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「デポー所沢」オープンまでの道のりとは? サステイナブルな暮らしをかなえる埼玉県内2店舗目のデポー

埼玉県の南西部・新所沢駅から徒歩3分の場所に、生活クラブ生活協同組合・埼玉が「デポー所沢」をオープンしました。「デポー」は生活クラブのオリジナル食材や生活雑貨を、手に取って選べる生活クラブ生協のお店。店舗の建設から運営までのすべてを組合員が担っています。5月28日から30日まで、店内での密を避けるため人数制限を行ないながらオープンイベントを開催。初日は10:30の開店後もしばらくの間、店舗外に行列が絶えませんでした。イベントには、3日間でのべ1,444人が訪れ買い物を楽しみました。

「デポー所沢」は浦和に続きオープンした、埼玉県内2店舗目のデポーです。計画が立ちあがってから、オープンまでにかかった年数は約4年。どんなお店なのか、そしてどんな思いでつくられたのかに迫ってみました。

広々として明るい売り場

店内キッチンでつくるできたてのお惣菜

埼玉県所沢市に安心・安全な食や人が集う、地域のステーションが誕生!

「デポー所沢」がオープンしたのは、駅前の商業施設の並びに新築されたビルの1階。地域に住む方々が日常的に利用する道路沿いにあります。木目を基調にした温かみのある外観と、「デポー所沢」の大きな看板が目印の店内には約2000点の品目が並びます。生活クラブでしか購入できない食材をはじめ、市場から直送された旬の鮮魚や埼玉県産の野菜、店内にあるキッチンでつくったお惣菜など、誰がどうやってつくったのかが分かる、安心で安全なものばかりです。また、リユースびんや紙パックの包装を採用してプラスチック包装を減らすなど、環境にも配慮しています。利用するだけで自然とサステイナブルな毎日がおくれるお店です。

店内のレイアウトも組合員の意見が反映されています。どなたでも利用しやすいように通路の幅を広くとり、バリアフリーのトイレも完備。組合員同士の集まりや、消費材をつくる生産者を招いて交流会などが開催できる、キッチン付きのコミュニティスペースも店内の一画に備えています。

また、デポーの運営は“ワーカーズ・コレクティブ”と呼ばれる、生活クラブの組合員たちが主体となり共同経営を行なう独自のスタイルをとっています。雇い・雇われる関係ではなく、一人ひとりが経営者であり労働者として事業に関わる自律的な働き方を実践。「デポー所沢」の運営は、30代から80代までのメンバーが支えています。

ただ買い物に来るだけでなく、さまざまな出会いを生みだす「地域(まち)のステーション」として、人ともの、人と人の架け橋になることをめざしています。 

※生活クラブでは、消費生活に必要な「材料」としての質を第一に考えて、扱うしなものを「商品」ではなく「消費材」と呼んでいます。

ベビーシート完備の広いトイレ

地域の交流を生むコミュニティスペース

人と人のつながりがあったからこそつくれた「デポー所沢」

デポー建設委員会メンバーとして関わってきた、山本尚代さん(左)と宮良敦子さん(右)

所沢エリアでデポー建設の話が持ち上がった2017年から準備をすすめてきた、生活クラブ埼玉の組合員、山本尚代(やまもと ひさよ)さんと宮良敦子(みやら あつこ)さんにお話を伺いました。

実は最初、建設には反対の立場だったと明かしてくれたのは山本さんです。
「生活クラブに加入して長いため、1週間に1度の配達でやりくりすることに慣れていて、本当にお店が必要なのかなと感じていました。また、きちんと継続して運営していけるのか資金面の心配もありました。2017年の総代会でデポー建設が提案され、賛成多数で建設をすすめることに。ライフスタイルの多様化や、荷受けの難しい高齢者のためにお店があるのもいいよねという声を聞いて、最初は100歩譲って…という思いでした。」

一方、宮良さんは「お店がつくれるなんて、おもしろそう!」とはじめから建設に賛成だったといいます。

「賛成したとはいえ、分からないことや大変なことばかり。準備をすすめる途中まで、“まだ建設をやめられるタイミング”であることが気持ちを楽にしてくれて、逆に活動を継続する後押しになったと思います。多くの人の力や応援が必要と考え、『デポーファンクラブ』のメンバーを募集し、どんなデポーにするかを一緒に考えたり、チラシ撒きを手伝ってもらったりと、最終的には500人のファンクラブメンバーとともに活動をすすめてきました。」
何とか順調に進んできた建設に向けての活動でしたが、2020年の5月にコロナ禍によっていったん計画が凍結する事態となります。そんな時にも仲間と話し合いを重ねて、活動を続けていこうと改めて決意した矢先に、いまの物件が決まったそう。「不動産関連の仕事をしている仲間が、この物件を見つけてオーナーさんと掛け合ってくれました。ほかにも候補はありましたが、これほど条件にあった場所はなく、導かれるように決まったと感じています」と、山本さんはいいます。
建設予定地が決まってからは、近隣で生活クラブの食材を紹介する「デポー市」などを開催。1,000人の組合員の仲間を募ることを目標に活動を続け、オープン前にその目標を達成することができました。

「1年後に1,500人の組合員を集めるのが次の目標です。そして、これまで活動をしてきたメンバーは60代が中心でしたが、デポーっておもしろいなと感じてくれる若い世代が出てきてくれたらうれしいですね」と、宮良さん。山本さんは「結果的に、当初から思い描いていた通りのお店がつくれました。コロナ禍が収束したら、試食販売やまぐろの解体ショーも開催したいです。また、これからの課題はフードロスを出さないこと。廃棄を少しでも減らす方法をみんなで考えていきたいです」と語ってくださいました。

サステイナブルな暮らしを、生活クラブ生協のお店「デポー」から

デポーの運営を担うデポーワーカーズ「あした場」のみなさん。その名前には、明日につながる場、明日を豊かにする場という意味が込められています。
3日間のオープンイベントを終え、「デポー所沢」の組合員の人数は1,147人となりました(5月末日現在)。今後、さらに組合員を増やす活動を続けるとともに、埼玉県内のデポーも続々と建設していく予定です。

次のオープン予定は、埼玉県南東部の越谷市。その次に東武東上線の沿線での計画が進んでいます。これから10年以内に、全部で5店舗のオープンをめざしています。誰でも気軽に立ち寄れて、さまざまな出会いが生まれる「地域(まち)のステーション」を埼玉県につくることで、サステイナブルな暮らしの輪も広げていきます。


【デポー所沢】
埼玉県所沢市緑町1-3-7 1F
西武新宿線 新所沢駅西口より徒歩3分
営業時間 :10:30~19:00(水曜定休)

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