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知らない間に食卓に… 実は身近な遺伝子組み換え作物

この図のトウモロコシは、加工品の原料や飼料に使われる「穀物」です。調理して食べる「野菜」のスイートコーンは含まれません。


日本人の8割以上が、できるだけ避けたいと思っている*遺伝子組み換え作物。ところが、「遺伝子組み換えでない」と書かれているのは納豆や豆腐など、ほんの一部の食品だけです。知らない間に食べている可能性がある遺伝子組み換え作物と、私たちの食との関わりについて考えてみませんか。
*平成28年度消費者庁 食品表示に関する消費者意向調査

トウモロコシ
コーンスターチや甘味料など加工食品の原材料として幅広く使われています。その多くは輸入された作物で、遺伝子組み換え作物の可能性があります。しかし、原材料表示を見てもわからないことがほとんどです。
コーン油
油原材料に遺伝子組み換え作物が使われていても、遺伝子組み換え表示されない品目もあります。
ーンスターチ
コーンスターチ(トウモロコシでんぷん)は、いろいろな食品に添加されています。
飼料
輸入トウモロコシの約9割が遺伝子組み換え作物で、そのうち72%が家畜の飼料として活用されています。また、加工され、表示義務のない原材料としても幅広く使われています。参考:平成31年財務省貿易統計(輸入)畜産物の生産にも遺伝子組み換え作物が…
日本に大量に輸入された遺伝子組み換え作物は、大半が飼料として活用されています。ところが、飼料の情報はパッケージなどに表示されないため、間接的に遺伝子組み換え作物を食べる可能性があります。つまり、畜産物は「隠れた遺伝子組み換え食品」といえます。

毎日のことだから安心と安全を第一に考えたい
生活クラブは遺伝子組み換え作物にNO!

生活クラブでは「疑わしいものは使用しない」という考えから、遺伝子組み換え作物・食品は取り扱わないことを基本にしています。
そして、提携生産者と協力し調味料や加工食品の原材料、畜産物の飼料からも遺伝子組み換え作物を取り除いてきました。
消費者の立場から身体や環境のことを考え、食の安心や安全を子どもや孫の世代にもつないでいきます。

まだまだ分からないことがたくさんあります!
「安全」とは言えない遺伝子組み換え作物

いま世界中で栽培されている遺伝子組み換え作物は、「除草剤耐性」と「殺虫性」のどちらか、もしくは両方の機能を持つ品種が主流です。しかし研究開発の歴史はまだ浅く、日本での流通が始まったのが約20 年前。健康や環境の面で十分に検討されているとは言えません。

遺伝子組み換え作物【Genetically modified organism=GMO】
●遺伝子組み換え【Genetically Modified=GM】
●非遺伝子組み換え作物=Non-GMO
●遺伝子組み換えでない=Non-GM

■私たちの健康への影響

「除草剤耐性」の遺伝子組み換え作物は、特定の除草剤とセットで使用されます。セットの除草剤を使うと雑草だけが枯れるので、草取りの手間が減らせるというわけです。多くの除草剤には発がん性のリスクを指摘される成分が含まれ、作物や土壌への残留が心配されています。
 

殺虫性を持たせた遺伝子組み換え作物は、食べると害虫が死んでしまうため、殺虫剤を使う必要がありません。人間や動物は虫とは消化の仕組みが違うため、安全性に問題はないと言われていますが、食べ続けたことでの影響などは解明されていないのが現状です。

■周りの環境にも広がる可能性


作物の花粉は風などで運ばれるため、遺伝子組み換え作物がそうでない作物とも交配する可能性があります。緻密なバランスの自然界で、他の作物や生物へどんな影響があるかは分かっていません。

 Check!   わかりにくい日本の表示ルール
 

日本の遺伝子組み換え表示ルールはとても複雑で、消費者に分かりにくいものです。表示義務があるのは、大豆・トウモロコシ・馬鈴薯・てん菜など8 種の作物を原料とする加工食品のみ。さらに、醤油や油など組み換えたDNAやそれに由来するタンパク質が検出されないものは表示しなくてよいルールです。また、原材料表示の上位4位以降、もしくは加工食品全体の重量の5%を越えない場合も表示義務はありません。

食の安全・安心が脅かされつつあります!
食べたくなくても選べない!? ゲノム編集食品

2020年のノーベル化学賞には、ゲノム編集技術において新たな道を拓いた研究者が選ばれました。
その新しい技術は食品の分野にも広がりつつあります。
ところが、まだわからないことも多く安全性が懸念されています。

ゲノム編集食品【Genome Edited Food】
特定の遺伝子を人為的に操作し突然変異を起こさせる、ゲノム編集技術を利用して開発された食品のこと。

■ゲノム編集食品ってもう販売されているの?

2020年12月11日、国内で初めてGABA(ギャバ)を多く含むトマト「シシリアンルージュハイギャバ」が「ゲノム編集食品」として届出されました。市場に流通するにはまだ時間がかかりそうですが、現在開発中の食品も含め、私たちの食卓に上る日もそう遠い未来ではなさそうです。

【2021年10月18日追記】
「シシリアンルージュハイギャバ」の果実と栽培キットのオンライン販売がすでに始まっています。2021年9月17日には「可食部増量マダイ」の届出があり、クラウドファンディングで190食分の予約を受け付け、予定では2021年10月から順次発送とされています。

■表示義務がないってホント?

日本では、ゲノム編集技術による改変のうち対象の遺伝子を壊す手法は、自然界で起こる変異と変わらないとされているため、厚生労働省に届出をするだけで市場への流通が認められています。安全性審査がなく、表示の義務もないため、消費者は店頭での判断ができません。また、ゲノム編集食品(GE )が遺伝子組み換えでない(Non- GM )と表示されてしまう懸念もあります。
※外部から遺伝子を導入する手法は安全性審査の対象。

■ゲノム編集食品ってどんなものがあるの?


 Check!  遺伝子組み換えとゲノム※編集の違い

外から新たな遺伝子を挿入する方法を遺伝子組み換えといい、ゲノム編集は遺伝子に狙いを定め、切断するなどして改変する確度の高い技術です。ゲノム編集では、酵素をハサミとしてDNAを切断し、遺伝子を壊したり、外来遺伝子を導入して変異を起こさせる方法が採られています。
 
※ゲノムとは、その生物をその生物たらしめる遺伝情報の1セットを指します。ゲノム自体はDNA(デオキシリボ核酸)という物質でできており、その一部である遺伝子を対象に行うのが遺伝子組み換えとゲノム編集です。
 

生活クラブは疑わしいものは使用しない!
「 遺伝子組み換え作物」と「ゲノム編集食品」への対策

遺伝子組み換え作物 すべての消費材で「不使用」を追求しています

生活クラブでは例えば、キャンディに使う「水あめ」にGMトウモロコシが含まれる疑いがあったためサツマイモ由来に切り替えるなど、ひとつひとつの原材料から遺伝子組み換え作物を取り除いてきました。遺伝子組み換え作物が使われる可能性のある消費材1,842 品目のうち、1,595 品目の対策が終了しています(2020 年3月末現在)。さらに、カタログやeくらぶでは「対策済」と「要対策」を視覚的に判断できるように、マークで表示しています。
※主要原材料では遺伝子組み換え作物は使っていませんが、酸化防止剤(ビタミンEやビタミンC )、香料の抽出に使用されるアルコールなどで、分別されていない原材料を使っています。
 

◆微量原料まで、きちんと表示しています
国のルールでは表示義務のない、重量4位以降や重量5%未満の原料についても、「遺伝子組み換えでない」と分かるように表示しています。
GMナタネの自生調査
GMナタネは、輸入して陸揚げされる港の周辺や、製油所に通じる幹線道路沿いを中心に、こぼれ落ちなどが原因で自生しています。
2020 年はコロナ禍の影響から制約がある中での調査となりましたが、それぞれの地域で工夫して調査を行い、18 都道府県で合計433検体の菜の花を検査しました。その結果、19検体がGMナタネと確認されました。

見つかったGMナタネ

遺伝子組み換え作物 牛・豚・鶏の飼料も対策しています

生活クラブでは、牛や豚など畜産物を健康に育てることが食の安心につながると考え、飼料のトウモロコシなども遺伝子組み換えでないものを選んでいます。そのため、組合員の代表は産地のアメリカを毎年訪問し、Non - GMトウモロコシの需要を示し続けてきました。さらに、提携先のJA 全農とともに、穀物集荷を担うCGB 社や種子会社との「長期種子供給協定」を3~5年ごとに結んでいます。これらの活動を通じて、現在、2026 年生産分までのNon-GMトウモロコシを確保しています。
 

ゲノム編集食品 ゲノム編集された原材料も受け入れません

生活クラブでは遺伝子組み換え作物と同様に安全性に懸念があるとして、ゲノム編集食品を消費材の原材料として受け入れないことを2019 年6月に生活クラブ連合会の通常総会で決議しています。
 

2019年6月通常総会の様子

ゲノム編集にNO!意見書を国へ提出

2019年10月からゲノム編集食品の届出制度が始まったことを受け、生活クラブは、ゲノム編集食品の規制と表示を求める請願活動に賛同し、請願署名を呼びかけました。その結果、8 万985 筆の署名が集まりました。生活クラブ以外でも多くのひとびとが署名に参加し、最終的には44万7,725 筆というおおぜいの声が国に届けられました。
 
署名提出集会では、生活クラブを代表して生活クラブ・埼玉理事の相沢順子さんが消費者庁担当者に署名を手渡し、「ゲノム編集食品にきちんと表示して、消費者が選べるようにしてください」と訴えました。

Non-GMトウモロコシ供給の要は集荷会社
米国の種子会社と生産者を繋ぎ、ともに安定確保を目指すパートナー

生活クラブでは、これまで継続的に組合員の「食べる意思」を伝え、種子会社らと「長期種子供給協定」を結ぶことで、Non-GMトウモロコシを安定的に確保してきました。その協定の立役者として、種子会社と生産者を繋ぐ重要な役割を担っているのが集荷会社です。

※長期種子供給協定…Non-GMトウモロコシを供給し続けるために、JA全農と米国の集荷会社及び種子会社の間で結んだ協定です。2011年に初めて結ばれたこの協定は、生活クラブの「消費する意思」表明によって3~5 年ごとに更新される仕組みです。

希少なNon-GMOを維持するため、きびしく分別管理

現在、アメリカで栽培されているNon- GMトウモロコシは全体の約8%で、そのうち分別されたものは2%ほどしかないため、流通時にはきびしい分別管理を行いNon- GMOの維持に努めています。万が一混入事故が起こった場合でも追跡ができるよう、集荷時と倉庫での保管時、さらに輸出時に1回ずつ合計3回の検査を行い日本へ届けています。
また、種子会社や生産者との関係も密接で、とりわけ生産者に対しては、収穫直前のコンバインの清掃や教育を行うほか、Non- GMトウモロコシの栽培を推奨するため、加算金や種子代を補助するなどの奨励も行っています。一方で、私たち組合員の意思を生産者や種子会社に伝えるといった役割も担っています。
今後も、継続してNon - GMトウモロコシを確保していくためには、集荷会社を軸に、「食べる意思」を直接生産者や種子会社に伝え続けていくことが大切なのです。
種子から作物となって収穫・集荷され、日本に届いたNon-GMトウモロコシは飼料会社から生活クラブの提携生産者に供給され、牛や豚に与えられます。長い時間と多くのパートナーとの信頼関係があってこそ、「飼料から安心な畜産物」が維持できています。

参考: 令和元年農林水産省
遺伝子組み換え農作物の管理について
トウモロコシは畑で乾燥させてから収穫される
2019年の訪米より。組合員の代表4人とトウモロコシ農家、集荷会社のスタッフ
集荷施設に搬入する農家のトラックと保管用倉庫

アメリカの種子会社らとオンライン交流会を開催
「顔が見える交流」でNon-GMOを守る姿勢を確認

コロナ禍で訪米が叶わなかった2020年度は、9月と10月の2回にわたりオンライン交流会を開催、引き続きNon- GMトウモロコシの需要があることを種子会社や集荷会社に直接伝えました。


現在締結している「長期種子供給協定」では、飼料用Non- GMトウモロコシの種子を2026 年に生産する分まで確保しています。今後もこのトウモロコシを安定して入手するために、2つの種子会社と集荷会社とオンラインでの交流を図りました。
組合員からは事前に「アメリカにおけるNon-GMトウモロコシ情勢」や「種子開発に関する各社の取組み」についての質問が提出されており、それらに対して、各社から文書や口頭での丁寧な回答が得られました。

そして、長年にわたる良好な関係についての感謝とともに、引き続きNon - GMトウモロコシの需要があることを伝えました。参加した種子会社からは、「今後の需要を示していただけるのは大変ありがたいことで感謝しています」とのコメントが寄せられ、今後の供給に対する協力的な姿勢を確認することができました。
さらに、ゲノム編集食品についても受け入れない姿勢を示し、今後の連携を要請できたことも今回の交流会の成果といえます。

スクリーン越しではあるものの、相手の表情や声を確認しながらのオンライン交流では、終始活発な意見交換が行われました。

オンライン交流会の報告はWEBでもご覧になれます。
遺伝子組み換えでないトウモロコシの継続確保のため アメリカの種子会社らとオンライン交流会を開催(2020年11月20日掲載|活動レポート)
「食べる意思」を直接伝えることが欠かせません!
生活クラブ埼玉 木下 美由紀さん

2016年9月にアメリカを訪問しました。種子会社は生産者を、流通会社は消費動向を常にみていることを再認識しました。エンドユーザーの私たちが、何を選ぶかが、生産、流通現場に大きな影響を与えること、そして今回のように消費者である私たちが種子会社や流通会社と直接対面し、意思を伝えることが大きなアクションになると実感しました。
 

★『生活クラブOPINION』 2021年2月4回(07週)掲載記事を転載しました。
【2021年10月11日掲載】
 

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