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生活クラブ埼玉、はじめてのデポー

3月20日、生活クラブ埼玉は、さいたま市浦和区に初めてのデポー、「デポー浦和」を開所した。消費材をめぐり組合員がデポーに集い、新しい可能性が生み出される。そんな出会いの場の始まりだ。

一度は断念

「組合員のお店」と言われる「デポー」は、生活クラブの共同購入のひとつの形であり、組合員が店舗へ出向いて消費材を手に入れる。1982年、生活クラブ神奈川のすすき野デポーがオープンしてから、生活クラブ千葉、生活クラブ東京で建設をすすめ、現在、41のデポーがある。そこに、今春より生活クラブ埼玉の「デポー浦和」が加わった。

生活クラブ埼玉で、初めてデポー建設について検討されたのは2003年。そのころ、共同購入は、「班配送」「個別配送(個配)」、大形班「組」への配送という形で行われ、「くらぶルーム」や「生活館」といった施設では大型班を設置し、活発な組合員活動が行われていた。

デポー建設について地域の組合員への聞き取りなどが行われたが、組合員からの要望はあるものの、建設活動への意識の高まりは十分ではなく、新しい事業への挑戦は見送った。

その後、大型班「組」をさらに発展させ、300人前後の共同購入の拠点「結(ゆい)」を生み出すなど、多様な形の共同購入をすすめていったが、店舗型共同購入は未着手のままだった。

変わる組合員の暮らし

しかし生活クラブ埼玉も、設立40周年を過ぎ、組合員の平均年齢が60歳にせまった。さらに、供給高の6割を超える利用が、60歳代以上の組合員により維持されていることがわかった。理事長の木下美由紀さんは、「10年後、20年後の共同購入を考えた時、このまま同じような形で続けることができるのかと、危機感を持ちました」と、改めてデポーという、埼玉にとっては新しい共同購入の形を検討してみようと考えたと言う。

「40年前に比べ、組合員の暮らし方は大きく変わりました。高齢になり独り暮らしや夫婦だけの世帯が増え、子どもを育てながら共働きをする若い世代へも目を向ける必要があります。デポーには、今までの配送形態では参加することが難しかった人たちも組合員になり、共同購入ができる可能性があると思います」

また、現在生活クラブ埼玉では、個配の組合員の占める割合が85%にのぼる。「新しく加入する組合員はほとんどが個配を選びます。デポーを利用できるようになると、そこはいろいろな人が出会う場になるでしょう」と、もうひとつのデポーの可能性をあげる。
生活クラブ埼玉の理事長、木下美由紀さん。「何もかもが初めてでした。新しいことを始めると、すてきな出会いが生まれますよ」

デポー建設へ!

建設へ向けて具体的に動き出したのは5年前。生活クラブ埼玉の第6次中期計画(15年度~19年度)では「共同購入政策」の中で、「働く人が参加しやすい共同購入の仕組みやルールを整備していく」と宣言した。それを受けて「デポー事業取り組みについて検討するプロジェクト」が立ち上げられる。 

1年をかけて、開所は可能か、可能な場合考えられる条件は何かなどを探った。その結果を踏まえ、16年に出された答申では、デポーは「活動をさらに前進させる取り組みであり、建設モデルの設計が可能である」と結論づけられた。この結果は、理事会を経て17年に開催された第43回通常総代会に「デポー事業の取り組みについて」として提案された。

総代会では出席総代により、時間をかけて活発な意見交換が行われた。経営的に成り立つのか、店舗の運営に関わる人材は集まるのかと、不安や反対の意見も多くあった。
しかし木下さんは「こういった提案があり実行したいという意思を持つ人たちが出てきた時、それができる仕組みをつくっておける組織でありたいという意見も出されました。組合員がこうしたいと思う意思を形にしていくことはとても大事だと思いましたよ」とふり返る。

描いた夢がかなう

左から、「浦和西エリアデポー建設委員会」で活躍した齊間あずささん、理事長の木下美由紀さん、ワーカーズ「つきうさぎ」の脇田朱美さん、理事、望月亜紀子さん。「つきうさぎ」の名前の由来はデポーの向かいにある調(つき)神社。こま犬ではなくこまうさぎがいる
デポー建設候補地は、埼玉県の主な路線ごとに四つの地域が想定された。総代会議決の年、このうちのひとつである京浜東北線エリアで、建設活動が動き出した。翌年には「京浜東北線デポー構想」をまとめ、19年8月にJR浦和駅より歩いて約10分の場所に物件を決定し、ワーカーズ設立、1000人の仲間づくりなど、デポー開所へ向けての準備が始まった。

建設委員会の一員として活動してきた齊間あずささんは、「最初は組合員が全然増えなくて大変でした。でも、デポーは私にとって必要な場所です。待っていたらできないと、幼稚園、公民館、知り合いに片っ端から声をかけました」。担当理事として建設委員会を支えてきた望月亜紀子さんは、「地域のみんなで、集まれるお店があったらいいねと夢を描いたことがあります。今が実行のチャンス、手がけるのは私たち、という思いでした。子育て世代が大活躍しましたよ」と、委員会に集まった若い世代を頼もしく思う。

こうして3月20日、「デポー浦和」がオープンした。新型コロナウイルス拡散防止のため、オープニングイベントはすべて中止という異例のスタートだったが、1000人の組合員を迎えることができた。

その後も、ワーカーズや来所者が、拡散防止策をとりながら開所を続け、5月末現在、1178人がデポーの組合員として消費材を利用している。

品出しやレジなど日常業務と運営を受託するのはワーカーズ「つきうさぎ」。スタッフの脇田朱美さんは、「初めての試みで期待と不安はいっぱいですが、経営者の視点を意識して、日々のフロア業務に立っています」。出会えた組合員に消費材や生産者のことを話して、うまく伝わった時は本当にうれしいと言う。

あと4店舗が目標


生活クラブ埼玉は、今後、5年から10年の間にあと四つのデポーを開所する予定だ。理事長の木下さんは、「今回は何もかもが初めての経験なので大変でした。複数のデポーができることによって、お互いが切磋琢磨しながら成長していくことを期待しています」。さらに、組合員同士の出会い、生産者との語らい、生活クラブを知らない人との出会い、デポーで生まれるこの三つの出会いがとても魅力的だと続ける。

デポーはフランス語で「荷さばき所」という意味。デポーに集う人たちが消費材を介して食を語り暮らしを語り、そこから見えてきた、自分たちが住みたい街を思い描いていく。そんなわくわくする場所づくりが始まった。
撮影/田嶋雅已
文/本紙・伊澤小枝子

『生活と自治』2020年7月号 「生活クラブ 夢の素描(デッサン)」を転載しました。
【2020年7月30日掲載】

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