東日本大震災から10年 これからも ずっと、ともに。
2011年3月11日から10年。被災された方々とおおぜいの組合員が、復興への歩みをともに進めてきました。生活クラブはこれからも被災地に寄り添い、必要とされている支援を続けていきます。
❶㈱高橋徳治商店の高橋英雄さん(宮城県東松島市) ❷重茂漁業協同組合の山崎義広さん(岩手県宮古市) ❸重茂漁業協同組合に生活クラブの組合員によるカンパで寄贈した「第2与奈丸」(岩手県宮古市/2013年) ❹仮設住宅の「青空市」(福島県新地町/2014年) ❺㈱丸壽阿部商店の阿部寿一さん(宮城県南三陸町) ❻共生地域創造財団を通じて支援する、NPO法人 昭和横丁(福島県川内村)の志田篤さん(写真は福島県郡山市の仮設住宅/2014年) ❼生活クラブふくしまの要請に、医師、病院が協力してはじまった甲状腺検査(2012年) ❽甲状腺がんなど健康への不安に医師が応える、NPO法人3.11甲状腺がん子ども基金の電話相談(2018年) ❾被災した人たちの就労訓練を受け入れる、漁師の亀山秀雄さん(宮城県石巻市/2016年) ❿生活クラブ東京が開催したリフレッシュツアー(2016年) ⓫生活クラブ神奈川「東日本大震災・復興支援まつり」(2016年) ⓬リフレッシュツアーに福島から参加した家族と、生活クラブ静岡のボランティア(2017年) ⓭共生地域創造財団・石巻事務所のスタッフ(宮城県石巻市/2019年) ⓮共生地域創造財団を通じて支援する、一般社団法人コミュニティスペースうみねこのみなさん(宮城県女川町/2018年) ⓯支援物資の届け先にて。生活クラブふくしまの組合員(福島県相馬市/2011年) ⓰生活クラブ「甲状腺検査活動報告会」の様子(2017年) ⓱生活クラブ北海道が開催したリフレッシュツアーの参加者(北海道積丹町/2019年) ⓲生活クラブ神奈川の「東日本大震災・復興支援まつり」(2018年) ⓳生活クラブ東京が生活クラブ協同村で開催したリフレッシュツアー(2019年)
復興支援カンパの残高を活用し、2025年まで支援活動を継続します
2021年、新型コロナウイルス・パンデミックが長期化する中で、東日本大震災・福島第一原発事故から10年目を迎えることとなりました。10年前も今回も、私たちは多くの仲間たちや生産者の皆さんと力を合わせて、必要な支援を次々と具体化することができました。
現在、東北の被災地では、地盤や道路、防潮堤などのインフラ整備はすすんだものの、人々の暮らしや地域社会の状況は復興には遠い実態があります。人口減少と高齢化の進行、支え合いの地域コミュニティは再生されず、基幹である第一次産業の衰退が止まりません。福島第一原発の廃炉作業も終わっていません。
現在、東北の被災地では、地盤や道路、防潮堤などのインフラ整備はすすんだものの、人々の暮らしや地域社会の状況は復興には遠い実態があります。人口減少と高齢化の進行、支え合いの地域コミュニティは再生されず、基幹である第一次産業の衰退が止まりません。福島第一原発の廃炉作業も終わっていません。
こうした現状をふまえ、復興支援カンパの残高(約1.3億円)を有効に活用しながら2025年まで支援活動を継続することにしました。時間の経過とともに被災地の状況も変化していきます。これからも現地を訪ね、そこに住む人たちの声をしっかり聴きながら、支援の内容を話し合ってすすめていきます。さらに2025年以降の活動のあり方も検討していきます。
これまで支援活動に参加された皆様、支援物資やカンパを寄せてくださった多くの組合員の皆様に心からの感謝を申し上げます。これからも被災地とともに歩んでいきましょう。
これまで支援活動に参加された皆様、支援物資やカンパを寄せてくださった多くの組合員の皆様に心からの感謝を申し上げます。これからも被災地とともに歩んでいきましょう。
生活クラブ生協連合会 会長
伊藤 由理子
カンパへのご協力ありがとうございました!残高を基金化し、2025年まで支援活動を継続します
生活クラブでは組合員からのカンパをもとに、困難や不安を抱える人への息の長い支援を続けています。復興への取組みは今も継続中で、支援を終了する状況ではありません。2025年までを想定し、現在の活動を継続していきます。継続にあたり復興支援カンパの募集はいったん終了し、残高約1.3億円(見込み)を「災害復興支援カンパ基金」として運用管理していきます。今後、想定を上回る支援の必要性が出てきた場合は、カンパを新たに呼びかけます。また、支援活動の状況と基金の収支については、年1回「復興支援ニュース」を発行、連合会公式WEBサイト上でも報告していきます。
2019年春に実施した「復興支援第9次カンパ」には、3,121万9,516円が寄せられ、2020年春に募った「第10次カンパ」には、3,109万5,780円が寄せられました(2020年11月5日現在)。下記の使途計画に基づき、活動を継続していきます。
2019年春に実施した「復興支援第9次カンパ」には、3,121万9,516円が寄せられ、2020年春に募った「第10次カンパ」には、3,109万5,780円が寄せられました(2020年11月5日現在)。下記の使途計画に基づき、活動を継続していきます。
生活クラブの復興支援活動
♥生活クラブの直接支援
子ども達の未来を守る、独自の甲状腺検査活動
「甲状腺検査活動2019報告会」を開催しました
生活クラブでは、2012年度から独自の甲状腺検査活動を行なっています。各地域の2019年度の活動内容を共有する報告会を、12月4日に開催。オンラインで開かれた報告会に組合員など約90名が参加しました。
子ども達の未来を守る、独自の甲状腺検査活動
「甲状腺検査活動2019報告会」を開催しました
生活クラブでは、2012年度から独自の甲状腺検査活動を行なっています。各地域の2019年度の活動内容を共有する報告会を、12月4日に開催。オンラインで開かれた報告会に組合員など約90名が参加しました。
独自の甲状腺検査活動を続ける意義
放射能の影響による子ども達の甲状腺がんの発生が懸念されています。福島県は「県民健康調査」を行なっていますが、受診した子どもや保護者が納得できる情報公開はされていませんでした。生活クラブの甲状腺検査は、福島県による調査との比較や甲状腺がんの早期検診、脱原発活動につなげることなどを目的としています。
放射能の影響による子ども達の甲状腺がんの発生が懸念されています。福島県は「県民健康調査」を行なっていますが、受診した子どもや保護者が納得できる情報公開はされていませんでした。生活クラブの甲状腺検査は、福島県による調査との比較や甲状腺がんの早期検診、脱原発活動につなげることなどを目的としています。
■甲状腺検査活動の受診者数の推移
※2019年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響から、 5つの地域で中止となりました。
※2019年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響から、 5つの地域で中止となりました。
9年経って見えてきた健康被害
生活クラブの甲状腺検査を監修する松崎道幸医師は、三つの健康への影響が明らかになってきたと報告。一つは空間線量が多かった地域ほど、子どもの甲状腺がんが増えていたということです。発病する比率を性別から見ると、本来は女性に多い結果となるはずが、原発事故後に発見された甲状腺がんの男女比はほぼ同じだといいます。二つ目は、2,500g以下で生まれる低体重出生が増えていたこと。そして三つ目は、先天性疾患の増加です。原発事故から9年が経ち、さまざまな研究を重ねて分かる健康被害があることから、甲状腺検査と健康被害の監視を続ける重要性を語りました。
生活クラブの甲状腺検査を監修する松崎道幸医師は、三つの健康への影響が明らかになってきたと報告。一つは空間線量が多かった地域ほど、子どもの甲状腺がんが増えていたということです。発病する比率を性別から見ると、本来は女性に多い結果となるはずが、原発事故後に発見された甲状腺がんの男女比はほぼ同じだといいます。二つ目は、2,500g以下で生まれる低体重出生が増えていたこと。そして三つ目は、先天性疾患の増加です。原発事故から9年が経ち、さまざまな研究を重ねて分かる健康被害があることから、甲状腺検査と健康被害の監視を続ける重要性を語りました。
道北勤医協・旭川北医院院長
松崎 道幸医師
松崎 道幸医師
被害を受けた方たちに寄り添い続ける
講演に続き、原発事故で被害を受けた人たちをサポートする2団体が活動を報告しました。
NPO法人「3・11甲状腺がん子ども基金」は、甲状腺がんと診断された子どもと、その家族を多方面から支える団体です。療養費の給付や相談事業などを行なっています。専務理事の吉田由布子さんは、2020年3月末までに161人に療養費を給付したと報告。基金の活動を通じ、福島県の調査では、二次検査以降に病院での経過観察となり、観察中に甲状腺がんと診断された人の人数が報告されていないことが明らかになったといいます。手術を受けた人の妊娠と出産のサポートをはじめるなど、これからも幅広く支え続けるとの決意を語りました。
NPO法人「3・11甲状腺がん子ども基金」は、甲状腺がんと診断された子どもと、その家族を多方面から支える団体です。療養費の給付や相談事業などを行なっています。専務理事の吉田由布子さんは、2020年3月末までに161人に療養費を給付したと報告。基金の活動を通じ、福島県の調査では、二次検査以降に病院での経過観察となり、観察中に甲状腺がんと診断された人の人数が報告されていないことが明らかになったといいます。手術を受けた人の妊娠と出産のサポートをはじめるなど、これからも幅広く支え続けるとの決意を語りました。
NPO法人「3・11甲状腺がん子ども基金」専務理事
吉田 由布子さん
吉田 由布子さん
続いて、国際環境NGO「FoEJapan」の矢野恵理子さんから、保養の活動「ぽかぽかプロジェクト」の報告がありました。「保養」とは放射能の心配のない地域に行き、外部・内部被ばくを減らす活動です。安心して外で遊べる機会や、放射能への不安を自由に語れる場にもなっています。しかし、2020年に入ってからコロナ禍の影響を受け、保養の計画がいくつも中止に追い込まれる事態に。感染防止に最大限の配慮をしながら、小規模での活動を一部再開したばかりとの報告がありました。子ども達の未来を守るためには、まだまだ支援が必要です。
生活クラブでは復興支援カンパをもとにした基金で、これらの活動の支援を2025年まで続けていきます。
生活クラブでは復興支援カンパをもとにした基金で、これらの活動の支援を2025年まで続けていきます。
国際環境NGO「FoE Japan」
矢野 恵理子さん
矢野 恵理子さん
♥共生地域創造財団を通じた支援
自分らしい暮らしを取り戻すために
「共生地域創造財団」は、3つの団体で設立した被災地支援団体です。
被災3県(福島県、宮城県、岩手県)を中心に、地域に寄り添いながら復興にとどまらない支援活動を続けています。
「共生地域創造財団」は、3つの団体で設立した被災地支援団体です。
被災3県(福島県、宮城県、岩手県)を中心に、地域に寄り添いながら復興にとどまらない支援活動を続けています。
生活クラブとグリーンコープ共同体の2つの協同組合と、NPO法人ホームレス支援全国ネットワークが母体となっています。生活クラブはこれまで、組合員からの復興支援カンパをもとに支援を続けてきました。
共生地域創造財団の現在の活動の拠点は、宮城県石巻市と岩手県の陸前高田市・大船渡市・上閉伊郡大槌町の4ヶ所です。相談者の状況を見ながら課題を整理し、いっしょに解決をめざす「伴走型支援」を大切にしています。
共生地域創造財団が行なってきた支援活動
【見守り訪問】仮設住宅や被災した家を訪ね、困っていることがないか聞き取りなどをしています。
【生活相談】さまざまな生活上の悩みを聞き、状況に合わせた支援を行なっています。
【就労支援】生活困難者の就労に向けた訓練として、牡蠣の出荷作業などを実施しています。
【中間支援】災害が発生した時に全国からカンパを募っています。カンパをもとに、被災した地域で活動するNPO法人などの支援団体に助成や物資支援を行なっています。
「共生地域創造財団10年目のシンポジウム」をオンラインで配信します
開催日時 2021年3月6日(土)14時~15時
※YouTubeにて視聴可能
https://youtu.be/c7pXED3iblA
(動画はアーカイブに残ります)
★『生活クラブOPINION 復興支援ニュース』 2021年3月2回(09週) 掲載記事を転載しました。
【2021年2月22日掲載】