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地域で人と人をつなぐ―生活クラブ大阪の居場所づくり

2020年11月にオープンした生活クラブ大阪の「よりみち」は、地域の多世代、誰もが気軽に立ち寄れるみんなの居場所だ。コロナ禍の影響を受けながらも、感染症対策を徹底して、開所できる時は、さまざまな企画を実施している。長引くコロナ禍、孤独や不安を感じる人も増えている。孤独や不安を深刻化させないためにも、そこにいけば誰かとつながれる身近な場は、ますます重要性を増している。

多世代の交流の場

左からスタッフの田原和子さん、吉田雅江さん、和久田裕子さん、中島昭子さん、梶原稔さん、正田洋子さん(代表)

生活クラブ大阪が運営する居場所「よりみち」は、大阪市と京都市のほぼ中間に位置する大阪府枚方(ひらかた)市の香里(こうり)団地にある。1958年から入居が始まった香里団地は、「東洋一のマンモス団地」とも呼ばれた郊外型大規模団地の先駆けだ。この地域の組合員活動の歴史も古い。幹線道路に植えられた街路樹は、大通りを左右から覆うほど枝葉を茂らせ、「枚方八景」にも選ばれている。よりみちが入る建物も、そんなけやき並木に面していて居ながらにして木々の移ろいを楽しむことができる場所だ。

近年は、価値観やライフスタイルが多様化して近所付き合いも敬遠されるようになり、かつて地域社会が担ってきた人と人をつなぐコミュニティー機能は低下した。一方で、孤独や不安を抱えて生活する人は多く、ゆるやかに人とつながれる場を求める声もある。

生活クラブ大阪では、2018年から福祉政策の一つとして居場所づくりの活動をスタート、地域の中に人と人のつながりの場を創出することを目指した。高齢者が昔の遊びを、若い人はスマホの使い方などを、それぞれ教え合い助け合うような多世代の交流の場こそが、地域でのつながりを広げる。その実践のため利用の対象は、子どもから高齢者までと幅広い。

運営するスタッフも組合員から募り、収支も含め自主管理・自主運営の事業とした。決まりかけた物件が建築資材や耐震性の問題などで何度も白紙になるなど、場所探しは難航した。結局、開設まで3年あまりの時間がかかったが、担当した生活クラブ大阪の清水啓子理事長は「長い時間かけたことで、運営に携わる人たちの共通認識も深まった」と話す。

入居が決まった枚方市の物件は、都市再生機構のテナントだ。開設のための内装工事費などには、生活クラブ共済連が運営する「生活クラブ福祉事業基金」に申請して得た助成金を活用した。CO・OP共済の割戻金の寄付や組合員からの直接の寄付を財源に、福祉事業を展開する生活クラブグループの活動を支援するための基金だ。さらに、生活クラブ大阪が運営するエッコロ共済の掛け金からも一部、助成を得た。他にもカンパや寄贈品の提供など、大勢の組合員の力が開設の支えとなった。

コロナ禍での運営

よりみちの外観は、焼杉の壁が特徴的であたたかな趣。入り口を入るとすぐにフリースペースがある。日常的におしゃべりや休憩の場となる他、ペン習字やウクレレ、ハーブソルトなどの体験企画も開催できる。部屋の奥はガレージにつながっており、バザーなども行う。2階は4畳半と6畳の二間続きの和室で、組合員や近隣から寄贈された多数の書籍や絵本を自由に読むことができる。

現在開所日は、毎週月曜日と水曜日の10時から17時。利用料は1日100円で中学生以下は無料だ。また、毎月第3土曜日にはイベントを開催、これらの運営を6人のスタッフと12人のボランティアが担っている。

スタッフ代表の正田(まさだ)洋子さんは、「近くに小学校もあり、中学生以下は無料なので、子どもたちにもゆっくり時間を過ごしてほしい」と話す。学校帰りの子どもにそのまま来てもらうのは、親にとっては心配な部分もある。「まずは、親御さんの信頼も得ることが大事」と正田さん。口コミで活動を伝え地域に信頼を広げていきたいと意欲を示す。

コロナ禍で、地域での祭りやイベントも軒並みなくなった。よりみちも開所が難しい中、工夫しながらバザーを開催すると、多くの品物が集まり来場者も多かったという。そうした試みが次の企画への参加や地域への浸透に徐々につながっているとスタッフ皆が手応えを感じている。
スタッフが子どもに絵本を読んでいる間に、お母さんは別のスタッフとゆっくりとおしゃべり
 
恒例のウクレレ企画。誰でも参加OK
 
時には利用者と将棋の対局も

地域をつなぐ窓口に

よりみちの面白さは、「ちょっとしたことから人がつながっていくこと」と、正田さんは次のようなエピソードを紹介する。ある日、目の前にある停留所でバスを待っていた男性がマスクを忘れたことに気づき、マスクを売っていないかとよりみちに入ってきた。販売はしていないが、誰でも立ち寄れる場所なのでまた来てくださいと、常備しているマスクを渡したところ、後日、バスソルトづくりの企画に参加し、その後もたびたび訪れるようになったという。文字通りちょっとした寄り道が、その人にとっての居場所の発見につながった。

意外な出会いもある。ボランティアの芳澤恵美さんは、かつて生活クラブの組織拡大課で働いていた。10年ほど前に自分が加入の案内をした人が同じボランティアメンバーにいて再会、思わぬ縁を感じたと言う。

理事長の清水さんは、スタッフの明るい雰囲気から、コロナ禍でも前向きに運営できていると安堵する。感染対策を徹底して行えていることはもちろん、「この時期、居場所という場を提供していることで、直接会うことの大切さをスタッフ全員が実感、共有しているようです」と、一つの目標に向かって進もうというスタッフのエネルギーを感じると言う。バザーなどは、ネットオークションでも済ませられる時代だ。だが実際に開催すると「スタッフやボランティアの顔を見ると安心する」「遠出もできないから、こういう場ができてうれしい」など多くの利用者の声が寄せられ、オンラインにはない関係も生まれている。

今後に向けて正田さんは「他団体とも連携して地域全体を盛り上げていきたい」と話す。スタッフは、写真を共有できるSNS「インスタグラム」でも情報発信しており、楽しそうな様子が次々にアップされ、スタッフ自身がこの活動を楽しんでいる様子が伝わってくる。「この活動で多くのことを教えられて自分の生活が豊かになった。ここに来る人がそうなってくれるとうれしい」と話すスタッフもいる。コロナ禍だからこそ必要なつながりの輪が徐々に地域に広がり始めているようだ。

生活クラブ大阪では、ここでの経験を重ねモデルケースとして、さらなる居場所づくり、地域での参加型福祉の実現を目指している。

写真提供/生活クラブ大阪
文/本紙・牛島敏行
★『生活と自治』2021年10月号 「生活クラブ 夢の素描(デッサン)」を転載しました。
 
【2021年10月30日掲載】
 

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