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息長く、幅広く若者の未来を応援 首都圏若者サポートネットワーク「若者おうえん基金」

首都圏若者サポートネットワーク「若者おうえん基金」第1回助成団体決定

生活クラブが参加する首都圏若者サポートネットワークが立ち上げた「若者おうえん基金」は、社会的養護の下に育った若者や困難な状況にある若者の自立支援を目的としている。今年1月、第1回の助成団体が決定した。選考の過程で見えてきたことなどを、選考委員でもある生活クラブ連合会常務理事の伊藤由理子さんに聞いた。
――「若者おうえん基金」は昨年造成され、生活クラブ組合員にもカンパを呼びかけました。

保護者のいない子、被虐待児など、家庭環境に問題を抱え、社会全体の責任として養護を必要とする子のことを「社会的養護下にある子」と言います。重たい困難を背負った子どもが成長した後、自分の力で生きていくプロセスを応援したいと、生活クラブをはじめ首都圏の協同組合や社会福祉団体などが連携し、昨年、首都圏若者サポートネットワークを設立しました。

事業の柱の一つは「若者おうえん基金」の造成です。クラウドファンディングやイベントでの募金活動など、一般市民からも広く募集していますが、東京、神奈川、埼玉の首都圏3生活クラブが取り組む組合員カンパは、何といっても一番の頼りです。1400万円の初年度実績のうち、1000万円弱が生活クラブの組合員カンパでした。

ここ数年、子どもの虐待や奨学金の返済に苦しむ若者などさまざまな問題が報道され、関心が高まってきたとはいえ、どれくらいの子どもが児童相談所に保護され、その後、制度によってどこまでサポートされているか、本当のところはあまり知られていません。市民としてまずは知ることが重要だと考え、先行して生活クラブ千葉が参画する「ちばこどもおうえんだん」の活動実践を学んだり、シンポジウムを開催するなど情報発信に力を入れました。また、ニュースの配布や学習会開催などの具体的な活動は、3単協それぞれの計画に基づいて行われています。
 

生活クラブ連合会常務理事 伊藤由理子さん
――集まったカンパはどのように活用されるのでしょうか。

「若者おうえん基金」は、当事者だけでなく、当事者に寄り添う伴走者の支援を目的としています。ホームページなどを通じて助成を希望する団体を公募し、選考委員会による審査を経て助成されます。下の表が2018年度の助成結果です。

2018年度「若者おうえん基金」助成 選考結果
(一般枠)
申請団体名(所在地) 助成金(円)
自立援助ホーム 湘南つばさの家(神奈川県) 1,500,000
自立援助ホーム マラナ・タ・ハウス(東京都) 480,000
こもれびホーム(東京都) 362,920
児童養護施設若草寮(東京都) 500,000
アフターケア相談所 ゆずりは(東京都) 1,500,000

(先駆的実践枠)
申請団体名(所在地) 助成金(円)
一般社団法人 Masterpiece(神奈川県) 920,000
特定非営利活動法人なんとかなる(神奈川県) 1,500,000
特定非営利活動法人パノラマ(神奈川県) 1,300,000
自立援助ホーム 夢舞台(埼玉県) 1,500,000
こもれびホーム(東京都) 1,004,100

(助成総額)10,567,020円

社会的養護下の子の支援活動は全国に多々あっても、自立後の伴走体制を整えている団体は少なく、互いのネットワークがあります。選考委員は専門性が高く、さまざまな実体験を持つ方々です。みなさん応募団体についてよく知っていて、非常に多角的でかつ公平な審査になったと思います。市民代表である私は、カンパに参加した組合員に情報を戻していく役割を主に担いました。

応募要項には一般枠と先駆的実践枠があります。一般枠は伴走体制がしっかりしていて、かつ緊急性のあるもの、先駆的実践枠は日ごろなかなか手が回らないけれど、問題解決に向けてチャレンジしてみたいというものが対象です。どの団体もあらゆる助成金に応募してやりくりしているので、一般枠についてはこの基金で助成しなくてもよいケースもあり、できれば先駆的実践枠に重きを置きたいという選考委員会での議論がありました。結果的には、個々の案件を丁寧に見ていき、申請内容の一部を削ったり整理したりしながら、できるだけ多くの案件に必要な助成金が行き渡るような結論に至りました。

一般枠には、基金の趣旨の通り養護施設を巣立った後の支援についての応募がありました。例えば、養護施設出身者の学費を免除している遠方の大学に進学した若者の様子を見守りに行くための交通費や、同じような境遇にあった若者同士が結婚し、出産に向けた準備を見守るための費用などです。後者の事例では、結婚前は生活保護を受けていた女性が、籍を入れたことで二人の収入合計が上限枠を超え、生活保護を打ち切られました。国の制度に割り切れないものを感じます。

小学生の頃に虐待で保護され、一旦は親元に戻された男性もいます。20歳になった真冬に着のみ着のままで家から追い出され、公園で寝泊まりしているところを助成団体に保護されました。その間、虐待が続いていたわけです。今後、社会で自立していくために見守りが欠かせません。

年間、12万件を超える通報があり、そのうち制度による施設に入所する子どもは4800人といわれるけれど、外からは見えにくい虐待もあり、実際には何件あるのだろうかと暗たんたる気持ちになりました。

――何が必要とされているのでしょうか。

この基金に関わって驚いたのは、どの養護施設も支援に入っている人たちが若いことです。アニキ分、アネキ分といったような、子どもや若者と向き合うときに目線が一緒の人たちが必要で、社会福祉士の学校など専門性のあるところから来ています。支援者は制度や社会に対して強い怒りや不信感を持っていますが、必ずしもすぐに地域の市民運動と連携できるとは限りません。目の前の問題をどうするかで現場は手いっぱいなのです。どんなに素晴らしいことを言っても、行動できなければ頼りにされない。そういうリアリティーがあります。

子どもたちのことを考えれば、地域に居場所があり、受け入れられるということは重要です。ただ、個人情報や権利擁護の問題もあり、施設を地域に開かれた場所にしていこうとはなりにくい。どう市民が関心を持っていくのか、問われているのは私たちです。例えば、相続税対策として1500万円までは非課税で孫の学費として贈与できるなど、生まれた時から大きな差がついてしまうような制度をどうにかできないか。せめてスタートラインは平等にしようという動きをつくっていかなければ、貧困、そこに起因する虐待の連鎖は繰り返されてしまいます。

もう一つは安心して働ける場所です。伴走者がずっと守り続けられるわけではなく、地域の中で、若者が背負わされたものを分かったうえで雇用し、仕事を教えてくれる人や場所が必要です。そこは生活クラブの出番ではないでしょうか。すでに、デポーや配送センターで就労体験を始めた若者がいて、温かくも厳しく接してもらい、とても楽しそうに働いていると聞いています。

心に深く傷を負った子は、順調に進んでいるように見えても虐待の記憶がフラッシュバックするなど、気持ちの揺れが激しいといいます。支援者側は、働く場に送り出して何か怖い思いをさせてしまわないか不安があるし、雇用した側も余計な手出しをして自立を妨げないか不安があります。働く人も雇用した側も、何かあったら相談できるような仕組みをつくり、体制を整えていけば、ワーカーズでもセンターでも受け入れ可能なところはたくさんあると思います。それには、丁寧に地域ごとの連携をつくっていくことが重要です。息の長い活動になると考えています。

次月は、先駆的実践枠の助成団体を紹介します。

撮影/高木あつ子 文・本紙/元木知子

『生活と自治』2019年6月号の記事を転載しました。

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