再生可能エネルギーの電気にスイッチ! 「2022年生活クラブでんきスイッチングキャンペーン集会」を開催
2022年5月7日に「2022年生活クラブでんきスイッチングキャンペーン集会」を開催しました。今回の集会は、気候危機やエネルギーを取り巻く情勢を理解し、再生可能エネルギーを広めていくことの重要性を改めて確認することを目的としています。
さまざまな知見を持つ講師や「生活クラブでんき」の生産者、各地の生活クラブの組合員など、オンラインで400人をこえる組合員が参加しました。
さまざまな知見を持つ講師や「生活クラブでんき」の生産者、各地の生活クラブの組合員など、オンラインで400人をこえる組合員が参加しました。
再生可能エネルギーの重要性を再認識し「生活クラブでんき」を広める機会に
生活クラブ生協では、脱原発と再生可能エネルギー100%の社会をめざしています。そのために電気の使用量を減らすことを第一に、再生可能エネルギーを中心とした「生活クラブでんき」の共同購入をしています。さらに、生活クラブの組合員や各地の生活クラブが中心となり、自前の再生可能エネルギー発電所の建設も推進。今では全国61ヶ所の発電所と提携し、生活クラブの組合員や提携生産者、各地の配送センターなどに電力を供給しています。
近年は気候危機や新型コロナウイルスの感染拡大、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻など、世界的に情勢が大きく変化しています。今回の集会では、現情勢をふまえた気候危機の問題の解決には何が必要なのか、再生可能エネルギーを広めることの重要性を、3人の専門家を迎え講演いただきました。
さらに「生活クラブでんき」に電力を供給する電気の生産者からのメッセージや、各地の生活クラブ組合員から、これからの「生活クラブでんき」を広める活動の予定も伝えられました。
近年は気候危機や新型コロナウイルスの感染拡大、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻など、世界的に情勢が大きく変化しています。今回の集会では、現情勢をふまえた気候危機の問題の解決には何が必要なのか、再生可能エネルギーを広めることの重要性を、3人の専門家を迎え講演いただきました。
さらに「生活クラブでんき」に電力を供給する電気の生産者からのメッセージや、各地の生活クラブ組合員から、これからの「生活クラブでんき」を広める活動の予定も伝えられました。
エネルギーの大転換時代に私たちができること
基調講演には3人の専門家が登壇。最初に立教大学教授の金子勝さんより、「ウクライナ侵略戦争は、エネルギーと食料の自給の大転換を促している」をテーマに、市民の手でエネルギー転換を実現していく大切さについてお話しいただきました。
■立教大学教授 金子 勝さん
現在、ロシアのウクライナへの軍事侵攻によって世界的にエネルギーの転換が起き始めています。今回の侵攻の戦略が化石燃料に基づいたものであることから、エネルギーと食料を自給しないと平和が維持できないという、安全保障の問題へと展開しています。ドイツでは今年の3月に再生可能エネルギー法を制定。2030年までに8割を再生可能エネルギーに、2035年には100%にするため、再生可能エネルギーと蓄電池、IoT技術を使って、電気を自給していくという大胆な方向性を打ち出しました。
一方で日本では、法制度や価格面でも新電力が普及しにくい状況があります。この閉塞状況を突破するためには、「生活クラブでんき」のように再生可能エネルギーを直販できるしくみをつくり、自分たちの生活を守る必要があります。
これから何をすべきかのポイントとしては、平和の維持と気候危機を防ぐために、エネルギーと食料の自給を基軸にした経済政策にすること。そして、女性が首相を務めるニュージーランドやフィンランドを新しい政治のロールモデルに、命や子どもを守り、産業や雇用を地域からつくっていくことがポイントとなります。小さい単位の地域社会をつなぐことで、よりフラットな社会をめざしていけると考えています。
続いて登壇したのは、東北芸術工科大学教授でやまがた自然エネルギーネットワークの代表も務める、三浦秀一さんです。「家庭から始めるカーボンニュートラル」をテーマに、山形県内にあるご自身のゼロエネルギー住宅より講演いただきました。
これから何をすべきかのポイントとしては、平和の維持と気候危機を防ぐために、エネルギーと食料の自給を基軸にした経済政策にすること。そして、女性が首相を務めるニュージーランドやフィンランドを新しい政治のロールモデルに、命や子どもを守り、産業や雇用を地域からつくっていくことがポイントとなります。小さい単位の地域社会をつなぐことで、よりフラットな社会をめざしていけると考えています。
続いて登壇したのは、東北芸術工科大学教授でやまがた自然エネルギーネットワークの代表も務める、三浦秀一さんです。「家庭から始めるカーボンニュートラル」をテーマに、山形県内にあるご自身のゼロエネルギー住宅より講演いただきました。
■東北芸術工科大学教授/やまがた自然エネルギーネットワーク代表 三浦 秀一さん
自宅の断熱材は国の省エネルギー基準の2倍量を使用して断熱性能をあげ、暖房器具には薪ストーブを使っています。冬の朝でも18℃をキープできるくらい暖かさが保てます。さらに電気は、太陽光発電で発電した電力を売電するのではなく、自家消費してゼロエネルギー化しています。
冬場の太陽光発電は発電量が落ち、風力発電は発電量が増える傾向にあります。しかし日本では風力発電の整備が遅れているため、森林の持続可能性を慎重に判断しながら、木質バイオマス発電を活用していくのがよいと考えています。
100万円ほどする5kWhの蓄電池でエアコンを動かすエネルギー量は、薪ストーブで薪を3本燃やすのと同じです。しっかりと断熱しながら、暖房需要を抑えていくのがポイントです。
断熱リフォームは新築の住宅だけでなく、長く住んでいる家でも、居間や浴室だけなど部分的なリフォームも可能です。カーボンニュートラルはがまんでなく、省エネと再エネで健康で快適な暮らしをしていくのが大切と考えています。
基調講演の最後に、認定NPO環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也さんが、「再生可能エネルギーの推進と気候危機の解決に向けて」をテーマに登壇しました。
断熱リフォームは新築の住宅だけでなく、長く住んでいる家でも、居間や浴室だけなど部分的なリフォームも可能です。カーボンニュートラルはがまんでなく、省エネと再エネで健康で快適な暮らしをしていくのが大切と考えています。
基調講演の最後に、認定NPO環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也さんが、「再生可能エネルギーの推進と気候危機の解決に向けて」をテーマに登壇しました。
■認定NPO環境エネルギー政策研究所所長 飯田 哲也さん
エネルギーの世界ではいま大転換が起きていて、時代の主役は太陽光発電と風力発電、そして蓄電池です。太陽光発電は10年前には世界の電力のわずか0.1%のシェアでしたが、2021年は4%に。風力は1%だったのが6.3%となり、両方をあわせて10年で10倍のシェアとなっています。専門家でも予想ができなかったような技術のシフトや、産業構造や経済、政治まで根こそぎ変える破壊的変化が起きているのです。
日本やフランス、イギリス、アメリカも原子力発電所を推進していますが、世界的に見ると廃炉となる発電所の数が増加。いまは蓄電池の投資ラッシュが起きていて、ノルウェーでは自動車販売のほぼ100%が電気自動車となっています。
日本ではFIT(固定価格買取制度)の導入の遅れによって、世界で唯一、太陽発電市場が縮小していますが、太陽光や風力など豊かな資源があります。地域の小さな取組み一つひとつが実を結び、エネルギーの自立と脱過熱化、脱原発を実現する一歩になることを期待しています。
日本ではFIT(固定価格買取制度)の導入の遅れによって、世界で唯一、太陽発電市場が縮小していますが、太陽光や風力など豊かな資源があります。地域の小さな取組み一つひとつが実を結び、エネルギーの自立と脱過熱化、脱原発を実現する一歩になることを期待しています。
「生活クラブでんき」に関わるみんなの想い
続いて生活クラブ連合会専務理事の村上彰一より、生活クラブ連合会からのメッセージが伝えられました。
■生活クラブ連合会 村上彰一から
生活クラブでは今年度から、ローカルSDGsを推進し、その切り口のひとつとして済生会による自給をかかげています。そのために「生活クラブでんき」の共同購入の利用者と再生可能エネルギー発電所の拡大をめざすとともに、7月にはエネルギーに特化した「生活クラブエネルギー事業連合」を設立します。
山形県遊佐町にある「庄内・遊佐太陽光発電所」や、秋田県にかほ市の生活クラブ風車「夢風」など、全国に61ヶ所ある発電所の生産者の顔や地域の風景が思い浮かぶ特別な電気へ転換し、その電気を使ってCO2を削減。そして各地の再生可能エネルギーの産地とつながり、その産地を元気にすることに寄与していきます。
集会の後半では「生活クラブでんき」に電力を供給している、電気の生産者からメッセージが伝えられました。
最初に登壇したのは、生活クラブ風車「夢風」の電気を届ける、一般社団法人グリーンファンド秋田の事務局長・鈴木伸予さんです。「夢風」をハブに、食のつながりや人のつながり、売電利益を地域に還元するしくみづくりにも取組んでいること、こうした活動により、にかほ市の副市長から「『夢風』はただの風車ではない。発電以上のエネルギーを持つ」との言葉が贈られたとの紹介がありました。
グリーンファンド秋田 鈴木伸予さん
続いて登壇したのは、特定非営利法人原発ゼロ市民共同かわさき発電所の副理事長・加藤伸子さんです。東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、原発ゼロを訴える神奈川県川崎市の市民が結集し、若者が中心となって「市民による市民のための市民共同発電所」を設立しました。1年間で一般家庭の約44世帯分の電力を発電して、さらに再生可能エネルギーを普及するため、川崎市議会へのはたらきかけも行なっていると報告がありました。
原発ゼロ市民共同かわさき発電所 加藤伸子さん
次に福島県・飯舘電力株式会社の取締役副社長である千葉訓道さんが登壇。「福島県のご当地エネルギーからの訴え〜脱原発の火を消さないで〜」をテーマに、発電所を建設した想いと、飯舘村の現在の様子をお話しいただきました。さらに発電利益を地域に還元するしくみを紹介。多くの人に飯舘電力を知ってもらうためにバーチャル視察を開催するなど、被災地から発信していくことで、東日本大震災や原発事故の風化防止を推進しています。
飯舘電力株式会社 千葉訓道さん
さらに、北海道で建設がすすんでいる「阿寒バイオガス発電所」を運営する、株式会社阿寒マイクログリッドの代表取締役・小峯充史さんから事業の説明がありました。
バイオガス発電とは地域の酪農家から出た牛の排せつ物を集めてメタン発酵させ、そこで発生するバイオガスで発電するもの。釧路市、阿寒農協、北海道電力と協力しながら「マイクログリッド」と呼ばれる、当該地域の中で電力を需給・管理・制御できるしくみをつくっていく予定との報告がりました。
㈱阿寒マイクログリッド_小峯さん
加えて、全国の11の電気の生産者からのメッセージも届けられました。
組合員みんなの力で再生可能エネルギー100%の世界へ
集会の最後には東京、埼玉、千葉、大阪、神奈川の生活クラブの組合員や職員が、これから「生活クラブでんき」を多くの方々に知ってもらうためのアピール方法を紹介しました。さらに今回の司会を務めた、生活クラブ神奈川の桜井薫さんが「2022年生活クラブでんきスイッチングキャンペーン集会 宣言」を読み上げ、持続可能な地域社会をいっしょにつくっていく決意を表明しました。
生活クラブ神奈川 桜井薫さん
生活クラブでは、SDGsの理念に通じ、かつSDGsの理念にとどまらない生活クラブの取組みの中から、さらに推進すべきことを「生活クラブ2030行動宣言」としてまとめています。その重要目標4では、「原発のない社会をめざし、再生可能エネルギーの生産と普及に取り組みます。」と宣言し、生活クラブに関わるみんなで目標の達成をめざしています。
その実現のため、これからも分散型の再生可能エネルギーを推進し、地域での雇用やつながりを生み出しながら、食料とエネルギーを市民の手で自治していきます。
その実現のため、これからも分散型の再生可能エネルギーを推進し、地域での雇用やつながりを生み出しながら、食料とエネルギーを市民の手で自治していきます。
【2022年6月10日掲載】