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災害時も平時も。助け合える地域づくりへの第一歩 生活クラブ神奈川の「コミュニティづくり」

災害が発生した時、何より心強いのは、地域に助け合える関係性があること。災害時に限ったことではなく、それは日常生活も豊かにする。同じ「消費材」を食べる仲間同士、地域で少しずつそうした関係を築いていこうと、生活クラブ神奈川では、さまざまな活動を展開している。

ご近所さんと顔なじみに


かわさき生活クラブ・あさお西コモンズのコミュニティリーダーのみなさん。左から米田恵子さん、熊谷百合子さん、井上香織さんと長男の陽(はる)くん。ホイッスルは防災グッズの必需品だ
「一口羊羹ようかんは日持ちするので防災食に最適。甘い物は、ほっとできるし」「お米と高密度ポリ袋、水と火があればご飯も炊けるんです」「子どもを遊ばせるときは、身近な防災グッズをリュックの中にひとまとめにし、ホイッスルは必ず入れます」

この日集まったのは、かわさき生活クラブ生協「あさお西コモンズ」の「コミュニティリーダー」たち。取り出した防災グッズを前に、何が、どんな時にどう使えるかなど、話題は尽きない。

生活クラブ神奈川では、2016年度からの第10次中期計画(5カ年計画)で、組合員同士が災害時に助け合えるようにと、「コミュニティ」とよばれる10~20人規模の集まりをつくることを方針とした。先行して始めた生活クラブ東京の活動を参考にしつつ、神奈川の地域性を重視し、構成する五つの地域生協がそれぞれの方針に沿って進めている。実際に活動を進めるのは、地域生協のもとに位置づく1000人規模の組織「コモンズ」だ。まとめ役となるコミュニティリーダーを中心に、徒歩圏内に住む組合員で構成、年に一度、災害時を想定した配送訓練を実施している。災害時だけでなく、コミュニティそれぞれに日常の集まりやイベントなども開催する。

川崎市麻生区に住む井上香織さんは、あさお西コモンズ運営委員会からのよびかけに応え、18年に自宅周辺でコミュニティを立ち上げた。「東日本大震災以降、防災の気運は高まっていました。近年、災害が頻発していることを考えても、近所の組合員同士が顔の見える関係だったらいいなと思い、リーダーを引き受けました。小さな息子がいるし引っ越してきて間もなかったので、コミュニティを通じてご近所さんと知り合いになれたのがうれしかったです。コミュニティリーダーとして防災・減災のこと、回転備蓄、災害時の調理などの学習をし、備えることの大切さもわかりました」と井上さん。

ハザードマップを広げてみんなで見渡してみると、いざというときの自分たちの問題だという実感が共有でき、かなり盛り上がったという。近所でいつもあいさつをしていた人が実は組合員だったとわかり、お互い安心感が増したという体験もした。参加した人が知り合いを誘ってくるなど、メンバーも広がりを見せている。

あさお西コモンズ運営委員会では今後、防災・減災の講座を合同で企画し、地域のつながりをさらに広げていこうと考えている。

防災をキーワードに


政令指定都市である川崎市は人口約151万6,000人、県内では横浜市に次ぐ規模で、全国でも最も人口が増え続けている都市の一つだ。かわさき生活クラブの組合員数は1万1,994人(18年12月末)、昨年4月から425人の新たな組合員を迎えた。個別配送やデポー(店舗)の組合員が増え、他の都市部と同様、同じ地域に住む組合員同士でも互いに知らないというケースも多い。そうした地域性もあり、同生活クラブは、いち早くコミュニティづくりに取り組んだ。コミュニティリーダーを公募し、年に一度、出資金の在高を確認するために組合員が集まる場を活用、一人一人にコミュニティへの参加をよびかけるなどした結果、これまでに46のコミュニティが誕生している。

自身も当初からコミュニティリーダーとして活動してきたかわさき生活クラブの理事長、佐野めぐみさんは言う。「コミュニティづくりは、防災・減災をキーワードに、希薄化した地域のつながりをもう一度つくろうという試みです。活動を始めて3年目、いざという時につながれる関係づくりが進みました。それは災害時だけではなく、日常困ったときに助け合える関係でもあるんです」
佐野さんの地域では、四つのコミュニティが合同で「お母さんの防災講座」などを開催し、新旧さまざまなメンバーが集まり、少しずつ広がりを見せているという。中には年に数回、茶話会を開催するコミュニティもある。地域に知り合いが無く不安に思う人と、古くからその地域に住み交友関係の広い人が出会うなど、ゆるやかな関係づくりを進める場にもなっている。

地域の助け合いへの第一歩


生活クラブ神奈川の五つの地域生協の一つ、湘南生活クラブはかわさき生活クラブとはまったく地域性が異なる。海に面した市町が多数で、三浦市から小田原市・湯河原町までの21の自治体に1万8,951人(18年12月末)の組合員が暮らす。

湘南生活クラブでも17年度からコミュニティづくりを方針に掲げた。「防災をキーワードに声かけをしたのですが、実際に災害が起こった時に本当に役に立つのだろうかなどの議論もあり、なかなか共感が広がりませんでした」と理事長の柏木晶子さんは当時を振り返る。とはいえ、地域のつながりは災害時だけに重要とは限らない。防災にかかわらず町で出会ったときあいさつできる人、知り合いを増やそうと提案し、活動経験者が率先してコミュニティリーダーとなり、参加をよびかけた結果、18年度には31のコミュニティが誕生した。リーダーとして手を挙げる人も増えているという。

一方、生活クラブ神奈川には22の生活クラブ型店舗、デポーがある。日頃から組合員同士が集う場であり、コミュニティと同様の役割を担う場でもある。防災については、年に1回「デポー減災DAY」を設け、いざという時の情報共有をするなど、不安の解消を進める。

エリア内に四つのデポーを抱える湘南生活クラブの理事長、柏木さんは「ライフスタイルが大きく変わり、以前の班のような緊密な関係性を維持するのは難しい時代です。コミュニティというゆるやかなつながりを介して、助け合える関係が育てば、それがひいては、いざという時の大きな力になります」と話し、いずれはもっと地域に開かれた存在にしていきたいとも言う。

まずは組合員同士が助け合える関係を築き、それが地域の助け合いへとつながる。コミュニティは助け合いの地域づくりへの第一歩だ。
撮影/諸星美保   文/戸田美智子

『生活と自治』2019年3月号の記事を転載しました。

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