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量り売りで利用もアップ! 脱プラ&せっけん利用を推進する、デポー石神井の挑戦

「容器を持参して」「必要な分だけ」購入する量り売りは、海外の環境先進国ではすでになじみのシステムだ。日本でも近年、SDGsやゼロ・ウェイスト(無駄・浪費・ごみをなくすという考え方)といった意識の高まりとともに、食品や生活用品の量り売りをする店舗が増えつつある。生活クラブ連合会は、各地の生活クラブが運営する店舗、デポーでの量り売りのモデル取り組みを提案。これを受けて生活クラブ東京、同神奈川にある3店舗で、2022年8月から液体せっけん類の量り売りが始まった。当初は利用への影響も心配されたが、半年以上たった今、組合員にはどう受け止められているだろうか。実施した店舗の一つ、デポー石神井で聞いた。

2030年までに

店舗内のせっけん量り売りコーナー

製造過程やごみとして焼却される際に二酸化炭素を大量に発生するプラスチック。海に流出し生態系を破壊する原因にもなる。環境省の2021年度調査によれば、家庭ごみの約50%をプラスチック類が占めるという(容積比)。日本は1人当たりのプラスチックごみの廃棄量が世界2位というショックな報告もある(18年、国連環境計画報告書)。

生活クラブ連合会は、1994年、「グリーンシステム」という名前で、調味料やジュースなど数種類のびん容器の規格を統一し、回収して再利用する仕組みをスタートさせた。牛乳はびん容器に切り替え、牛乳キャップと配達用のピッキング袋も回収リサイクルし、ごみを出さない暮らしを具体化してきた。

昨年の総会ではSDGsの理念に通底する「生活クラブ2030行動宣言」を決定。30年までに達成させる11の目標を掲げ、達成に向けて今、なすべきことを急ピッチで進めている。今回、デポーで始まった液体せっけん類の量り売りもその一環だ。

実施しているのは、北東京生活クラブが運営するデポー石神井と、湘南生活クラブのちがさきデポー、横浜北生活クラブのつなしまデポーの3店舗、量り売りで購入できるのは「ハンドソープ」「ボディシャンプー」「キッチン用液体せっけん」「洗濯用液体せっけん」の4種類だ。量り売り用1箱当たりのプラスチック削減量は、ハンドソープ38袋、ボディシャンプー約18袋、キッチン用液体せっけん約22袋、洗濯用液体せっけん9袋分になる。

できることの積み重ね


左から、まち石神井運営委員長の向時子さん、デポー石神井マネジャーの本山由紀子さん

デポー石神井では、店舗業務を受託する一般社団法人「ワーカーズ・コレクティブすぐり」のメンバーと組合員が意見を出し合い、数年前から積極的に脱プラに取り組んできた。その中心人物の一人が、まち石神井運営委員長の向時子(むかいときこ)さんだ。組合員歴30年以上の向さんは、地域の消費者、市民と連携して練馬区にリサイクル条例の制定を訴えるなど、長年地域で環境問題に取り組んできた。向さんにとって、デポーでの脱プラはぜひとも進めたい課題だったという。量り売りを始める以前にも多様な脱プラを提案、実践してきた。

最初に取り組んだのは、弁当の容器をバガス(サトウキビのしぼりカス)に代替するというモデル事業の導入だ。野菜や果物のプラ容器や袋の削減にも挑戦し、ばら売りや紙袋での陳列を開始した。プラ容器での陳列も行うが、その場合は容器を回収して何度も使い回す方法に落ち着いている。それが定着すると、弁当と総菜、加熱用の鮮魚を組合員が持参した容器に詰めて販売することも始めた。

「青果物のプラ容器の回収、リユースは最初からやろうと思っていたわけではなかった」と話すのは、すぐりのマネジャー、本山由紀子さんだ。組合員がイチゴなどのトレーを自主的に返してくれるようになり、それらがたまってばら売りの青果物を入れて販売できるほどになったと言う。「組合員さんが協力的で、すごくありがたいと思っています」と本山さんが言えば「ワーカーズの協力があったからこそ」と向さん。

青果物のばら売りを始めたのは、コロナ禍に入ってからのことだ。ワーカーズの話し合いでは、「誰かがさわった可能性のあるものを買ってくれるだろうか」という懸念の声もあったが、コロナ禍で脱プラをストップさせたくないと、あえて実施に踏み切った。「時勢柄、他では簡単には取り組めなかったであろうことを実現してくれました」と向さんはワーカーズの決断を称賛する。業務担当と利用者、相互の協力で石神井の脱プラは成り立ち、進んでいる。

デポー石神井ではこの他にも、脱プラに向けたユニークな組合員活動がある。「ちくちく隊」と呼ばれる有志の組合員によるシェアバッグの制作と提供だ。手作りの布のバッグや、手提げ袋になるように上部を切り抜いた消費材の米袋をサッカー台に置き、買い物に来た人は誰でも使えるようにしている。

また、デポーに隣接する集会室には浄水器を設置。組合員がマイボトルに給水できるスポットにした。並行して、まちでは定期的にプラスチックに関する学習会を企画し、問題意識の共有を図ってきた。デポー石神井でせっけんの量り売りがスムーズに受け入れられた背景には、こうした活動の積み重ねがある。

*まち:生活クラブ東京の組合員組織の名称

「ちくちく隊」のお手製エコバッグ。米袋も再利用

せっけん利用がアップ

今回の試みは、他地域のデポーに先駆けたモデル取り組みだ。成果を出さなければ後が続かない。8月開始から数カ月間、ワーカーズはレジで「液体せっけん詰め替え用」を買う人に量り売りを勧め、まちの運営委員は定期的に売り場に出て「脱プラに加えて容器代がかからない分お得です」と量り売りへの参加を呼びかけた。

その結果、液体せっけんの利用高は当初の目標を超え、前年比約120%まで伸びた。液体せっけんに限らず、せっけん類全体の利用もアップしたという。「今までいろんなことを呼びかけても増えなかったせっけんの利用が増えた、これはすごいことです」と向さんは驚きを隠さない。中には「箱ごと買いたい」という声もあり、「もちろん買えますが、スタート時には考えてもみなかったことでした」と本山さんも思いがけない反響に顔をほころばせる。

向さんと本山さんの一押しはボディシャンプー。香料も入っていない無添加の純せっけんなので、髪も洗え、洗濯にも使える。量り売りからせっけんに興味を持ってくれた人には使い方をアドバイスし、そこから会話も弾んでいく。デポーは売り買いだけでなく、組合員同士が学び合う共育の場にもなっている。

今後どういった店舗にしていきたいかとの問いかけに、「せっけんだけでなく総菜など、お店全体を量り売りができるように変えていきたい。量り売りから交流が広がるようなお店にしたいですね」と向さんが言うと「そこは労働時間という大きな壁もありますが」と本山さん。すかさず向さんが「できる範囲から」と返す。言いにくい現実的な課題も率直に言い合える関係だ。今後も、組合員とワーカーズのパートナーシップで「今できること」のアイデアが形になっていきそうだ。
 

撮影/新井春衣
文/大久保ろりえ
★『生活と自治』2023年5月号 「生活クラブ 夢の素描(デッサン)」を転載しました。
 
【2023年5月30日掲載】
 

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