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生協の食材宅配【生活クラブ】
国産、無添加、減農薬、
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生活クラブのネットワークで学校給食に食材を


東京都の自治体向けの牛乳

生活クラブ連合会の牛乳の生産者、新生酪農㈱は、学校給食用の牛乳を千葉県や東京都のいくつかの自治体に供給している。原料の生乳の生産量や物流などの課題はあるが、供給する自治体は徐々に増えつつある。牛乳の品質などへの信頼もあり、他にも生活クラブが扱う消費材と同じ規格の食材が一部で利用され始めるなど、学校給食への生活クラブグループの取り組みは広がりを見せている。

全校を下見して配達

「子どもに安全安心なものを食べさせたい」との思いから生活クラブ生協に加入する人は多い。それだけに子どもが学校で食べる給食に、消費材が使われることへの組合員の期待は高い。

45年前、生活クラブが酪農家と共同出資して設立した新生酪農㈱は、現在、牛乳工場のある千葉県睦沢町近郊や東京都多摩地域の8自治体に、200ミリリットル入りのびん牛乳を供給している。この4月からは新たに千葉県白子町の小・中学校にも供給を開始した。

新生酪農の関谷(せきや)宏行管理部長は「育ちざかりの子どもに飲んでもらえるのはうれしいことです。小さい頃からパスチャライズド牛乳に親しんでもらえれば『大人になっても飲み続けてもらえるのでは』と期待しています」と話し、こう続ける。

「牛乳の原料は72度15秒間殺菌できる高品質の生乳で、指定酪農家が遺伝子組み換え対策をした飼料を牛に与えて搾ったものです。生産量を急に増やすことはできないので、むやみに学校給食を供給するエリアを広げることはできないのです」
原料の生乳以外にも製造上の課題がある。200ミリリットル入りのびん牛乳は千葉と栃木の工場で作っているが、各工場とも製造できる本数は1時間当たり1万本と限りがある。加えて冷蔵庫の収容能力やびんの用意、保管場所、消費材の製造との調整など、検討事項は多岐にわたる。特に学校への配達が一番の課題だ。

「新たに供給する自治体の小・中学校が仮に50校とするなら、すべての学校に11時までに配達できるトラックとドライバーの確保が必要です」と、㈱太陽ネットワーク物流の仲村辰巳専務は語る。同社は生活クラブの提携生産者から出荷された消費材を埼玉県の飯能DC(デリバリーセンター)に運び、そこで組み込まれたものを各地域の配送センターやデポーに届ける役割を担っている。生活クラブの関連会社でもあり、牛乳工場から学校への配達も同社が受託する。

「供給が決まったら必ず全校を視察して、給食の納品口までの道の勾配や障害となる木の存在などを確認します。その状況によっては車両メーカーに特別注文してトラックを作ってもらうこともあります」と仲村さん。コロナ禍もあって納車までに1年かかるケースもあるという。
 
学校に牛乳を納品する太陽ネットワーク物流の社員

給食での利用が励みに

配達では衛生面にも細心の注意を払っている。牛乳を全校に配った後に、もう一度回って空きびんを回収する。牛乳の入ったびんと汚れている可能性のある空きびんをトラックに同時に置かないようにするためで、新生酪農と話し合って決めたことだ。また、ドライバーは必ず帽子をかぶり、髪の毛などの異物がびんに付着しないようにしている。

学校給食がない夏休みは、ドライバーが大型自動車やフォークリフトの免許を取得する期間にあてたり、ベテランドライバーに添乗して技術を学ぶ機会などにする。ただ、トラックは稼働しないので経営的には厳しい面もある。このような課題から新たな自治体からの問い合わせについては、新生酪農と太陽ネットワーク物流で慎重に検討して対応せざるを得ない。

関谷さんは「牛乳は良質なタンパク質をふくんだ食品なので、できることなら多くの子どもたちに飲んでもらいたい。酪農家は飼料の高騰などでたいへん厳しい状況ですが、未来を担う子どもたちが飲むことが大きな励みになっています」と語る。

牛乳の味については子どもたちから「さっぱりして飲みやすい」「甘い」などの声が聞かれる。牛乳の評価が高いこともあり、同じ生乳を原料にしたヨーグルトやアイスクリームも、工場近くの自治体で学校給食に利用されるようになった。

新生酪農は牛乳や自社の製品だけでなく、他の提携生産者の「食材」も学校給食で使えないかと自治体との交渉も積極的に行う。「食材」としたのは、業務用のため消費材とは容量が異なるからで、添加物を極力使用しないなどの製品規格は消費材と同様だ。これまでに㈲王隠堂農園の梅びしおや刻み紅しょうが、㈱青い海のシママース(真塩の業務用)などが東京の一部の学校給食で利用されている。

王隠堂農園の辻田親一さんは「梅びしおなどは素材本来の味を生かし、添加物に頼らない作り方をしているので、学校給食での利用はたいへんうれしいです。機会があれば子どもたちに梅ぼしの作り方を紹介したい」と話す。

前述したように提携生産者からの荷物は牛乳をふくめて飯能DCに集まる。この物流を活用することで、学校給食への一般食材の供給が可能になっている。ただし、一般食材は給食の調理に使うので、牛乳と同時に配達したのでは間に合わない可能性がある。学校への前日納品が許可されない場合は、宅配便ではなく別途、配達をしなければならない。

関谷さんは「生活クラブのいろいろな食材についてレシピを提案して、利用する自治体や学校を増やしていきたい」と話す。

丹精國鶏の鶏ガラも

昨一般に、学校給食への食材の納入は、自治体と契約した食品卸売会社などが学校からの注文を受けて行う。生活クラブの組織エリア外への消費材の通信販売や、提携生産者の業務用食材の販売を手がける生活クラブ・スピリッツ㈱では、こうした給食納入業者に食材を供給している。東京都多摩地域の一部の自治体では、遺伝子組み換え対策をした飼料の給餌を評価し、(農)会田共同養鶏組合の鶏卵を学校給食用に指定し、業者への納品を生活クラブ・スピリッツが担う。国産のはちみつがほしいとの栄養士の要望から、㈱スリーエイトの国産純粋はちみつも供給する。また区部の一部には、給食でだしを取る食材として丹精國鶏の鶏ガラを納めている。生産者の㈱秋川牧園では学校給食に使われることで、社員の意欲がいっそう高まっているという。

生活クラブの食材は品質が評価される一方、学校給食の費用は1食当たり300円前後と決まっているので、価格が課題になることが多い。しかし、新生酪農、太陽ネットワーク物流、生活クラブ・スピリッツの3社はそれぞれ「子どもに安全安心な食材を食べてもらいたい」との思いを持っており、生産者と連携して学校給食への供給をさらに進めようと考えている。

撮影/高木あつ子
文/本紙・橋本 学
★『生活と自治』2023年4月号 「生活クラブ 夢の素描(デッサン)」を転載しました。
 
【2023年4月30日掲載】
 

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