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子どもの甲状腺検査活動(2019年度)の報告会を開催しました


 
生活クラブでは組合員から寄せられたカンパをもとに、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で被災した方々への支援活動を続けています。活動のひとつとして、2012年度から生活クラブ独自の甲状腺検査を毎年行なっています。

各地域の2019年度の活動内容を共有する報告会を、12月4日に開催。コロナウイルス感染拡大の影響から、オンラインで開かれた報告会に組合員など約90名が参加しました。

生活クラブが独自の甲状腺検査活動を続ける意義

福島第一原発事故によって放射性物質が拡散されたことで、甲状腺がんの発生が懸念されています。放射能による甲状腺がんは、年齢が低いほどかかるリスクが高いとされていますが、医学的に分かっていないことが多いのが実情です。

生活クラブの甲状腺検査は、原発事故当時に福島県にいた子どもたちだけでなく、他の地域の子どもも検査の対象です。福島県と他地域を比較するとともに、全国各地の実態を把握して、甲状腺がんの早期検診や脱原発活動につなげることをめざしています。

2019年度は16地域の生活クラブで甲状腺検査を実施。52ヶ所の医療機関の協力を得て、467人の子どもが受診しました。2020年初頭からの新型コロナウイルス感染拡大を受け、例年よりも期間を延長して実施するなど、各地で慎重な判断が必要となる検査活動となりました。

原発事故から9年経って見えてきた健康被害

道北勤医協・旭川北医院院長の松崎道幸医師
12月4日に開催された報告会は、生活クラブ連合会の事務局による報告からはじまり、生活クラブの甲状腺検査を監修する道北勤医協・旭川北医院院長の松崎道幸医師の講演がありました。

松崎医師は、原発事故後の健康への影響は大きく分けて三つあることが明らかになってきたと報告。一つは空間線量が多かった地域ほど、子どもの甲状腺がんが増えていたということです。発病する比率を性別から見ると、本来は女性に多い結果となるはずが、原発事故後に発見された甲状腺がんの男女比はほぼ同じだといいます。このことから、松崎医師は被ばくが原因だと主張し続けてきましたが、政府は「被ばくとは関係ない」という姿勢を崩すことはありませんでした。しかし最近になって、被ばく量が多ければ多いほど、甲状腺がんが多いという研究結果も出されたと述べました。

二つ目は、2500g以下で生まれる低体重出生が増えていたこと。そして三つ目は、先天性疾患の増加です。原発事故から9年が経ち、さまざまな研究を重ねてはじめて明らかになる健康被害があることから、甲状腺検査と健康被害の監視を続ける重要性を語りました。そして、原子力発電所が構造物として抱える脆弱性を例に「原発の再稼働を何とか止めなくてはならない」と強く訴えました。

甲状腺がんと診断された方々への新しい支援

講演に続き、原発事故で被害を受けた人たちをサポートする2つの団体が、それぞれの活動を報告しました。
NPO法人「3・11甲状腺がん子ども基金」は、甲状腺がんと診断された子どもと、その家族を多方面から支えるために設立された団体です。療養費の給付「手のひらサポート」や、電話での相談などの事業を行なっています。専務理事の吉田由布子さんは、2020年3月末までに161人に療養費を給付したと報告。基金の活動を通じ、福島県の「県民健康調査」では、二次検査以降に病院での経過観察となり、観察中に甲状腺がんと診断された方の人数が報告されていないことが分かってきたといいます。それにも関わらず、福島県は「放射線の影響とは認められない」と評価しているのが現状であると語りました。
NPO法人「3・11甲状腺がん子ども基金」の吉田由布子さん
原発事故から9年が経過し、がんの手術後に出産して母親になった方たちも増えています。2020年から新しく、甲状腺がんの手術を受けた方たちの妊娠と出産の支援もスタート。加えて、コロナ禍によって収入が減ってしまうなどの事情を抱えた方たちへのサポートを実施しました。これからも幅広く支え続けるとともに、福島県の甲状腺検査の検証もすすめていくとの決意を語り、さらなる協力を呼びかけました。

苦しみを抱えながら福島で生きる、お母さんの声

続いて、国際環境NGO「FoE Japan」の矢野恵理子さんから、保養の活動「ぽかぽかプロジェクト」について報告がありました。「保養」とは放射能の心配のない地域に行き、外部・内部被ばくを減らす活動です。安心して外で遊べる機会や、放射能への不安を自由に語れる場にもなっています。しかし、2020年に入ってからコロナ禍の影響を受け、保養の計画がいくつも中止に追い込まれてしまったといいます。感染防止に最大限の配慮をしながら、小規模での活動を一部再開したばかりとのこと。
国際環境NGO「FoE Japan」の矢野恵理子さん
今回は保養の参加者で、福島県で2人の小学生を育てるお母さんが、いまの想いを語ってくれました。

「原発事故後は、西日本に母子避難をしました。一年後には新築したばかりの家を売って夫も避難先へきましたが、仕事がうまくいかず原発事故を理由に嫌がらせを受けたこともありました。事故から5年目の春に福島へ戻る決断をしましたが、安心だから戻ったわけではありません。長期休みに行く保養が、心の拠りどころでした。マスクをして見えないものを恐れる生活は、どうしても事故当時のことを思い起こしてしまいます。コロナ禍で保養に行けないことで、苦しみが上乗せされているようです。まだ何も終わっていません。今後もともに考え、心を寄せていただければうれしいです」と訴えました。

各地の報告から見える、検査活動の大切さと難しさ

報告会の後半では、岩手、栃木、群馬、福島の生活クラブより、2019年度の活動報告がありました。コロナ禍に加え、事故から9年が経過し検査の継続が難しくなってきている各地の実情が語られました。

生活クラブ岩手の佐々木幹子さんは、過去に受診したことのある方々へ手紙を送って継続的な参加を呼びかけ、31人が受診したと報告。しかし受診者の年齢が上がるにつれ、部活動で受診が難しくなったり就職で転居したりと、継続的な検査の難しさを語りました。

生活クラブ栃木の稲井公美さんからは、検査の継続希望者は97名だったものの、コロナウイルスの感染拡大の影響から、最終的な参加人数は76名だったとの報告がありました。検査に行く日程を取るのが年々難しくなっているという声もある一方、新たに検査を希望する方もいるとのこと。「放射能への不安は、依然として組合員の日常生活にある」と報告しました。

生活クラブ群馬の黒金惠子さんの報告では、41名の方が検査を受診。2ヶ所の医療機関の協力を得て、日程を調整しやすくしています。例年は学習会や講演会も行なっていますが、2019年度は中止に。今後はオンラインで学習会を開催する計画を立てています。

最後に生活クラブふくしまの加藤純子さんから、「原発事故から9年が経過し、これからが大事」だという声が挙がりました。子どもの甲状腺がんが増え続け、きちんとした情報公開がないにも関わらず、学校で実施されていた検査に廃止の動きが出てきているといいます。確実に安全だと言えるまで、検査活動の継続を呼びかけ、不安を抱える母親たちに寄り添い続けていくとの決意を語りました。

これからも被災地に寄り添い、必要な支援を続けます

報告会の最後に設けられたディスカッション・質疑応答の時間には、参加者から「福島のお母さんの切実な想いに共感した」という声や、「これからも活動を続けていかなくてはならない」という声が多く聞かれました。

司会を担当した、生活クラブ連合会理事の増田和美さんは次のように呼びかけ、報告会の終わりの挨拶としました。
「検査活動を継続して得られるたくさんのデータの蓄積が、いろいろなことを物語ってくると松崎先生はいつもおっしゃいます。実際にさまざまなことが明らかになり、検査活動の意義を感じました。また、福島のお母さんの声を聞いて、活動を続けていこうという力が湧いてきたと思います。継続は力なりです。今後も各地で活動を頑張っていきましょう」

今回の報告会は、原発事故から9年が経過し、改めて検査活動の重要性と、難しさの両面が浮き彫りになりました。生活クラブの復興支援活動は、2025年まで継続していきます。これからも被災地に寄り添いながら、実状にあった支援を続けています。
【2020年12月25日掲載】
 

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