組合員が産地で生産者と語りあう「庄内交流会」3年ぶりに開催
庄内地方で食、エネルギー、未来のまちづくりを考える
遊佐町から臨む鳥海山
生活クラブの食材の一大産地である山形県庄内地方で、組合員が産地を訪問する「庄内交流会」が3年ぶりに現地開催されました。生活クラブでは「生産者交流会・見学会」を数多く開催。生産者と組合員が直接会って意見を交わし、互いへの理解を深める大切な機会となっています。
2020年、21年と新型コロナウイルス感染拡大の影響から、現地での開催は見送られてきました。49回目を迎える2022年は久々の現地開催となり、7月25日~27日の間、全国各地から集まった組合員の代表25名が参加しました。
産地を訪れ、組合員と生産者が直接話しあえる大事な機会
お米の生産者の説明を聞く
山形県庄内地方は、数多くの提携生産者が集中する産地です。提携の原点は生活クラブが1971年にお米の共同購入を始めたことにさかのぼります。現在では、豚肉やウインナーなどの加工肉、農産物、菓子、酒類までと提携生産者も幅広く、組合員の食卓になくてはならない産地となっています。
そのつながりの深さから、新型コロナウイルス感染拡大の前まで「庄内交流会」は組合員の参加者数が最大規模で、全国から組合員が庄内地方を訪れていました。2020年はやむなく中止となり、2021年はオンラインで開催。今年は人数を絞り、現地での開催が実現しました。交流会には、お米や豚肉の提携生産者をはじめ山形親生会14社や太陽光発電や石けんプラント関係者、遊佐町役場の皆さんなど、多くの関係者が集まり交流しました。
そのつながりの深さから、新型コロナウイルス感染拡大の前まで「庄内交流会」は組合員の参加者数が最大規模で、全国から組合員が庄内地方を訪れていました。2020年はやむなく中止となり、2021年はオンラインで開催。今年は人数を絞り、現地での開催が実現しました。交流会には、お米や豚肉の提携生産者をはじめ山形親生会14社や太陽光発電や石けんプラント関係者、遊佐町役場の皆さんなど、多くの関係者が集まり交流しました。
生活クラブのお米の価値をもっと伝えたい!
生活クラブには、「共同開発米」というお米があります。提携生産者と組合員が農業基準から話し合い、どんなお米が食べたいかを一緒に考えてつくり上げています。組合員は、共同開発米のひとつ「庄内遊YOU米」の提携産地がある遊佐町を訪問。青々と広がる棚田などの田んぼを見学し、お米の提携生産者たちと意見交換を行ないました。
遊佐町の一部に広がる棚田。傾斜のある面の草を人力で刈るのは大変な作業
組合員と提携生産者が、それぞれの立場から率直に意見を交わす
提携生産者である遊佐町共同開発米部会会長の今野修さんは、米づくりへの思いをこう語ります。「私たちの田んぼでは、あぜでは除草剤の散布を禁止し、暑いなかでも人力での草刈りを行なっています。できる限り自然に負荷をかけず、みなさんが毎日安心して食べられるお米をつくりたいからです。私たちの思いの詰まった共同開発米をぜひ選んで、食べてもらえるとうれしいです」
生産者の思いを受け、組合員からは「個別の配送や新しい組合員も増えました。個々に向けて、もっとお米の情報を伝えていきたいです」「生産の背景にはたくさんの工夫や努力があることがわかりました。このお米の価値を広め、多くの食べる力を集めていきましょう」という声が上がりました。
組合員はそのほかにも、近年の気候変動にも対応できるよう、生活クラブのお米の新品種候補を試験的に育てている田んぼも見学しました。
生産者の思いを受け、組合員からは「個別の配送や新しい組合員も増えました。個々に向けて、もっとお米の情報を伝えていきたいです」「生産の背景にはたくさんの工夫や努力があることがわかりました。このお米の価値を広め、多くの食べる力を集めていきましょう」という声が上がりました。
組合員はそのほかにも、近年の気候変動にも対応できるよう、生活クラブのお米の新品種候補を試験的に育てている田んぼも見学しました。
稲を手にしてお米がどのように育つのか説明する提携生産者
パプリカの提携産地でもある遊佐町。できるかぎり化学合成農薬を使わずに栽培している
変わる状況のなかでこれからも豚肉を食べ、生産していくために
庄内地方には、生活クラブの豚肉を生産する株式会社平田牧場(山形県酒田市)があります。豚肉は組合員にも人気の品目のひとつです。以前は豚肉の加工を行なう本社ミートセンターを訪問していましたが、今回は平田牧場本社に隣接するガーデンパレスみずほから、オンラインで視察しました。
近年、世界的な飼料価格の高騰などから、豚肉の生産はきびしい状況におかれています。こうした事情を踏まえ、生活クラブと平田牧場は一緒に話しあい、組合員が求めやすい価格や容量など規格の見直しを図ってきました。
また、国産自給飼料の拡大を進めており、2022年7月末からは飼料用米を1頭当たり84kgまで増やして給餌することなども報告されました。
平田牧場でも生産者との意見交換会を開催。生産者からは、「新型コロナウイルスの感染拡大や、食とエネルギーの世界情勢の変化などの影響の中、生活クラブの豚肉はどうあるべきか?」という質問がありました。組合員からは「自給率の低さ、他国に依存している食料情勢が浮き彫りになっている。国産自給飼料であるお米を食べさせるなどSDGsにも貢献する取組をより推進していきたい」などの意見が上がりました。
意見交換に参加した平田牧場の新田嘉七代表取締役社長は、「まずみなさんに注文してもらえないと、私たちも生産は続けられません。豚肉の生産の背景を知ってもらうとともに、規格などの選択肢もさらに考えて、みなさんにもっと食べてもらえるようにしていきたいです」と語りました。
近年、世界的な飼料価格の高騰などから、豚肉の生産はきびしい状況におかれています。こうした事情を踏まえ、生活クラブと平田牧場は一緒に話しあい、組合員が求めやすい価格や容量など規格の見直しを図ってきました。
また、国産自給飼料の拡大を進めており、2022年7月末からは飼料用米を1頭当たり84kgまで増やして給餌することなども報告されました。
平田牧場でも生産者との意見交換会を開催。生産者からは、「新型コロナウイルスの感染拡大や、食とエネルギーの世界情勢の変化などの影響の中、生活クラブの豚肉はどうあるべきか?」という質問がありました。組合員からは「自給率の低さ、他国に依存している食料情勢が浮き彫りになっている。国産自給飼料であるお米を食べさせるなどSDGsにも貢献する取組をより推進していきたい」などの意見が上がりました。
意見交換に参加した平田牧場の新田嘉七代表取締役社長は、「まずみなさんに注文してもらえないと、私たちも生産は続けられません。豚肉の生産の背景を知ってもらうとともに、規格などの選択肢もさらに考えて、みなさんにもっと食べてもらえるようにしていきたいです」と語りました。
オンラインで農場の豚の様子も生中継
平田牧場のみなさんとの意見交換会
エネルギー自給と持続可能な未来のまちづくりをともにめざして
生活クラブと庄内地方は、「食の生産者と消費者」という関係から始まりました。今やその関係は、生活に欠かせないエネルギーや、福祉の分野も含めた持続可能なコミュニティづくり(FEC自給ネットワーク※)にまで広がっています。
組合員が訪れた遊佐町の「庄内・遊佐太陽光発電所」は、エネルギーの自給を目指し、生活クラブグループと提携生産者が共同で設立した株式会社 庄内自然エネルギー発電が建設。2019年2月から発電・送電をスタートし、「生活クラブでんき」を通じて庄内地方や生活クラブ組合員、提携生産者のもとに電気が供給されています。
組合員が訪れた遊佐町の「庄内・遊佐太陽光発電所」は、エネルギーの自給を目指し、生活クラブグループと提携生産者が共同で設立した株式会社 庄内自然エネルギー発電が建設。2019年2月から発電・送電をスタートし、「生活クラブでんき」を通じて庄内地方や生活クラブ組合員、提携生産者のもとに電気が供給されています。
採石場跡地を活用した敷地に広がる「庄内・遊佐太陽光発電所」の太陽光パネル。ここで発電された電気は遊佐町役場にも供給されており、地元にエネルギーを還元している
発電事業で得られた収益の一部は、酒田市に造成した基金に寄付。移住・定住など庄内地方のサステイナブルな地域社会づくりにも活用されています。生活クラブでは酒田市と連携し、居住棟やまちづくり拠点を兼ね備えた施設「TOCHiTO(とちと)」を2023年に市内にオープンする予定です。一部の施設の建設に、基金による助成が生かされます。
庄内地方に移住してきた人が、地元の人々とともに暮らし、自分らしく活躍できる拠点をつくることで、豊かなまちづくりをめざしています。
(*)生活に欠かせない「食(Food)」「エネルギー(Energy)」「福祉(Care)」のしくみを自分たちでつくりだす社会をめざす構想。故・内橋克人氏(評論家、旧2012国際協同組合年全国実行委員会・委員長)が提唱。
発電事業で得られた収益の一部は、酒田市に造成した基金に寄付。移住・定住など庄内地方のサステイナブルな地域社会づくりにも活用されています。生活クラブでは酒田市と連携し、居住棟やまちづくり拠点を兼ね備えた施設「TOCHiTO(とちと)」を2023年に市内にオープンする予定です。一部の施設の建設に、基金による助成が生かされます。
庄内地方に移住してきた人が、地元の人々とともに暮らし、自分らしく活躍できる拠点をつくることで、豊かなまちづくりをめざしています。
(*)生活に欠かせない「食(Food)」「エネルギー(Energy)」「福祉(Care)」のしくみを自分たちでつくりだす社会をめざす構想。故・内橋克人氏(評論家、旧2012国際協同組合年全国実行委員会・委員長)が提唱。
産地をあらためて知り、強まるお互いのつながり
参加した組合員代表の鈴木慎貴子(まきこ)さん(横浜みなみ生活クラブ)は、次のように3日間を振り返りました。
「実際に現地に行くことで、産地を知り、庄内との結びつきの強さを感じることができました。また、生産者と話し、ただ自分たちが欲しいものを求めるだけでなく、共に作り上げている消費材をしっかりと利用していく必要があると改めて感じました。生産の現場背景は今どうなっているのか、たとえば豚肉ならば好きな部位だけを選び食べることが全体にどう影響するのかなど、この交流会を通して学んだことを組合員に向けてしっかりと伝えていきたいです」
次回で50回目となる庄内交流会。産地の人々と交流するなかで、お互いを深く理解し、生産と消費の関係にとどまらない濃いつながりが生まれます。
参加した組合員は、現地で感じ学んだことを、多くの組合員に伝えます。生産者は組合員からの声を受けとめ、今後に生かしていきます。
生活クラブは、これからも産地と直接交流できる機会を大切にしていきます。
「実際に現地に行くことで、産地を知り、庄内との結びつきの強さを感じることができました。また、生産者と話し、ただ自分たちが欲しいものを求めるだけでなく、共に作り上げている消費材をしっかりと利用していく必要があると改めて感じました。生産の現場背景は今どうなっているのか、たとえば豚肉ならば好きな部位だけを選び食べることが全体にどう影響するのかなど、この交流会を通して学んだことを組合員に向けてしっかりと伝えていきたいです」
次回で50回目となる庄内交流会。産地の人々と交流するなかで、お互いを深く理解し、生産と消費の関係にとどまらない濃いつながりが生まれます。
参加した組合員は、現地で感じ学んだことを、多くの組合員に伝えます。生産者は組合員からの声を受けとめ、今後に生かしていきます。
生活クラブは、これからも産地と直接交流できる機会を大切にしていきます。
庄内交流会の全日程を終えて
【2022年9月8日掲載】