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尊厳ある老後の暮らしを 「悠遊えごた」のチャレンジ

「住み慣れた地域で安心して暮らしたい」との思いで社会福祉法人「悠遊」が東京都保谷市(現西東京市)に誕生して26年。2025年をピークに後期高齢者が急増すると推計される今、自分らしく尊厳を持った老後をおくるため、その存在は重要性を増している。

連携を力に

社会福祉法人「悠遊」理事長 鈴木礼子さん
2019年3月、東京都中野区に高齢者介護のための複合施設「安心ケアセンター・悠遊えごた」が開所した。中野区では「中野区介護保険事業計画」などに基づき、区有地を活用して地域密着型サービス事業を展開しようと事業者を公募、これに応募し選ばれたのが、社会福祉法人「悠遊」(本部・西東京市)だ。区の計画のもと運営を担う。

悠遊は1993年に生活クラブ東京の組合員の寄付で設立され法人格を取得、保谷市(現西東京市)の委託を受けて高齢者のためのデイサービス(通所介護)事業を開始した。「生活クラブの組合員が、高齢の親やいずれ自分たちも利用する居場所を自分たちで作ろうと動き始めたのが発端と聞いています」と悠遊の3代目理事長、鈴木礼子さんは話す。

家族介護が当たり前だった時代に「住み慣れた地域で安心して暮らせる仕組みを」と地域にデイサービスを定着させ、2000年の介護保険制度導入を機にケアマネ事業所と訪問事業を開設、その後、増加する認知症の高齢者に対応するため、グループホーム、認知症対応型通所介護、地域包括支援センターなど多様な機能を併設した新たな施設を建設、地域福祉事業に貢献してきた。

さらに2012年には、長年の実績を生かし、生活クラブ東京の土地を借りて開設した複合施設「生活クラブ・ケアセンター世田谷」の運営も担うようになった。そして今回、中野区での地域福祉事業を担う。悠遊にとって3地域目のチャレンジだ。グループホーム、小規模多機能居宅介護、訪問介護サービスに加え、新たに定期巡回・随時対応型訪問介護看護(24時間訪問介護看護サービス)も行うなど、事業内容の幅も大きく広がっている。

鈴木さんは、今回、公募を経て悠遊が運営を任されたのには、生活クラブ関連団体との連携が大きな力になったという。

首都圏には、生活クラブ関連の社会福祉法人、「いきいき福祉会」(神奈川県藤沢市)や「生活クラブ」(千葉県佐倉市)があり、東京都内には、自治体ごとに市民主体のまちづくりを進める「地域協議会」がある。地域協議会を構成するのは、生活クラブ生協の他、市民事業を担うワーカーズコレクティブや、地方議会に参画する活動を進める「生活者ネットワーク」などの仲間だ。

「中野区の公募を知ったとき、共に活動を進めてきた二つの社会福祉法人に相談すると、直ちにさまざまな情報が送られてきて、公募に生かすことができました」と鈴木さん。また、中野区地域協議会メンバーからの情報により、自分たちの強みをどうアピールできるか、十分に考慮し審議に臨むことができたという。「北東京生活クラブ生協」(練馬区)の協力も大きな力となった。悠遊では、事業開始に向け、利用者とスタッフの募集などチラシを作成して地域に配布し周知したが、同生協では、運動グループの事業であり組合員に必要な情報であることから積極的にこれを応援した。

中野区の区有地(旧区立療育センターアポロ園跡地)に建設された「悠遊えごた」中野区江古田3-3-22 利用者、スタッフ募集中
問い合せ先 電話042-439-6501 ファクス042-425-2662

尊厳を大切にする介護を

悠遊が運営する各施設には、大きな特徴が二つある。一つは日中、玄関の鍵をかけないこと。

「外に出て行こうとする利用者さんには必ず理由があり、その意思を無視するわけにはいきません。認知症であっても自分が認められているか否かはちゃんと分かります。鍵を締めることでいい関係は築けません」と鈴木さんは話す。「家に帰りたい」と出ていこうとする人には、まずはその気持ちを受け止め対応すれば、「ここは安心していられるところ」に変わってくる。「買い物に行きたい」という人にはとりあえず一緒に外に出て歩き始める。悠遊では、利用者の心に寄り添うこうしたケアを重視し実践する。

もうひとつの特徴は、グループホームが「全個室トイレ付き」ということ。西東京市で始め、世田谷区、中野区でも同様だ。国の規定では1ユニット9人に対してトイレは三つ、3人に一つあればいいという基準だが、鈴木さんは「トイレの介助をどうできるかが、利用者の安心と尊厳を大切にするケアのすべてにつながる」とその理由を話す。

「トイレのトラブルは誰にとっても尊厳にかかわる問題です。たとえ失敗してもスタッフが『汗をかいちゃいましたね。取り替えましょう』と一緒に自室に戻れば利用者さんもほっとするし、介助も急ぐ必要はない。人生の先輩に恥をかかせない心遣いが利用者さんに伝われば、『ここは安心できるところ』という気持ちに変わってきます。それ以外にも、トイレを共有しないことは感染予防として重要なんです」

中野区の公募審議にあたって鈴木さんは、この2点を強くアピールしたという。審査に通ること以上に、これらが福祉施設の標準の機能であってほしいという願いからだ。

24時間訪問サービスにチャレンジ

急増する後期高齢者対策として国は2015年の介護保険制度の改定で、特別養護老人ホームの利用を原則要介護3以上に引き上げた。これにより一人暮らしの高齢者、認知症の家族を在宅介護する家族の負担はますます重くなることが懸念される。「悠遊えごた」では、少しでもこれを支えようと二つの機能を備えることにした。

一つは「小規模多機能ホームえごたの家」。通所・泊まり・訪問を組み合わせて利用できる施設だ。24時間体制の介護と併せて訪問サービスを行うため地域は限定されるが、希望に柔軟に対応でき、家族や利用者の負担軽減につながる。

二つ目は「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」のステーション「24時間ホームケアえごた」だ。ホームヘルパーが定期的に巡回して声をかけ、元気なことを確認し必要があれば介助を行う。「随時対応」「随時訪問」は、通報による呼び出しに対応し、必要があれば駆けつけること。「訪問介護看護」は看護師などによる自宅療養者のケアや診療補助を行うなど、きめ細かな機能を備える。

「365日24時間の訪問介護看護サービスは介護人材が不足する中、確かに大変な事業です。しかし地域にとって重要な役割をもつ機能であることも確か。大変だからやらないのではなく、絶対に必要だからやりましょうとの思いでチャレンジしました。スタッフの確保と研修が重要です」と鈴木さんは決意を示す。

 
撮影/永野佳世   文/桜木幸子
『生活と自治』2019年5月号の記事を転載しました。

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