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生協の食材宅配【生活クラブ】
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「顔のみえる」スパイスの世界


 
決して食卓の主役ではないが、それなくしては物足りない、主役の良さを最大限引き立てるのが「スパイス」の役割。誰が、どこで、どう生産したか。食卓に至るまでの工程が明らかなことは、生活クラブ連合会が扱う「消費材」の基本だが、スパイスに関しては、これまでその追跡が非常に難しいとされてきた。提携生産者の和高スパイスは、国内や海外の生産者とつながり、そうした業界の常識へのチャレンジを進める。

上写真:コショウはつる性の植物。支柱を立て、そこに巻き付かせるように栽培する。成長すると5〜6メートルの高さに

コショウの独自ルートを追求


 
コショウを始めとしてスパイスの多くは、日本では生産できない。その輸入には、複数の商社が関わり、生産や産地での加工工程を確認することが難しい食材でもある。生産過程が明らかなコショウの共同購入は生活クラブ連合会としても長年の課題の一つだった。
その実現に向けて活動を始めたのは2011年のこと。きっかけは、青果物の提携生産者である、西日本ファーマーズユニオン(西日本FU)が、1998年から受け入れているベトナムの研修生の帰国後の農業環境整備のため、「有機農業研修センター(現・ファーマーズ ユニオンベンチャー=FUベンチャー)」を設立、コショウの生産・加工・輸出を開始したことだ。

これを生活クラブで扱えないかと、スパイスの提携生産者である和高スパイスと共に現地調査を開始した。2014年、FUベンチャーを介し、特定の生産者が栽培したコショウの輸入・品質検査を西日本FUが行い、和高スパイスが2次加工と販売を担う形で、ベトナム産ブラックペッパーの取り扱いが実現した。

FUベンチャーがあるダグラック省バンメトート市は、ホーチミン市から飛行機で1時間ほど北にあり、14年と17年には、生活クラブの連合消費委員会メンバーも交流に訪れている。ベトナムでも、農業収益を高めるために農薬や化学肥料の使用が増える傾向があったが、訪れたコショウの産地では、化学肥料から魚粉や鶏ふんなどの有機質肥料に切り替え、栽培していることが確認できた。

和高スパイスの社長、山田洋平さんは「現地の生産者にとって、海外の消費者が直接訪れるのは、驚きだったでしょう」と言う。15年には、ベトナムのコショウ生産者が日本を訪問し、生活クラブ東京や同神奈川の各施設を訪問して、交流を深めている。
 
2017年、ダグラック省バンメトート市のコショウ畑を訪れた組合員
コショウの実について説明を受ける組合員。左から農家のラックさん、エアカトゥー社(生産者代理人)のタオさん

品質と安全の両立を求めて

ベトナム産黒コショウを気流式殺菌法で殺菌した安全性の高いスパイス。ホールタイプでひきたての香りのよさが格別

スパイスは、植物の種子や果皮などを原材料にするため、土壌菌の付着や雑菌による汚染が問題となる。しかし、直接の摂取量が少ないためか、日本の食品衛生法では、食肉製品や鯨肉製品、魚肉練り製品の製造基準として使用する香辛料についての基準は定めているが、スパイスなど香辛料自体に関する微生物基準は規定されていない。

スパイスは香りや辛さ、色に製品価値があり、加熱殺菌をすればそれらに何らかの影響を及ぼす。品質をなるべく損ねず、菌数を抑える、その兼ね合いがスパイスを扱ううえでの難しさだ。以前はエチレンオキサイドというガス殺菌が利用されていたが、発がん性の問題などがあり現在は禁止されている。山田さんによれば、法律による微生物基準がないため、殺菌処理をあえてしない業者もあり、そうした製品が市場に流通している可能性は否定できないと言う。

和高スパイスで行うのは、過熱水蒸気による「気流式殺菌処理」だ。
「加熱殺菌すれば、香りへの影響はもちろん、手間やコストがかかり、殺菌過程でのロスも発生します。それでも安心して届けるために、必要最小限の殺菌ができる方法です」と山田さんは話す。

一方、味や香りを損なわず殺菌できる方法として、海外では、放射線照射による殺菌を認める国もある。日本の業界団体も00年、厚生省(現・厚生労働省)に対して使用の要請書を提出していた。しかし、消費者の根強い反対もあり、現在は、「ジャガイモの芽止め」以外は日本では禁じられている。
山田さんは「他の食品に比べ、スパイスの生産に関する一般の関心は薄い」と懸念する。今後の放射線照射食品の動向に関しても注意が必要だ。

提携するベトナムのコショウ生産者は30戸くらいで、栽培方法や殺菌方法など、生活クラブが求める品質への理解がようやく浸透してきた段階だという。

「コショウは、国際的に需要が高い生産物なので、生産状況がいい時も悪い時も再生産可能な適正価格で購入し続けることが、安定供給につながります。今後も食べる側がニーズをきちんと伝え、生産者と時間をかけて関係性をつくっていく必要があります」と山田さんは語る。
 
和高スパイス山田洋平社長。「生産者との関係づくり、組合員への情報公開を大事にしていきたいですね」(写真提供:和高スパイス)

未来につなぐ国産わさび

海外の生産者との関係づくりを模索する一方、以前から和高スパイスが力を入れてきたのが、和食に欠かせないスパイス、「冷凍おろしわさび」だ。国産の本わさびをすりおろし、小袋に詰めただけのシンプルなものだからこそ、わさび本来の鼻に抜ける風味や独特の辛さを味わうことができる。

開発当初は、日本有数のわさびの産地として知られる、長野県安曇野市のものを、地元の加工メーカー、マル井を通じて供給していた。北アルプスの冷涼な伏流水を利用したわさび田で栽培されたものだ。しかし、栽培や維持管理の難しさから生産者は年々減り、後継者不足もあって、年間2000トンほどの生産量が、ここ15年ほどで、半分の量にまで減ってしまった。

マル井では、地元原料にこだわりながらも、生産量の減少を懸念し、30年近く前から、代わりのわさび産地を探していた。そこで出会ったのが、岩手県岩泉町だ。安曇野のわさびが、水田で栽培する「沢わさび」であるのに対し、岩泉町のわさびは、急峻な山の中の畑で栽培する「畑わさび」。栽培方法や場所が違うだけで品種は全く同じものだが、畑わさびは根茎(芋)が育つのに時間がかかるため、葉や茎を中心に利用され、主に練りわさびの原料となる。食卓ですりおろす、生わさびの形で使うことは難しいが、本わさびの風味に変わりはない。鮮烈な辛さの中にほのかな甘みがあるのが畑わさびの特徴だ。

マル井は、岩泉町の生産者に安曇野での栽培ノウハウを提供し、生産物の全量引き取りを約束、自治体とも協力しながら産地づくりを進めていった。今では、岩泉町は畑わさび生産量で日本一を誇る産地に成長している。

「冷凍おろしわさび」の原材料には、14年頃から、安曇野産と混合で岩泉産のものを使うようになり、現在は岩泉産のものが大部分を占める。「おろし本わさび・チューブ」の原料も同様だ。消費材のチューブわさびは、市販の製品によく使われているソルビット、加工デンプン、トレハロース、増粘剤などの添加物は使用せず、本わさびの風味を生かしている。そのためチューブ製品だが、冷蔵での取り扱いとなる。

山田さんは「冷凍や冷蔵の不便さはありますが、わかって食べる共同購入ならではのおいしさではないでしょうか」と話す。当初は天然成分由来の着色料が使われていたが、組合員の討議を経て、着色料も未使用とした経緯がある。「組合員のこだわりが衝撃的だったが、現在、市販でも着色料不使用が増えてきているのは、生活クラブ運動の成果の一つだと思います」と山田さんはその意義を実感する。

山田さんによれば、最近では、岩泉町での畑わさびの栽培ノウハウを生かして、安曇野市の休耕地で畑わさびの栽培が始まっており、21年5月には初出荷が行われたという。

「輸入品に対してのトレーサビリティーに挑戦する一方、やはり国内の生産者とつながり、自給率向上、国内産地の維持のためにも、可能なものは、国産を追求していきたい」と山田さん。後継者問題や気候変動など、農業を取り巻く環境は厳しいが、持続可能な社会に向けて産地との息の長い関係性づくりを続けていきたいと言う。
添加物を一切排除した「冷凍おろしわさび」。国産本わさびを100%使用し、純粋な風味が楽しめる
本わさびの根茎(芋)。わさびの辛み成分は、揮発性で、おろしてから30分もたつと、失われていくという。本来は、おろし金やさめ皮ですりおろしてから5分以内が、最も風味がよい
写真提供/生活クラブ連合会
文/本紙・牛島敏行

スパイスのスローな楽しみ方

10~20cmのブドウのような房状の実をつけるコショウ。完熟すると赤くなる
 

コショウの種類

インド原産のコショウは「スパイスの王様」と言われ、日本でも最もなじみの深い香辛料だ。つる植物で苗木を支柱に絡ませて育て、3年程度で収穫できるようになる。インドや東南アジアなどの熱帯地域で広く栽培され、ベトナムも主産地のひとつとなっている。コショウには、黒コショウや白コショウなどの種類があるが、これは果実の処理法による違い。

黒コショウは、完熟する前の緑の実を摘み、皮ごと乾燥させたもの。果皮に辛み成分が多く含まれているため、香りや辛さが強く、肉料理との相性がよい。白コショウは、完熟した赤い実を水に浸し、軟らかくなった果皮をはがして乾燥させたもの。黒コショウほどの辛みはなく、魚料理やシチューなどのアクセントによく使われる。
 

スパイスセットで作る本格カレー

スーパーやコンビニにおける2020年のスパイス類の販売額は約600億円にものぼり、そのうちチューブ製品の占める割合が最も高いという。コロナ禍による巣ごもり需要で香辛料類の使用も増加したようだ。和高スパイスの「インド風カレースパイスセット」を使えば、家で簡単に本格カレーが楽しめる。スパイスからのカレー作りで、それぞれの風味をじっくり味わってみてほしい。
 

チキンキーマカレーの作り方

材料(4人前)
鶏ひき肉400g、ニンニク2片、ショウガ15g、タマネギ500g、バター・油各大さじ3、クミンシード・ローレル・スパイスミックス・ガラムマサラ各1パック、トマト2個、塩小さじ1.5
1. ニンニク、ショウガ、タマネギはみじん切り。トマトは皮を湯むきしてざく切りにしておく。
2. 鍋にバターと油を熱し、クミンシードとローレルを炒める。香りがでたら、ニンニク、ショウガ、タマネギを加え、あめ色になるまで炒める。
3. トマトを加え、強火で煮詰めるように炒める。水分がなくなったら、ひき肉を加え、ほぐしながら炒める。
4. 肉に火が通ったら水3.5カップを入れ、煮立ったらアクをとり、スパイスミックスを入れ煮詰める。塩で味を調え、最後にガラムマサラを加えて完成。
 スパイスセットには、他にターメリックとマサラがあり、ターメリックライスとマサラチャイの作り方も付いている。
 

小麦粉や油脂類を使ったカレールウとは、また違った味わいのある「インド風カレースパイスセット」。スパイスの分量は好みで調整し、ヨーグルトなどを加えてもおいしい

 
文/本紙・牛島敏行
『生活と自治』2021年11月号「ものづくり最前線 いま、生産者は」を転載しました。
 
【2021年11月20日掲載】
 

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