦争時、豊平区

つきさむには元陸軍の通信基地があったことや当時の市内の空襲被害の実態などを調べた。今も南区真駒内には陸上自衛隊の弾薬庫があり、道東の矢臼別やうすべつにある広大な演習場では、日米共同訓練が行われていることなども、自分たちの目で確かめて発信してきた。

さらに、産炭地としての北海道の150年の歴史を振り返る活動に取り組んでいる。委員の孰賀紀美恵さんは「明治以降の北海道の開拓の歴史は、炭鉱の歴史と重なり、明治維新による近代化、富国強兵、日清・日露、太平洋戦争と密接な関係があります。そのなかで囚人労働や中国、朝鮮の人たちの強制労働もあったことがわかってきました」

委員会は、各地の歴史や人々の暮らしを知るために、空知地方の産炭地の炭鉱遺構を巡るフィールドワークも企画、自分たちの足元から平和を見つめて何をすべきかを考えてきた。平和や人権、女性の生き方を描く映画の鑑賞会「シネサロン」を企画し、演劇や書籍の紹介も続けている。
 「いろいろな角度から平和について考え、平和が続く暮らしを自分たちなりに実現したいと思ってきました」と、前担当理事の江川靖子さん。こうして、さまざまな平和と文化活動の延長線上に憲法に関する活動が生まれた。

憲法を知る

「2001年9月11日に同時多発テロが起こった後、アフガニスタンで日本人が拘束されました。その時、自己責任という言葉が使われ、国は国民を守らないということを痛切に感じました。また、その頃から日本国憲法は押しつけられたのだから改正を、と言われるようになりました」。江川さんは改めて憲法を学ぶようになった頃のことを振り返る。

文化委員会ではそれを機に、憲法に関する書籍の読書会を行い、「暮らしと憲法連続講座」「子どもと憲法」などの講演会を企画した。各支部や班に出かけて行き「憲法Q&A」をしながら憲法について学習する「出前講座」も実施した。「憲法前文に『平和のうちに生存する権利を有する』とあるが、それは日本人か、または全世界の人か」「日本国憲法を守らなければならないのは誰か」「日本国憲法は何回改正されたか」など多様な質問を用意した。「自分たちも含めて憲法を正しく知らないことを痛感しました」とは委員みんなの感想だ。

さらに12年に自民党が憲法改正草案を出した後、委員会では、日本国憲法はもちろん、大日本帝国憲法も一緒に読み合わせをしている。読み比べると、改憲草案はむしろ大日本帝国憲法に似ていて国民への義務を強調する規定が多く、「憲法は国民が統治権力を縛るもの」という立憲主義の考えとは相いれないのではないかという疑問が生まれた。

憲法を活いかす

▲「19日連続行動」。2015年9月19日に安全保障関連法案が成立した翌月から毎月19日に、街頭で改憲や国民投票についての問題を市民になげかけている

毎月委員会に集まるメンバーは10人ほど。最初に、伊藤真さんの著書「日本国憲法の論点」を読み合わせ、憲法に触れる機会を毎回作り、理解を深め合っている。
 「今まで平和に暮らしてくることができたのは憲法があったから」「今の政府は共謀罪、特定秘密保護法、いわゆる『戦争法』といわれる安全保障関連法など新しい法律を作り、憲法を変えようとしている」「変えた方がいい条項もあるが今の首相のもとでは変えたくない」など、各委員の現憲法に対する考えはさまざまだが理念への信頼は揺らがない。

現在、委員会が取り組んでいるのは「家庭教育支援法案」。自民党が国会上程に向けて準備を進めている。家族の構成人数が減り地域とのつながりも薄れる中、国、学校、地域住民、事業者などが連携し、社会全体で家庭教育を支援しようという内容だ。

「法案の名前は、一見、育児についての悩みや、保育園、教育費の問題を解決すると思わせますが、支援の制度を充実させるのではなく、国による、こうあるべきという家族や子ども、母親の姿をおしつけるものです」と小松さんは受け止める。法案が成立すれば「支援」の名のもとに、本来、家族が自由に判断すべき子育ての内容に公権力の介入が許されるおそれがある。これは憲法第13条の個人の尊重、第19条の思想、良心の自由、第24条の家族の中での個人の尊厳や両性の平等などの条文にかかわってくる。

委員会は弁護士の桝井妙子さんを迎え、この法案について学び考える学習会を企画した。「若い子育て世代の人たちが、自分の暮らしと照らし合わせて、それが憲法とつながっていることに気付いてほしいと思っています」。これは委員会としての願いだ。
 

仲間と手ごたえを感じて

▲10月28日に開催された生活クラブ北海道の「わくわくまつり」に参加し、憲法Q&Aで来場者と情報交換し、「おりの中のライオン」の紙芝居を上演した

生活クラブ北海道は年に一度、組合員や生産者、職員がいっしょに企画する「わくわくまつり」を開催する。今年は10月28日に開かれ、文化委員会も広島訪問やフィールドワークなどをパネルで紹介した。また、はんどう大樹たいきさんの著書「おりの中のライオン」をもとにした紙芝居を上演し、憲法クイズを使って来場者と意見や情報の交換をする場を作った。

「知憲も大切ですが、それだけでは自己満足で終わってしまいます。それからどうするかを考えていくことが『活憲』だと思います。自分一人ではなく、同じテーブルで憲法について話し合える仲間がいるのがとても心強いです」と小松さん。憲法に関心を持ち、自分で考え始めた人が確実に増えていると手ごたえも感じている。

文/本紙・伊澤小枝子 写真提供/生活クラブ北海道

『生活と自治』2018年12月号の記事を転載しました。

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