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生協の食材宅配【生活クラブ】
国産、無添加、減農薬、
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提携51年、あえて「中国はるさめ」を名乗る 国境を越え、つながる食の物語


 
食べ物を通じて、それを作る人、販売する人とどうつながり、持続可能な食、その生産環境を育てていくのか。つながる先は国内だけにとどまらない。生活クラブ連合会に中国はるさめを提供する藤原食品株式会社は、51年に及ぶ歴史の中で、徹底した原材料の確認と公開を実践、国によるイメージの固定や偏見にとらわれず、食でつながる人と人の関係づくりを進める。

二つのはるさめ

「生活クラブは国内自給を追求しているのに、はるさめや甘栗はなぜ、中国産なの?」「中国産のものは農薬が心配」といった漠然とした疑問を持つ人は多い。

生活クラブ連合会では、扱う品物を、売ることを目的とする「商品」ではなく、使う人の立場にたつという意味を込めて「消費材」と呼ぶ。その生産から流通、廃棄に至るすべての過程で「健康、安全、環境」を尊重するために「消費材10原則」を定める。その第3原則は「国内自給力を高める」だ。実際、北海道産の馬鈴薯(ばれいしょ)でんぷんを使ったはるさめの開発にも力を入れ、2022年秋には新規品として登場している。では、なぜあえて中国産のものを扱うのだろうか。

そもそも「はるさめ」は、JAS(日本農林規格)の規定がなく、うどんやそば、パスタと同じ「乾めん」に分類される。原材料が違っても同じ「はるさめ」として販売することが可能だ。現在日本で流通しているはるさめは、原材料によって大きく二つに分けられる。マメ科の植物、緑豆からつくられるでんぷんを原材料とするものと、馬鈴薯でんぷん、甘藷(かんしょ)でんぷんなどイモ類からつくられるでんぷんを原材料とするものだ。緑豆とイモ類は全く違う作物なので、出来上がったはるさめも、その食感や性質に大きな違いが生じる。形状は似ているが別物といってよいのだが、同じはるさめとして販売されるため、混同している人は多い。

生活クラブが扱う「中国はるさめ」の原材料は「緑豆」だ。日本の気候は緑豆栽培には向かず、同じものを国内生産することはできない。バナナやコーヒーなどと同様、国内生産は難しいが暮らしに必要なものと位置付け、生産者との関係性をつくり、原材料の調達や生産工程を明らかにして、海外産のものに取り組んでいる。

生産工程を明らかにする

緑豆の畑。どこまでも続いている(写真提供:藤原食品)
麺状のはるさめをつるしているところ(写真提供:藤原食品)
中国はるさめを販売する藤原食品株式会社は、生活クラブが生協として設立した1968年の直後、71年から生活クラブと提携を開始している。翌72年は、日本と中国が国交を正常化した年だ。

「当時は中国産の物品の人気はとても高かったのですよ」と振り返るのは、藤原食品の代表取締役社長、藤原拡人さんだ。だが2008年、中国産冷凍餃子に殺虫剤が混入していた事件が発覚して以降、「中国産」のイメージは逆転した。藤原さんは「その前から農薬など化学物質による食品の汚染に関心が高まっており、このまま中国からただ輸入して供給していてはいけないと、製品の見直し、リニューアルを進めました」と話す。

そのきっかけとなったのが、生活クラブ独自の包材への変更だ。04年頃までは、はるさめの包材には、山東省糧油公司(さんとうしょうりょうゆこんす)が輸出する「塔牌(とうはい)ブランド」の包材を用いていた。ところが、緑豆100%使用で希少性があったため、包材だけまねた緑豆以外のでんぷんを混ぜた品質の悪い製品が市場に出回るようになった。折しも生活クラブでは自主監査制度がスタートし、組合員自身の手で、消費材の製造工程を明らかにしていく活動に取り組み始めた時期だった。藤原食品ではこれを機に、包材だけでなく生産工程すべてを見直し向上を図ろうと、新たな活動を始めた。3年をかけ、遼寧省阜新県(りょうねいしょうふしんけん)の農家と契約を結び新たな「中国はるさめ」の開発を進め、08年、供給が始まった。

日本に流通する市販品の緑豆はるさめのほとんどは、すでに加工された「緑豆でんぷん」を原材料に作られている。緑豆の産地や生産方法はわからず、添加物などの使用も明らかではない。中国はるさめは産地を指定し無農薬で豆を育て、工程がわかる工場ででんぷんに加工し、そのでんぷんからはるさめを作る。日本国内においてもこうした原材料の調達、製造工程の確認をするのは難しい。中国との取引で一番難しいところは、そのような生活クラブの姿勢をわかってもらうことだと藤原さんは言う。その要となるのが、中国関係者との橋渡しをする商社の存在だ。
「生活クラブでは原材料一つずつにトレースが必要なため、その証明ができるものしか使えません。うちが提携する東栄商行の担当者はこれを理解し、提携先に話してくれます。そういう商社との取引がないと、中国貿易はできません」

生活クラブ、藤原食品、東栄商行、中国の工場、生産者。多様ではあるが、それぞれの持ち場の人との関係がつながり、中国はるさめの品質を支えている。
 
藤原食品株式会社・代表取締役社長の藤原拡人さん

昔ながらの作り方

緑豆をふやかすのに1日。臼でひいて豆乳にし、かめについている天然の乳酸菌で発酵させる。発酵させることで水とでんぷんを分離させるが、夏と冬では期間も異なる。夏なら三日程度、冬は十日ほどかかる。職人のさじ加減が必要だ。そこからでんぷんをこね、傷まないようにすぐに麺にして乾燥させる。
すでに加工されている緑豆でんぷんから作られるはるさめには、それ自体に香りがないが、こうした昔ながらの作り方をするはるさめには、独特の豆の香りが残っている。だがその香りが理由で、組合員からクレームが届くことがある。

「中国産という意識がまずあるので、においがすると心配になる人もいます。無農薬の緑豆だけで作っていますし、製品を検査しても何の物質も出ません。信じて使ってほしいですね」と藤原さん。

藤原食品では他に、中国で生産するきくらげや天津甘栗も扱っているが、いずれも無農薬だ。中国では広大な敷地で作るため、農薬をかける方がコストは高く、現実的ではないという。
供給初期の頃、全く農薬を使用していないきくらげから、残留農薬が検出されたことがある。調査の結果、きくらげの菌を培養する小麦麩(ふ)に残留していた農薬からの移染だったと確認された。

「ほ場での使用はないのに検出元を特定しようとするのは生活クラブの消費材だけだと思います」と藤原さん。小麦麩を中国産有機栽培のものに変更し、その後は非検出になった。現在でも輸出ロットごとに確認しているという。
中国はるさめを1袋(180g)作るのにはこの量(600g)の緑豆が必要
 
初期の消費材のはるさめ。500gのはるさめを切って使っていた。今は30gの6個入り。変更には組合員の声が反映されている

国産だから安全か

「あえて『中国はるさめ』という名前にして国産ではないことをアピールしています」と藤原さん。実際にはそれがマイナスイメージに働くことは多い。それでも「中国産であってもきちんと作っているものがあると伝えることが一番の目的です。中国のものを食べてもらいたいし、政治的な問題がすべて作っている人と関係するわけではない。ちゃんとした人はちゃんとしたものを出荷します」と藤原さんは言葉に力を込めた。

無農薬でもいくら点検していても、中国産というだけで心配される現状はある。だから藤原さんが重視するのは、「わかったものを提供する」ということだ。
「原材料を徹底して明らかにしないと扱えないのが生活クラブの消費材です。どうすれば安全かという視点より、全てわかったものをどう組合員に提供できるかを常に考えています」(藤原さん)

国産でも中国産でも、何か問題が起こった時、全てが明らかになっていれば原因を追究できるし、生産者と共にどう防ぎ、よりよいものにしていくか、組合員は考えることができる。いかに安全というイメージを伝えられても、その工程が明らかにされないなら信頼関係は築けない。「わかって食べる」ということをいかに実践していくのか。生産者だけでなく、食べる側も常に問われている。
 

きくらげの原木栽培の様子。収穫後天日干しで乾燥させ、人手をかけて検品する。水で洗浄すると独特の食感が悪くなるのでそのまま出荷している
(写真提供:藤原食品)

撮影/魚本勝之
文/本紙・佐々木和子

国産甘栗の産地を作る

国産甘栗の生産者。阿黒秀二さん、壽子(ひろこ)さん(写真提供:藤原食品)
国産甘栗。天津甘栗より少し大きい
秋になると出回る日本の栗(和栗)と中国で収穫される甘栗はそもそも品種が異なる。「天津甘栗」のような渋皮がむけやすく甘みの強い栗を日本で作れないか。そう考えた岡山県農林水産総合センター森林研究所では、1982年に中国から種を仕入れ、品種改良を重ね2010年に苗の販売を始めた。農業の就業人口が減り耕作放棄地が増え、その対策も必要だった。

何年もかけてようやく日本で収穫されるようになった甘栗だが、品種として栗の粒が小さいので、当初は安い価格しかつかなかった。収穫量が増えるにつれ、販売先を確保することは急務になった。
「JA晴れの国岡山(以下、JA)」では和栗とは全く違う特徴を生かした甘栗を特産品にしようと検討を始めた。ちょうどその頃、生活クラブ連合会で販売したいと声をかけたのが藤原食品だった。
「JAではうちの会社のことは当然ながら生活クラブのことも知らず、埼玉の工場に来てようやく本当に甘栗を扱う会社だと納得してくれました」と藤原さん。
国産甘栗は4年前に生活クラブの店舗であるデポーで販売され、3年前から配送でも取り組みが始まった。

甘栗は、保存や流通管理が難しい。イガから落ちたものを収穫するので、そこに虫や菌が付くためだが、早く冷やすとまん延しない。さらに一定期間冷やすことで甘みも引き出される。これまでの3年間はJAのコメ用の冷蔵庫を使っていたが、温度が下がりきらず、虫が出て廃棄したこともある。22年は藤原食品がマイナス22度まで下げられる冷蔵庫をレンタルして管理した。

「その時々で仕入れて売るだけならそこまで経費をかけられませんが、生活クラブとは継続して利用する関係なので設備投資ができます。生活クラブは産地を作っていくという考え方。生産者も、来年も買ってくれるとわかっていたら次どうするか考えられます」(藤原さん)

22年は収穫の1週間前に台風が直撃し、想定の3分の1ほどの量しか取れなかった。収穫量が少ないことで全体に価格が上がり、また円安の影響もあって輸入の栗との価格差が小さくなった。珍しい国産甘栗を一度仕入れてみようと他社が買い付けに来たという。JAとしては、翌年以降も継続して買ってくれるならいいが、品質もまだ安定していない中、価格が変わればまた輸入に戻ってしまう懸念がある。結局JAからは、23年は生活クラブ主体で販売していくと、藤原さんに連絡があった。

「将来的にもっと収穫量が増えたときに生活クラブだけでは利用しきれなくなるから、産地にも自立してもらわないといけません。他に販売できるような管理法、販売体制を作っていく必要があります。いい甘栗ができて銘柄化すれば、産地も豊かになります。生活クラブのみんなで甘栗を育て、地方を豊かにする一助にできたらいい。夢がありますよね」と藤原さん。
組合員の継続した利用が産地を作ることにつながっている。
撮影/魚本勝之
文/本紙・佐々木和子
 
『生活と自治』2023年1月号「新連載 ものづくり最前線 いま、生産者は」を転載しました。
 
【2023年1月20日掲載】
 

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