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有害化学物質削減に向けて――みんなの力でできること

生活クラブ連合会は、健康で安心して暮らせる社会の実現のため「消費材10原則」を定め、その第6原則に「有害化学物質の削減」を掲げる。だが、現在の社会には、工業的に生産されるものだけで約10万種の化学物質が存在し、年間1000トン以上生産されるものは約5000種におよぶ。食品や日用品を共同購入する生活クラブでは、それらにどう対処しているのだろうか。また今後、有害化学物質削減に向けて何ができるのか。

「できるだけ疑う」姿勢

生活クラブ連合会の消費材原則の第6は「‟疑わしきは使わず”という予防原則に基づき、健康をおびやかし環境を破壊するおそれのある化学物質の使用を減らすとともに、環境への放出を削減します」というもの。これについて、連合会品質管理部の槌田博さんは、「『疑わしきは使わず』という予防原則だけでなく、『できるだけ疑う』という姿勢が大事です」と話す。まず疑ってみなければ、「使わず」にはつながらないからだ。

生活クラブが誕生した1960年代後半は、水俣病など化学物資による深刻な産業公害が社会問題となり注目を集めた時代だった。メーカーによる一方的な牛乳価格に異議を唱え、集団飲用から始まった運動は、次第にこうした有害化学物質に対しても目を向けるようになり、生産者に要望を伝え、製品を購入することでその生産を保証する活動へと発展していった。

そうした活動の一つに「せっけん運動」がある。かつて生活クラブも合成洗剤を共同購入していた時代があった。だが当時は合成洗剤による河川の汚染が深刻な社会問題となり人体への影響も懸念されるようになっていた。油脂とアルカリが反応してできるせっけんもまた化学物質だが、その歴史は5000年と古く、合成洗剤の歴史とは桁違いだ。長年使ってきて大きな問題がないせっけんで日常生活が過ごせるなら、あえて問題のある合成洗剤を使う必要はないと、一切扱わないことを決めた。その後、より低刺激性の成分をうたう合成洗剤も出てきたが長期的検証がなされていない点に変わりはない。代替できれば必要ないとの考えに基づき、今に至るまで合成洗剤は扱っていない。

食品添加物もできる限り削減したい化学物質だ。とはいえ、たとえば豆腐を固める「にがり」のように添加しなければ作れないものもある。何百年も前から使われてきたにがりに対して、近年は加水した豆乳も固められる凝固剤が登場した。確かに固めることはできるが、使う必要はあるのだろうか。食品添加物の本質を「ごまかすもの」と槌田さんは指摘する。本来の色、匂い、味、鮮度を変えることができる添加物。中でもグルタミン酸ナトリウムは100%がうま味成分だ。添加すれば何でもうまいと脳は認識する。形やうま味だけで判断せず、本当に必要な食べ物は何かを考えながら「なくてもよいもの、代替できるものは使わない」が基本原則だ。
 

生産者と共に課題解決

持続可能な生産と消費を進める自主基準書
一つ一つの消費材への対応を行っていた時期を経て、1997年、これをまとめる形で、消費材の自主基準を制定した。消費材を作り育てるためのガイドラインだ。生産者はこれにのっとって必要な項目を自主的に検査し、結果を登録する。検査項目は、食品添加物、残留農薬、環境ホルモン(内分泌かく乱物質)、放射能、遺伝子組み換えなど、12項目ある。

基準の制定にあたり、食品添加物については、当時認められていたものを許容添加物とした。使うときには、製品にどのような違いが生じるか、その違いは受け入れられるものか、使用の有無による製品の違いを細かく検証する。自主基準は定期的に見直されるが、どんなに有効で毒性がない添加物でも、本当に必要でなければ新たに許容することはない。
一方、農薬は発がん性の有無やダイオキシン類か否かなどの指標を設け、総合的に毒性の強いものから「削減指定農薬」と定めて削減に取り組む。農薬に限って毒性を基準にするのはそれだけ毒性が強いからだ。生き物を殺傷する薬剤の使用にはそもそもリスクが伴う。本来無農薬が望ましいが、約40万世帯の組合員が毎日食べる量を確保し、適正価格で供給し続けるには、状況に応じた使用も見極めていかなければならない。農薬はそもそも悪いものだと認識した上で、何を使いどこまで減らせるか、生産者と継続的な話し合いを重ねる。「強制的に禁止したり、使ったものは食べないと生産者に迫れば簡単かもしれません。でもお互いに納得して進めていくことが重要なのです」(槌田さん)
プラスチック化が進む生活用品については、耐久性が高く安全に使用できるか、製品の製造から廃棄まで、トータルに考え環境負荷を削減するものかが基準だ。特に食品に直接触れるものについては、厳格に追求している。環境ホルモンに指定されるものは、不使用を推奨する。

液漏れしない包材はガラスと金属とプラスチックしかないが、ガラスは輸送や使い勝手の点からは課題も多い。リユース瓶にこだわってきたマヨネーズにチューブ入りが加わったのは17年からだ。どうしても瓶は使いづらいという組合員はおり、利用しなければせっかく吟味した原料を使って作った消費材の良さは広がらない。10年以上に及ぶ議論の末の導入だった。

反対するのも組合員だが、要望するのもまた組合員であり、そこから重層的に議論が深まる。常に悩み、生産者と共に解決を図っていく姿勢が根底にある。
組合員自身の手で自主基準書に基づき消費材が作られていることを確認する「消費材Step Up点検」
文/大久保ろりえ

★『生活と自治』2021年5月号 「生活クラブ 夢の素描(デッサン)」を転載しました。
 
【2021年5月30日掲載】

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