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地球温暖化と電気の関係を考えるーパリ協定と生活クラブでんき

活クラブ北海道が建設に出資した風車「厚福丸(こうふくまる)」(手前)と姉妹機「あい風未来」。

生活クラブで共同購入している「生活クラブでんき」。再生可能な自然エネルギーの割合の高いこの電気は、今世界全体が向き合う課題となっている「地球温暖化」とも大きな関係があります。世界で取り組んできたこれまでの温暖化対策の経緯もおさらいしながら、少し考えてみたいと思います。

脱原発と地球温暖化の抑制をめざす「生活クラブでんき」


生活クラブでは、再生可能な自然エネルギーの割合の高い「生活クラブでんき」の利用拡大をすすめています。その出発点のひとつは、1986年のチェルノブイリ原発事故の経験や、青森県六ケ所村の「六ヶ所再処理工場」による放射能汚染の可能性への懸念などを経て、生活クラブが2010年に掲げた「再生可能エネルギーの普及を進め、脱原発社会を目指します」という脱原発の方針です。

さらに、2011年3月11日に起きた東京電力福島第一原子力発電所の過酷事故を受けて、2013年に「生活クラブ総合エネルギー政策」を決定。エネルギーの使用を減らすとともに、再生可能エネルギーをつくり、使う、という明確で具体的な方向性のもと、今に至っています。

でも、生活クラブが再生可能エネルギーの普及や利用拡大をすすめるのは、脱原発のためだけではありません。もうひとつの大きな背景に、深刻化する地球温暖化の抑制という目的があります。


地球温暖化がさまざまな影響が、人々の生活を脅かしています。

またまた日本が「化石賞」を受賞!!


つい最近、COPという国際的な会議で日本が「化石賞」をもらった、というニュースを覚えている方もいるのではないでしょうか。COPとは「国連気候変動枠組条約締約国会議(Conference of the Parties)」のことで、地球温暖化対策に世界全体で取り組んでいくための会議です。「化石賞」というのは、ここで温暖化対策に後ろ向きだと判断される国や地域に、NGOの団体から皮肉を込めて贈られる不名誉なもの。日本は、CO2を多く排出する石炭火力発電の推進をやめていないため、昨年(2019年)開催のCOP25で数度目の「化石賞」を与えられてしまいました。
石炭火力発電はやめられない?

国際的な温暖化対策は1992年にはじまった


COPの歴史を少し振り返ると、そのおおもとにあるのは1992年に採択された「気候変動枠組条約」。この条約では、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させるために、先進国が2000年までに温室効果ガスの排出量を1990年の水準までに戻すという約束が定められています。この条約に基づき、1995年から毎年開催されているのが、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)。日本からは毎年環境大臣が出席しています。

しかしこの1992年の条約には法的な拘束力はなく、温室効果ガスの排出量を減らすことはできませんでした。

その後、1997年に日本の京都で開催されたCOP3。ここで各国の難しい交渉の末に合意されたのが「京都議定書」という国際条約です。この条約の名前は聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。京都議定書は、先進国全体に2008年から2012年の間の温室効果ガスの削減目標(1990年比)を要求するものでした。国ごとの排出量の削減目標も決めており、国際社会が協力して温暖化対策に取り組む一歩として評価されています。

世界全体で取り組む温暖化対策の新しい枠組み「パリ協定」


この京都議定書の後継となる取り決めが、2015年のCOP21で合意された「パリ協定」です。世界全体で取り組む温暖化対策の、もっとも新しい枠組みです。京都議定書では先進国にのみが参加していたものを、途上国を含む全ての参加国に広げています。世界共通の長期目標として、平均気温の上昇を産業革命前の2℃未満(努力目標1.5℃)に抑え、今世紀後半には温室効果ガスの排出を実質ゼロ(自然が吸収する量と、人が排出するガス量を均衡させる)にすることが掲げられています。

当時のオバマ米大統領が中国やインドに批准を働きかけるなど積極的だったことなどもあり、発効が難しいと思われたパリ協定は、多くの国の参加を得て2016年に発効。それだけ、温暖化問題に対する世界の関心が切迫していたともいえます。ところがその後、現在のトランプ米大統領がパリ協定からの離脱を表明しましたが、すでに米国では2017年に「We Are Still In(私たちは踏みとどまる)」と呼ばれる巨大連合組織が結成され、大きな対抗勢力になっています。

むしろ、より大きな問題は、2016年に各国が提示した国別目標(Nationally Determined Contribution)ではまったく不十分であり、早ければ2030年にも1.5℃まで上昇して今世紀後半には3℃まで上昇する可能性が高いと警鐘が鳴らされていることにあります。(IPCC『1.5℃特別報告書』)


※IPCCとは…気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental P anel o n C limateChange)の略。WMO(世界気象機関)とUNEP(国連環境計画)のもとに設立され、195の国と地域が参加。地球温暖化をはじめとする環境問題を、科学・技術・経済など、さまざまな方向から研究し、信頼ある報告をしている政府間機構 

「地球温暖化対策をはかり持続可能な未来へ


いずれにしろ、地球温暖化は世界全体で取り組まなければいけない課題。持続可能な未来を次の世代へとつないでいくためにも、温室効果ガス削減の具体的な対策が求められています。

生活クラブでは、こうしたパリ協定の内容もふまえ、さまざまな取り組みを実行。生活クラブグループでは生協事業による温室効果ガス排出の最大限の削減に取り組み、「2050年のCO2排出総量を限りなくゼロにすることをめざして、2030年のCO2排出総量40%削減(2013年度対比)を目標とする」などの、長期的な削減をすすめています。使う電気については、自然エネルギーの割合が高い「生活クラブでんき」を利用することで、温室効果ガスの排出を大きく減らしていきます。
 


そして、生活クラブでんきを利用する人を増やすことは、地球温暖化対策の具体的かつ有効な方法。今後も、生活クラブでんきを広げ、サステイナブルな未来へ向け再生可能エネルギー中心の社会をつくりだしていきます。
 
【2020年1月31日掲載】



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