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「ビジョンフード」が描く未来。 持続可能な生産と食料主権を守るために

生活クラブ連合会は米、牛乳、卵、畜肉、青果物を「ビジョンフード」と呼ぶ。日常生活になくてはならず、多くの消費材の原料にもなる大切な材だ。だが、気候危機や産地の高齢化など、これらの材の生産環境はかつてないほど厳しいものとなっている。ビジョンフードに込められた「ビジョン」とはどのようなもので、どうすれば実現していけるのか。変動する情勢を見据え、生産者と組合員の新たな関わり方の模索が進められている。

ビジョンフードの価値

秋川牧園・菊川農場(山口県)の鶏舎。太陽光が差し込み、風も通るゆったりした環境で「はりま」が飼育される(撮影/大串祥子)

ビジョンフードという名称は、組合員の暮らしや消費材開発に欠かせない、とりわけ大事な材の総称として、2014年に新たに決定された。質の高い米、牛乳、鶏卵、畜肉、青果物を入手し続けるには、社会の動向を見通し、生産から流通、消費、廃棄までがどうあるべきかの「ビジョン(展望)」を持つことが必要との考えからだ。次世代の子どもたちが安心して健康に暮らしていける社会を目指すという思いも込められている。

「組合員が自分たちに必要なものを生産者に提案し、議論を重ね互いに納得した上で、将来にわたり消費、生産し続ける約束をする、その展望を共有するのがビジョンフードです。互いに共有する点においてビジョンフードには安全安心以上の価値があります」。そう話すのは、生活クラブ連合会常勤理事・ビジョンフード推進部長の岡田一弘さんだ。

それぞれのビジョンフードについて、年度ごとに重点テーマが決められ、これに沿って産地推進会議が開催される。「丹精國(くに)鶏」のブランド名で知られる国産鶏種「はりま」は、鶏種の国内自給を目指す試みだ。再生産可能な事業規模として業界に影響力を持つため、年間200万羽の供給を長年の目標としてきた。21年度はその達成が目前となった年で、秋川牧園(山口県)をはじめとする「はりま振興協議会」とは頻繁に会議を重ねた。

同年には新生酪農の栃木工場で、提携生産者の牛乳を原料にしたナチュラルチーズ作りが本格的にスタートした。コロナ禍の影響も受けた米価格の下落をめぐっては、国内4生産地と丁寧な話し合いの場を持ち、無農薬や、農薬を削減して栽培する「あっぱれ育ち」「はればれ育ち」野菜の主要産地との交流も欠かさない。それらの場には組合員の代表として生活クラブ連合消費委員が参加し、各ビジョンフードの中期的な政策がどの程度実現されたか、新たな課題はないか、といったことが意見交換される。

求められる新ビジョン

生活クラブ連合会は今年6月の連合総会で、「第7次連合事業中期計画(7次中計。22年からの5カ年)」を決定する予定だ。これまでは、安定した量の生産と消費の循環を基本方針としてきたが、ここ数年、気候変動、産地の高齢化、世界情勢の急激な変化など、生産をめぐる環境は大きく変わり、消費とのバランスも崩れた。従来の方針では、もはや農業や生産を守れなくなってきているとの懸念が高まっている。

「長年政策を掲げ生産者と共につくってきたものも、アプローチを考えなければ現状の課題とズレが生じてしまいます。向かうべき方向を議論し続けない限り、到達点への理解や共感は広がらないと思っています」と岡田さん。それぞれが将来に対する新しい視点に立って協議を重ねていくビジョンフードのマインドは、危機の時代を乗り越えるため、さらに重要になると訴える。

ビジョンフードの生産地における地域循環の仕組みはすでに始まっており、引き続き重要な政策に据えられている。特に多くの生産者が活動する山形県の庄内地方、長野県、栃木県、紀伊半島の四つの地域では、生活クラブの提携生産者による定期的な協議会が設けられ、堆肥や飼料をめぐる農作物栽培農家と畜産農家の連携や、生産者同士の原料交換など、地域ごとの循環が進みつつある。

岡田さんは「たとえば、産地の後継者不足や新しい技術や設備の導入といった問題も、地域で補い合うことで解決を図れることはまだまだあると考えています。地域ではお互い顔の見える関係がありますが、その距離をもっと縮めることで、それまでの立場や役割を越えて必要なものが補完され、地域の持続可能性はもっと高まるはずです」と、ネットワーク型産地の重要性を強調する。持続可能な生産は、最終的には持続可能な関係性によって生み出されるのだ。

食料主権を市民の手で

栃木県那須塩原市にある新生酪農の牛乳工場内に、新たにチーズ工場が建設された。良質な生乳を原料としたゴーダチーズが熟成を待つ(撮影/魚本勝之)

生活クラブ連合会では、近年、原材料の不足が消費材の生産に影響を及ぼしていることに大きな危機感を抱く。顕著なのは、加工用トマトの収量の激減で、ジュースやケチャップの生産に影響する事態となっている。この傾向は加工用トマトに限ったことではない。

生活クラブが実践してきた「生産する消費者運動」は、消費者自身が生産の在り方を提案し、そのリスクも生産者と共に負うというものだ。しかし、すでに消費だけでは生産を維持できない現状があり、自ら生産活動を担い産地をつくっていく生産消費者(プロシューマー)を増やしていくことがより重要な課題となってきた。

組合員が直接生産に関わる手段の一つが、15年ほど前から連合会が取り組む「夢都里路(ゆとりろ)くらぶ」だ。現在は、春と秋の年2回、農業体験・援農・就農支援が企画されているが、今後さらに派遣先の産地を増やし、援農と就農支援を特に強化していく計画だ。

さらに今後は生活クラブ連合会として、生産者と一緒に農業法人をつくるなど、生産そのものに参画していくことも構想する。
一方、生産基盤を支えるため、社会的な広がりも追求する。生活クラブで扱うパスチャライズド牛乳は、これまで新生酪農千葉工場近隣の学校給食に提供されていたが、20年度からは東京都の一部の自治体でも導入が始まった。今後も可能なところから広げていく予定だ。持続可能な生産を支えるだけでなく、びんのリユースや健康な家畜の飼育など、生活クラブのビジョンを地域に広げる試みでもある。

予測不能なリスクであふれるこの時代に大事なのは、「自分たちの命を自分たちでつくり守っていくために、食の生産から廃棄までの流れを大企業や大国に委ねるのではなく、市民が支え合い力を出し合ってコントロールしていくこと」と、岡田さんは力を込める。「食の自治領域を広げること、それが食料主権を守るということだと思います」

そのためには、食の領域にどんな問題があり、それをどう解決していくかを、一人一人が常に考えて行動することが必要だ。生活クラブではこの秋から、「食べるカタログ」をリニューアルし、消費材や生産者について理解を深めるページを増やす。また、生産工程や生産者メッセージなどを分かりやすく伝える動画も作製中だ。さらには、個人の消費行動が社会の課題解決にどう貢献しているかを体感できるような仕組みも検討していくという。これらのツールを駆使して「共同購入とは一人一人ができる問題解決の手段だと理解してもらえるような発信ができれば」と岡田さんは語る。
 
文/大久保ろりえ
★『生活と自治』2022年6月号 「生活クラブ 夢の素描(デッサン)」を転載しました。
 
【2022年6月30日掲載】
 

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