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せっけん一筋、100年以上【粒状せっけん・固型せっけん他】


 
東京都北区に本社があるヱスケー石鹸(せっけん)の創業は、1918年。69年に埼玉県川口市に工場を移設し、100年以上、せっけんを作り続けている。戦後の高度経済成長期を経て発生した、合成洗剤による公害や人体への影響は社会的な問題となり、これを重視した生活クラブの各単協は、77年より、せっけんのみの取り組みへと切り替えた。ヱスケー石鹸が作るせっけんが、消費者の健康な暮らしを支えている。
 
SKは、創設者、倉橋三平さんのイニシャル

「洗う」とは

「『洗う』ことの目的は、汚れを落とし健康的な暮らしを維持するため。それ以外にありませんよ」。生活クラブ連合会の提携生産者、ヱスケー石鹸(せっけん)の常務取締役、小林衛さんが穏やかな笑顔で話す。

「せっけんは、衣類を洗濯し、食器を洗い、体を清潔に保つために必要な、最低限の道具としてあります。強い香りの香料や、着色料などは必要ありません」と言う。ヱスケー石鹸は、「洗う」という本来の目的に不必要なものは除くことを原点に、粒状せっけん、キッチン用液体せっけん、シャンプーなどの消費材を作ってきた。

汚れは通常、水に溶け込ませて洗い流す。しょうゆや汗など水溶性のものは、水の中でもんだりこすったりして物理的な力を加えると、ある程度落とすことができる。しかし、油やタンパク質などでできた、水に溶けない汚れを落とすには、水に油などをなじませる働きがある界面活性剤の力が必要だ。

シンプルなせっけん

界面活性剤とは、水と油のように、本来混じりあわない性質のものを混じりあわせる働きを持つ物質のこと。油やタンパク質でできた汚れを水になじませて洗い流す作用がある。界面活性作用を持つせっけんと合成洗剤だが、それぞれに原料と性質がちがう。
せっけんの原料は、ヤシ油や牛脂などの動植物の油脂類と苛性(かせい)ソーダなどのアルカリ剤。それらを混ぜて作る脂肪酸塩が主成分となる。せっけんが界面活性剤として働くには、水に溶けた時にアルカリ性を保つよう、一定の濃度が必要だ。すすぎなどで薄まると、すぐに洗浄力を失ってしまう。水といっしょに川や海などの環境中に放出されたものは、そこにあるカルシウムやマグネシウムなどのミネラルと結合する。「それはせっけんカスといわれ、組合員の皆さんには好まれていませんが、環境中では、水生生物のえさにもなる物質です」と、営業部の木曽基之さん。せっけんが環境にやさしいと言われる理由だと言う。

せっけんが使われてきた歴史は古い。現在のイラクで、メソポタミア文明の頃の粘土板が発見されたが、そこには今とそれほど変わらないせっけんの作り方が描かれていた。5千年も前の記録だ。
 
せっけんの原料の油脂を保存するタンク

合成洗剤と汚れ

歴史を伝える、昭和初期当時の製品案内
 
一方、合成洗剤は、第1次世界大戦の時、ドイツで石炭を原料に作る技術が開発されたのが始まりだ。その後、第2次世界大戦中に、米国で石油の副生成物から合成洗剤が作られ、安価な原料で大量生産されるようになった。

日本に入ってきたのは戦後。1951年からは国内での製造が始まる。高度経済成長期に当たり、電気洗濯機の普及とともに広く使われるようになった。

合成洗剤は、合成界面活性剤の他、洗浄力を増強するためのさまざまな助剤や、蛍光増白剤、再汚染防止剤、香料などの添加剤を含む。また、洗濯後の衣類の、風合いを保つために柔軟仕上げ剤の使用をすすめている。

合成洗剤の主成分である合成界面活性剤は、水で薄められても直ちに界面活性作用を失うことはない。乾いた衣類などに残り、皮膚疾患の原因になることもある。川や海などの環境中に放出されると、分解しにくい成分は自然環境の中に堆積する。

1999年、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(PRTR法)」が公布された。管理の対象となる第一種指定化学物質は当時354種。その中には、家庭用合成洗剤の原料に使われる10種類の合成界面活性剤が含まれる。
PRTR法は、現在3回目の改正の準備中だ。今回、第一種指定化学物質に、せっけんの主成分である脂肪酸ナトリウムと脂肪酸カリウムを加えることが検討されている。これに対して生活クラブ連合会は、「せっけん原料(脂肪酸塩)を『化管法(PRTR法)』の第一種指定化学物質として管理する必要はありません」という主旨のパブリックコメントを発表した。

ヱスケー石鹸も同じ考え方だ。小林さんは、「せっけんは川や海などの環境中に放出された場合、分解性が早く、界面活性剤としての力をすぐに失ってしまいます。微生物や魚のえさになり、生態系への影響が低いことは明らかです」と言う。第一種指定化学物質に指定され排出報告義務が発生すると、有害だと誤解されるのではないかとの懸念がある。審議中でもあり、せっけんの成分を第一種指定化学物質に指定する必要はないとの意見を出し続けていく意向だ。

100年続く、せっけん作り


ヱスケー石鹸の創業は1918年。東京都北区にあった工場で粉せっけんを作り、クリーニング店を中心に、軍や繊維業界と取引があった。

生活クラブは68年の設立当初より、日本生協連が開発した合成洗剤を取り組んでいた。ヱスケー石鹸と提携し、粉せっけんの供給が始まったのは73年。当時は石油危機の時代で、石油を原料とする合成洗剤が市場からなくなり多くの需要があった。しかしそれがおさまり再び安い合成洗剤が出回ると、粉せっけんの利用は10分の1に減ってしまった。

一方その頃、合成洗剤については、慢性毒性、皮膚疾患、公害問題などが指摘され始めていた。合成洗剤そのものを社会からなくそうと訴える消費者運動も起こり、生活クラブの中でも、全面的にせっけん類への切り替えをすすめる運動が展開された。
ヱスケー石鹸は、100年以上の歴史がある。「せっけんを、原則同じ製法でずっと変わらず作り続け、現在に至っています」と、4代目の代表取締役、倉橋公二さん。「合成洗剤を使うことによって引き起こされた公害や人の体への影響を学習し、せっけんを使いたいという人たちの声に応えてきました。そのようなせっけん作りを、これからも続けていきますよ」。それが使命だと言う。

撮影/田嶋雅巳
文/本紙・伊澤小枝子

働きもの、固型せっけん


生活クラブ連合会で扱う固型せっけんは、純せっけん分98%。酸化防止剤であるエデト酸塩も、香料、着色料も含まない。手洗い、洗顔はもちろん、洗濯の時の部分洗い、台所では食器までもきれいに洗い上げる。1個当たり約80円だ。

ヱスケー石鹸(せっけん)が固型せっけんの製造を始めたのは1998年。それまでは協力工場で作られていたものを供給していた。しかし、原料や作り方を確認でき、情報開示ができるものを組合員に使ってもらいたいと、新工場を建設した。その頃、一般には香りのよさを前面に出す化粧せっけんが主流だったが、無添加のせっけん製造を目指した。

原料の油脂は、牛脂とヤシ油が8対2の割合。製品の使い心地が一番よく、汚れが落ち、業界では黄金比率と言われた配分だ。せっけんは従来、油脂類と苛性(かせい)ソーダを大きな釜の中で反応させ、熱を加えて作る「けん化法」で製造していた。この方法はエネルギーを大量に消費し、二酸化炭素(CO2)を発生させる。
そこで、エネルギーとCO2排出削減のため、あらかじめオレイン酸やパルミチン酸などの脂肪酸だけを取り出し、アルカリを反応させる「中和法」を取り入れた。この方法で作ると、不純物が少ないため酸化が進みにくく、酸化防止剤も必要なくなった。一般には、長期保存のための黄ばみや劣化を防ぐために、エデト酸塩を添加する。

せっけんでの手洗いは、ウイルス対策にも効果がある。新型コロナウイルスのように脂質2重膜で構成されるウイルスは、界面活性剤により膜が壊され、感染能力を失う。昨年5月、NITE(独立行政法人「製品評価技術基盤機構」)により検証されたとして、経済産業省、厚生労働省、消費者庁は、「新型コロナウイルスに有効な界面活性剤」を公表した。現在、9種類の界面活性剤の中には、せっけんの主成分である脂肪酸ナトリウムと脂肪酸カリウムも含まれる。せっけんで手を10秒間もみ洗いをし、その後15秒間すすぐことを2回繰り返すと、ウイルスはほぼ取り除かれる。

一日に何度も手を洗い、食器類を洗い、靴下にこびりついた泥の汚れに固型せっけんをこすりつけて洗い落とす。筆者の手は、乾燥する季節には時々ハンドクリームのお世話になるが、荒れることはない。せっけんはアルカリ性の環境にある時だけ界面活性作用を発揮する。泡立った中でしっかり汚れを落とし、水とともに流れていく。たとえ残ったとしても、弱酸性に保たれている健康な人の肌では、界面活性の力が失われる。自然の材料でシンプルに作られたせっけんが人の肌を守ってくれている。
 
撮影/田嶋雅巳
文/本紙・伊澤小枝子

『生活と自治』2021年5月号「新連載 ものづくり最前線 いま、生産者は」を転載しました。
【2021年5月20日掲載】

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