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「温州みかん」の産地を組合員と生産者が協力して点検【消費材Step Up点検】

無茶々園の宇都宮幸博さん

2020年11月17日、組合員が「温州みかん」の消費材Step Up点検のために、生活クラブと提携する生産者・西日本ファーマーズユニオンの無茶々園(愛媛県)のみかん畑をオンラインで視察しました。

「消費材Step Up点検」とは、組合員が消費材の生産現場を訪れ、生産者と共に決めた生活クラブの基準に沿って消費材が作られていることを、組合員と生産者が直接会って点検する生活クラブ独自の活動です。両者が率直に意見を交わし、理解や改善を重ねることで、消費材をよりよいものへと向上させていくための大切な機会です。

無茶々園の「温州みかん」が点検の対象となるのは、今回が初めて。生活クラブ連合会・自主監査委員会メンバーの組合員5名と事務局の3名が参加して、無茶々園の担当者と一緒に、栽培の環境や管理方法などについて話し合いました。

「温州みかん」の生産現場を全員で確認

生活クラブで供給する無茶々園の温州みかんは、有機質肥料を使い、できるだけ農薬に頼らずに栽培されています。出始めはさわやかな酸味を、秋から冬にかけての旬は濃い甘味を味わうことができます。
 
温州みかん

消費材Step Up点検には、温州みかんを生産する「農事組合法人 無茶々園」の宇都宮幸博さんと、販売を担う「株式会社 地域法人無茶々園」から2名が参加。生活クラブ連合会からは自主監査委員会の組合員5名、事務局3名とともに点検を実施しました。組合員は事前に学習会を行ない、点検・質問項目を準備して生産者に提出しています。

当日は、無茶々園の宇都宮さんたちが、ちょうど収穫時期を迎えた温州みかんの畑からオンラインで中継しました。温州みかんは日当たりがよく、急峻な斜面につくられた段々畑で栽培されています。生産者にとってもっとも過酷なのは、この場所での作業です。

宇都宮さんは「畑は傾斜がかなり急です。真夏に35度を超える暑さのときはさすがにきついです」とその苦労を語りました。
 
動画も使って産地の様子を説明。真夏はふだんより1時間早く作業を始め、日差しが強い時間帯は休憩をとる。

年3回の決められた時期に肥料をまき、収穫後の冬季は果樹の剪定などを行なって、翌年に果実がなる枝を残します。春ごろからは草刈り、病気や害虫の予防と駆除(防除)を行ない、大きさをそろえるため余分な実を間引き。秋から冬にかけての収穫時期は、実の傷みや腐り、大きさや見た目などを確認して選り分けます。各園から果実が集まる共同の選果場に運んだあとも、目視での選別、選果機を使って糖度や酸度を測り、合格したみかんだけが出荷されます。

必要最低限の農薬にとどめるために

生産者の概要説明の後、組合員は事前に用意した質問リストの回答をもとに生産者と意見交換しました。組合員が特に気にしていたのは、使用した農薬とその理由です。これに対し、無茶々園側は農薬リストを公開し、宇都宮さんが返答しました。

温州みかんを育てるうえで、避けては通れないのが病害虫の防除です。「近年は温暖化のせいか高温多湿となることが多く、病気や害虫が増えています」と宇都宮さんは訴えました。化学農薬であっても、一切使用せずに栽培するのは難しい状況とのこと。そのため、無茶々園では各病害虫に対して共通の農薬リストをつくり、 それ以外は使用せず、回数もできるだけ絞っています。

収穫期を迎え、畑で鈴なりに育つ温州みかん。

病気の例のひとつに挙げられたのがソウカ病です。葉や果実などにゴツゴツした病斑が発生する伝染病で、「果実の見た目や味が悪くなり、商品として成り立たなくなります」と宇都宮さんは話します。

害虫では、果実の食味を損ねるカメムシ、木を食い荒らすゴマダラカミキリムシなどが挙げられました。カメムシが発生した場合、ネオニコチノイド系の農薬での防除が必要になります。ネオニコチノイド系の農薬は、生活クラブの組合員と生産者で決めた自主基準では不使用が推奨されていますが、現在は有効な農薬がほかにない状況だといいます。

組合員が「非ネオニコチノイド系の農薬を使う取組みは進んでいますか」と宇都宮さんに確認すると、「試験的に1年使っていますがまだあまり効果は出ていません。減らせるように、何年かかけて検証を進めていきます」との答えがありました。

アプリを使ってみかん栽培を管理

組合員は次に、温州みかんをどのように栽培したかを確認する方法について聞きました。

無茶々園では2020年から栽培を管理するアプリを導入しています。生産者はアプリに、その日の天候や、誰がいつ、どのような肥料・農薬を何のために、どれだけ散布したかなどを正確に入力。送信されたデータは事務所で管理できるほか、生産者も自分の記録を振り返ることができます。宇都宮さんはアプリ画面を見せて、その方法を説明しました。

アプリの画面。操作が難しい場合は無茶々園の事務所が代りに入力している。

みかんをつくり、地域の未来を支える仕組みに共感

組合員が興味を持った回答のひとつに、「生産技術のマニュアル化、情報共有をしている」という項目がありました。

無茶々園では、生産者全体のレベルアップのために、病害虫対策や栽培に必要な作業などを具体的にまとめたマニュアルを作成。参考にすることで、新規就農者でも栽培がしやすくなるという利点があります。地域法人無茶々園の細島毅さんは、「個々の生産者を支えるだけでなく、地域全体を支えていきたいという思いがあります」と語ります。

みかん畑と地域をつなぐ例は、ほかにもありました。宇都宮さんは、畑の有機質肥料に、近くの漁協の魚かす、なたね油かす、米ぬかなどを混ぜて使用。近隣の小学校では、こうして育てたみかんの授業を行なっています。

「みかん畑を見た子供たちが、大きくなって故郷を離れてからも、こんな風にここで生きていけるということを再認識してもらいたい」と思いを話す宇都宮さん。組合員からは「地域の魅力をあらためて見つけるきっかけにもなりますね」と共感の声が上がりました。

お互いへの理解を深め、消費材をともによりよいものへ

終了後、組合員と生産者が今回の点検を振り返りました。組合員は「実際に現場を歩いて、詳しく見てみたくなった」と口をそろえます。

生活クラブ神奈川の大久保明美さんは、「みかんは農薬を使うのが当たり前だと聞いています。そんな中で、無茶々園では自分たちで何をどれだけ使うかをきちんと話し合って決めているのが分かりました。これからも応援していきたいです」とコメント。生活クラブ横浜みなみの競啓子さんもこう話します。「みかんだけでなく、持続可能な地域コミュニティをつくろうとしていると知り感動しました」。

無茶々園からは、宇都宮さんが「このような形で生産者と組合員が会話し、みなさんにみかんを食べてもらうことが次につながると思います」と返答。細島さんは「ぜひ食べたみかんについてのフィードバックをいただきたい。私たちの取組みを面白いと感じてもらえたら、ぜひほかの組合員の方にも広めてもらいたいです」と語りました。

生活クラブではこれからも組合員と生産者が協力し、安心して食べ、使える消費材をつくるために、消費材Step Up点検を続けていきます。

Step Up点検に参加した組合員と生産者のみなさん。
【2020年12月11日掲載】
 

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