人や地域との「つながり」を大事にする電気
生活クラブで共同購入している「生活クラブでんき」は、自然エネルギーの割合が高い電気で、将来は自然エネルギー100%をめざしています。しかし、ただ単に「自然エネルギーの割合の高さ」だけをめざしているわけではありません。そこには、「エネルギーを自給する暮らしと地域づくり」という大きな目標があります。
発電がその地域に根づき、人とつながることが大切
生活クラブがめざす自然エネルギー発電は、地域と共に電気をつくりだし、その成果が地域に循環されていくというもの。大規模な発電所が突然地方にできてその経営企業だけが大きな利益を享受するというよくある姿ではなく、地域が参加し成果を享受できる形で進めることをめざしています。
長瀬農園 田んぼソーラー
例えば、農地の上に設置した太陽光パネルで発電をしながら農業もするソーラーシェアリングのように、発電事業が元々地域にある産業と共存していくのが、ひとつの理想です。こうした形であれば、地元で根づいてきた産業を壊すことなく、発電事業の利益によってさらに地域をバックアップし、ともに維持・発展していくことができるからです。
また、たくさんの参加で発電所が地域に根づくことには、自然エネルギーが身近になって人々の意識が変わるという意味合いもあります。例えば地域に自然エネルギー発電所があると、それが自然環境に配慮した発電方法であることの良さや、省エネの大切さなどがより身近に実感できるからです。
各地域で生まれつつある、電気をきっかけとしたつながり
生活クラブでんきの中でも、例えば愛知県の「田んぼ電気プロジェクト音羽米発電所」では、田んぼの畔でのソーラーシェアリングで発電を行い、その電気を生活クラブエナジーに売電し、田んぼで作ったお米を地元と生活クラブ愛知に出荷しています。すると愛知の組合員も、お米を作ってくれている生産者が作る電気ということで、より自然エネルギーに対する理解が深まったり親しみが増したりということにつながります。
田んぼ電気プロジェクト音羽米発電所
また、2012年から稼働している、秋田県にかほ市の生活クラブの風力発電「夢風」では、エネルギーだけではなく、地域の産物を通した生産者と組合員の交流も活発です。にかほ市と生活クラブが共同でオリジナル品の開発をすすめて生活クラブで扱ったり、首都圏の組合員がにかほ市を訪れるイベントが頻繁に開催されたりしています。
生活クラブ風車「夢風」
電気も、「組合員自身が欲しいものを自分たちで選んでつくりだす」という生活クラブの消費材と同じ考え方で共同購入する。つまり組合員が主体で、みんなが「欲しい」と思う電気を、生活クラブが橋渡しとなって供給しています。そうした、人の思いによって選ばれた電気をきっかけに、それまでつながりのなかった地域と人との「出会い」が各地で生まれつつあります。
見えない電気だからこそ、「想像力」で選ぶことが大事
電気は、生活になくてはならないものでありながら、目には見えません。今自分が使っている電気が、原子力発電所で作られたものなのか、自然エネルギーから生まれたものなのかは、目で見てもわかりません。だからこそ、「想像力」を働かせながら電気を選ぶことが大事。「この電気が原発由来の電気だとしたら、将来環境や人々の健康へのリスクを生んでいるのではないか」と想像すること。「自然エネルギー由来の電気が増えれば、次の世代によりクリーンな未来をバトンタッチできるのではないか」と想像すること。目に見えないだけに、お店で商品を選ぶときよりも難しいかもしれませんが、電気もこうした想像力を働かせて選ぶことが求められています。
現在、生活クラブでんきの契約申込数は1万4千件を超えています。それだけ多くの人が、よりよい環境への願いや脱原発などの思いをもって、自然エネルギー由来の電気を選んでいるということ。生活クラブでんきでは、さまざまな地域や人とつながりながら、自然エネルギー発電への思いの輪を広げていきます。