映画の出演者やゲストが地域づくりを考える「おだやかな革命サミット」が開催されました
おおぜいの参加者で会場は熱気に包まれました
2018年に公開された映画「おだやかな革命」。「エネルギー自治の各地の取り組みを通して、これからの豊かさを問う映画として製作(渡辺智史監督)」されたものです。映画の中では、首都圏の生活クラブが立ち上げた秋田県にかほ市の風車「夢風(ゆめかぜ)」による市民風力発電の取り組みが紹介されているほか、生活クラブはこの映画に協賛しています。公開からこれまでに全国30カ所以上の劇場公開と150カ所を超える上映会が開催され、エネルギー問題や地域の自治を考えるきっかけとなっています。
この度、監督や映画出演者が一堂に会し、ゲストも迎えてパネルディスカッションや意見交換などを行う「おだやかな革命サミット」が東京都内で開催されました。多くの参加者で賑わった、当日の様子をレポートします。
2018年に公開された映画「おだやかな革命」。「エネルギー自治の各地の取り組みを通して、これからの豊かさを問う映画として製作(渡辺智史監督)」されたものです。映画の中では、首都圏の生活クラブが立ち上げた秋田県にかほ市の風車「夢風(ゆめかぜ)」による市民風力発電の取り組みが紹介されているほか、生活クラブはこの映画に協賛しています。公開からこれまでに全国30カ所以上の劇場公開と150カ所を超える上映会が開催され、エネルギー問題や地域の自治を考えるきっかけとなっています。
この度、監督や映画出演者が一堂に会し、ゲストも迎えてパネルディスカッションや意見交換などを行う「おだやかな革命サミット」が東京都内で開催されました。多くの参加者で賑わった、当日の様子をレポートします。
エネルギー自治に取り組む人々を静かな筆致で描く「おだやかな革命」の上映
2019年9月29日の開催当日、会場には多くの人が集まりました。10時からは、映画「おだやかな革命」上映。日本の各地でエネルギー自治に取り組む人々、そのムーブメントを、静かに力強く描いた映画です。
終映後に渡辺智史監督がマイクを握り「食べ物も衣服も電気も、『どこから買うのか?』それを選択していくことで社会が変わっていくのでは」「顔の見える関係性の中で、お金を“意志を持ったお金”として使うこと、私達自身が“経済の手綱を握っていく”ことが大切なのではないか」とコメントを添えました。
終映後に渡辺智史監督がマイクを握り「食べ物も衣服も電気も、『どこから買うのか?』それを選択していくことで社会が変わっていくのでは」「顔の見える関係性の中で、お金を“意志を持ったお金”として使うこと、私達自身が“経済の手綱を握っていく”ことが大切なのではないか」とコメントを添えました。
渡辺智史監督
パネルディスカッション①
地方の持つ豊かさへの気づきから、自治の仕組みの再生へ
左から高橋さん、佐藤さん、平野さん、井筒さん、松尾さん
午後からは、パネルディスカッションのパート1として、「映画出演者によるトーク・おだやかな革命の広げ方」と題したコーナーが始まりました。MCを務めた、「おだやかな革命」アドバイザーでありノンフィクションライターの高橋真樹さんによると、映画出演者がこれほど一堂に揃うのは初めてとのこと。
登壇したのは、映画の中で紹介されている通り、日本の各地で実際に、中央に寄らないエネルギー自治の試みを続けている、佐藤彌右衛門(やうえもん)さん(会津電力株式会社 取締役会長)、平野彰秀さん(NPO法人 地域再生機構副理事長)、井筒耕平さん(株式会社sonraku代表取締役)。そして持続可能な社会の実現に向け活動している、SDGsライターの松尾沙織さん。
福島県喜多方市の造り酒屋の9代目である佐藤さんは、原発事故を目の当たりにして、住む土地や食べものが汚染される恐怖を感じ、このままではいけないと会津電力を立ち上げた経緯を話しました。
東京のコンサルティング会社に勤めていた平野さんは、街づくりのプロジェクトに関わる中で岐阜県の石徹白(いとしろ)の魅力と可能性に出会い、東京から移り住んで小水力発電に関わるようになったそうです。
井筒さんは、バイオマスの専門家として岡山県西粟倉村に関わり始め、その後移住して、温泉施設への薪ボイラー導入や薪燃料の供給事業など、森林資源のエネルギー利用に携わるようになりました。
佐藤さん、平野さん、井筒さんの経験に共通するのは、水・食べもの・エネルギーといった、生命に欠かせない恵みが、地方には豊かにあるということの再発見。平野さんは「街の背後に農地や森があることに、最初は気づかなかった」と言い、佐藤さんは原発事故を機に「もう一度足元の地産地消を見直そうと思った」と言います。
東京に住む松尾さんからは「社会の持続可能性ということに関し、東京は仕組みを考え直さないといけない。その点で先進は地方だ」という発言がありました。佐藤さん、平野さん、井筒さんの取り組みには各地からの関心も高いそう。日本のいろいろな場所での、今後の広がりが期待されます。
映画に関係する出店者のマーケットが同時開催され大人気
大盛況のマーケット
コミュニティスペースでパネルディスカッションが行われているあいだ、別室スペースでは、映画に関係するマーケットが開催されていました。映画にも出演している平野馨生里さんが石徹白で営む「石徹白洋品店」の衣服や、秋田県にかほ市の風車「夢風」にちなんで立ち上げられた生活クラブ「夢風」ブランドの消費材などが並べられ、会場は大盛況。石徹白に伝わる伝統的な野良着「たつけ」などをベースにした服を、実際に手に取って確かめる人の姿が見られ、夢風ブランドの商品のひとつでもある伊藤製麺所の「タラーメン」は、試食が行われて大人気でした。
パネルディスカッション②
各地で「顔の見えるローカル経済」を取り戻す試みが
左から渡辺さん、辻さん、平野さん、半澤さん、篠さん
パネルディスカッションのパート2のテーマは「小さな流通でつながるトーク、暮らしの選択」。MCを「おだやかな革命」監督の渡辺さんが務め、「顔の見える関係性での経済」についてディスカッションが行われました。
石徹白洋品店の平野馨生里さんが手がける衣服は、土地のお年寄りの話を聞くところから生まれた“土地の背景がわかる服”だといいます。実際に縫製をしてくれるのも、石徹白の人達だそう。こうした衣服が多くの人の手に渡ることで、石徹白が幸せに働けて暮らせる村になるといいと平野さんは語ります。
株式会社生活クラブエナジーの半澤彰浩氏からは、にかほ市の生活クラブ風車「夢風」から始まった、商品や人の交流を例に、都会が地方からエネルギーを奪うだけではない、「地域に資するエネルギー開発」についての展望が語られました。
パタゴニア日本支社の篠健司さんからは、待ったなしの気候変動を前に、企業自身が環境への影響を減らすためにすべきことという視点で話がありました。
実は、パタゴニア日本支社は、生活クラブエナジーの株主として生活クラブでんきを利用しています。生活クラブの「エネルギー7原則」に深く共感してのことです。
文化人類学者の辻信一さんの「グローバル経済からローカル経済へ、すべてにおいて距離を縮めていくことが大切なとき」「今こそ、『経済』の語源である『経世済民』、つまり民を救うため・幸せな世の中を作るための本来の『経済』を取り戻すべきではないか」という言葉に、参加者は皆大きく頷いていました。この日に紹介されたさまざまな顔の見える経済への試みは、その糸口になりそうです。
「公開交流相談会」では、さまざまな地域づくりの取り組みが紹介される
パネルディスカッションに続き行われた「公開交流相談会」では、地域おこしのNPO、街に根づいたカフェ、エネルギーと街づくりに関わる会社、自治体と地域づくりを考える事業者との協力、など、形はさまざまながら、ユニークな地域づくりに取り組む方々の事例を聞くことができました。直前のパネルディスカッションで示された「顔の見える関係」での経済活動や地域づくりが、実際にさまざまな場所で芽吹いていることがわかり、心強く思われました。
「おだやかな革命」を起点にした人の輪の広がりを感じるイベントに
最後には、参加者同士が交流を深めるパーティーも。「おだやかな革命」というひとつの映画が核となり、出演した人・関係する人・観た人がどんどんつながり続け、輪が広がっているようです。グローバル化や中央集中化が行き過ぎた世の中を見直して、顔の見える関係を取り戻し、人間らしく暮らせる持続可能な社会を作っていこう、という志の高まりを確認できるイベントとなりました。
参加者同士が交流を深めました
エネルギーはもちろん、食べ物も福祉も。生活クラブがめざすサステイナブルな暮らし
「おだやかな革命」の中でも紹介されていた、にかほ市の風力発電「夢風」などを始めとした、生活クラブの自然エネルギー中心の社会づくり。その活動はエネルギーのみにとどまらない大きな広がりを見せています。例えばイベントでも紹介されていた、にかほ市と生活クラブが共同で立ち上げた「夢風」ブランドの消費材づくり。逆に、生活クラブと長く米や豚肉、農産物など「食」の提携をしてきた山形県庄内地方では、「庄内・遊佐太陽光発電所」の稼働が始まり、食だけではなくエネルギーの面でも結びつきが深くなりました。
「夢風」ブランドはマーケットでも好評でした
生活クラブは今後も引き続き、食べ物(Food)、エネルギー(Energy)、福祉(Care)といったあらゆる面で地域とのつながりを深め、資源を自給・循環させる「サステイナブル(持続可能)な暮らし」をめざしていきます。
おだやかな革命サミット タイムテーブル
10:00 映画「おだやかな革命」上映+渡辺監督トーク
12:00 パネルディスカッション①
「映画出演者によるトーク・おだやかな革命の広げ方」
MC:高橋真樹 ゲスト:佐藤彌右衛門 平野彰秀 井筒耕平 松尾沙織
15:00 パネルディスカッション②
「小さな流通でつながる暮らしの選択」
MC:渡辺智史 ゲスト:辻信一 半澤彰浩 平野馨生里 篠健司
16:45 公開交流相談会
MC:渡辺智史 ゲスト:伊東亨 鈴木純 内山章 小泉寛明
18:15 交流パーティ
映画に関係する食材を使ったスペシャルメニュー
【ゲスト】敬称略
佐藤彌右衛門(会津電力株式会社 取締役会長)
辻信一(文化人類学者 明治学院大学教員)
平野彰秀(NPO法人地域再生機構副理事長)
平野馨生里(石徹白洋品店 店主)
井筒耕平(株式会社sonraku 代表取締役)
半澤彰浩(株式会社生活クラブエナジー 代表取締役)
松尾沙織(SDGsライター・ダイベストメントコミュニケーター)
篠健司(パタゴニア日本支社ブランドレスポンシビリティ・マネージャー)
伊東亨(NPO法人 Hekichi lab 代表理事)
鈴木純(スローツアー主宰)
内山章(株式会社エネルギーまちづくり社 取締役)
小泉寛明(神戸Re不動産ディレクター)
【MC】敬称略
渡辺智史(映画「おだやかな革命」監督・いでは堂代表)
高橋真樹(映画「おだやかな革命」アドバイザー・ノンフィクションライター)
生活クラブは今後も引き続き、食べ物(Food)、エネルギー(Energy)、福祉(Care)といったあらゆる面で地域とのつながりを深め、資源を自給・循環させる「サステイナブル(持続可能)な暮らし」をめざしていきます。
おだやかな革命サミット タイムテーブル
10:00 映画「おだやかな革命」上映+渡辺監督トーク
12:00 パネルディスカッション①
「映画出演者によるトーク・おだやかな革命の広げ方」
MC:高橋真樹 ゲスト:佐藤彌右衛門 平野彰秀 井筒耕平 松尾沙織
15:00 パネルディスカッション②
「小さな流通でつながる暮らしの選択」
MC:渡辺智史 ゲスト:辻信一 半澤彰浩 平野馨生里 篠健司
16:45 公開交流相談会
MC:渡辺智史 ゲスト:伊東亨 鈴木純 内山章 小泉寛明
18:15 交流パーティ
映画に関係する食材を使ったスペシャルメニュー
【ゲスト】敬称略
佐藤彌右衛門(会津電力株式会社 取締役会長)
辻信一(文化人類学者 明治学院大学教員)
平野彰秀(NPO法人地域再生機構副理事長)
平野馨生里(石徹白洋品店 店主)
井筒耕平(株式会社sonraku 代表取締役)
半澤彰浩(株式会社生活クラブエナジー 代表取締役)
松尾沙織(SDGsライター・ダイベストメントコミュニケーター)
篠健司(パタゴニア日本支社ブランドレスポンシビリティ・マネージャー)
伊東亨(NPO法人 Hekichi lab 代表理事)
鈴木純(スローツアー主宰)
内山章(株式会社エネルギーまちづくり社 取締役)
小泉寛明(神戸Re不動産ディレクター)
【MC】敬称略
渡辺智史(映画「おだやかな革命」監督・いでは堂代表)
高橋真樹(映画「おだやかな革命」アドバイザー・ノンフィクションライター)
【2019年12月9日掲載】