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安さより「貢献」追求(日本農業新聞)

生活クラブ生協 ㊥ 再生可能エネルギー事業

【2020年3月6日:日本農業新聞掲載】

生活クラブ生協(生活クラブ)にとって、事業ベースでの本格的な発電の第1号は、秋田県にかほ市の「生活クラブ風車 夢風」である。だが、いざ建設となると、約5億円の投資を巡って推進・慎重論で割れ、なかなか進展しなかった。

そんな中、東日本大震災が発生、史上最悪の原発事故を目の当たりにした。組合員世論は建設へ一気に傾いた。首都圏4単協の出資と融資、組合員の寄付によって、大震災から1年後の2012年3月、完成した。年間発電量計画は473万キロワット、一般家庭の1300世帯分に相当する。

それから今日までの間に、生活クラブエナジーは62カ所の発電所と提携するまでに広がった。生活クラブの事業所で太陽光発電をしたり、産直提携先で単協や組合員が発電所を立ち上げたり、提携生産者や事業者らが共同で発電会社を興したりと、いろいろなケースがある。

電力事業の中核施設は、産直連携の一大拠点である山形県庄内地方の遊佐町に建設した太陽光発電だ。19年2月に稼働した。生活クラブと生産者らで㈱庄内自然エネルギー発電を設立、投資資金は57億円にも上った。このうち4億1000万円を組合員からの寄付でまかない、結束力の強さを見せた。約31ヘクタールの遊休地に6万7000枚のパネルを敷き詰め、一般家庭5700世帯を賄える年間1万8000メガワットを発電できる。

生活クラブでは共同購入で扱う品を「消費材」と言う。そこには、売るためのものでなく、生活するためのものであり、だからこそ納得のいくまで安全、健康、環境を追求する、そして、「購入=使う」ことによって自分たちの要望を実現してくれた生産者を持続的に支える。そんな思いが込められている。電力もまた消費材の一つになった。「生活クラブでんき」と呼ぶ。

生活クラブエナジーの経営は、小売り参入3年目の18年度に黒字に転換、約1億円の累積赤字を解消した。販売する電気の電源構成は太陽光、風力、小水力など再生可能エネルギーが6割強と高い。電気代は地域電力会社と同一水準に設定する。
生活クラブエナジー社長(生活クラブ神奈川専務)・半澤彰浩氏

「生活クラブでんき」は他の新電力のように、安さをうたい文句にはしていない。この電気を購入するメリットが何かといえば、電力の由来がはっきり分かり、原発に頼らない暮らしの実現や地球温暖化の抑制に電気を買うことで貢献できることだ。組合員が支払う電気代は、油田国の大富豪の懐に最後に落ちるのではなく、再エネ電力をつくってくれる地方に行き、地域経済の中で循環する。それから、電気事業で得た利益を地域のために使う仕組みをつくり、産直交流先を応援する。この事を納得の上、電気を共同購入してもらう。

基金設け発電地域を応援

庄内地域での事業展開に当たっては、利益の一部を基金にして、酒田市や遊佐町の持続可能な地域づくりに活用する「庄内自然エネルギー発電基金」を設けた。2月14日、1回目となる1000万円の贈呈式が酒田市役所で行われた。産直から始まった交流は、地域創生に関わるまでに発展した。

まだある。生活クラブでんきを使う「意思ある」契約者に電気代の5%を上乗せして徴収する。これを原資に「生活クラブ自然エネルギー基金」を設立、各地での再エネ発電所開発や組合員の省エネ活動に助成する。20年末までに5000万円を積み立てる見込みだ。

課題もある。電気の共同購入者がまだ少ないことだ。契約者は現在約1万6000世帯いるが、会員の4%にすぎず、30年目標の10万世帯には程遠い。安さをアピールせずに、電気の共同購入への理解をどう広げていくか問われている。

今後3年間で風力1基、小水力2基、太陽光1基の建設を計画する。その後は、自前開発から、地域の再生エネルギーとの連携にかじを切る考えだ。電力の地産地消と雇用の創出には、地域での発電起業を応援する方が効果的と考えている。

(編集局主幹・田宮和史郎)

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