「飼料用米普及のためのシンポジウム2023」に 組合員が登壇!「飼料用米多収日本一」授賞式も開催
「飼料用米多収日本一コンテスト」では鶏肉・丹精國鶏(たんせいくにどり)の生産者・秋川牧園(山口県)に飼料用米を提供する生産者が受賞
飼料用米多収日本一コンテスト「地域の平均単収からの増収の部」で協同組合日本飼料工業会会長賞を受賞した海地 博志さん、(株)秋川牧園 取締役農場長の村田 洋さんと参加した組合員
生活クラブは畜産飼料の国内自給力アップをめざし、提携する畜産品や米の生産者と協力して「飼料用米プロジェクト」をすすめてきました。近年、輸入飼料は価格の高止まりが続いているため、国産の飼料用米は需要が高まっています。
2023年7月21日に、東京大学の弥生講堂で一般社団法人 日本飼料用米振興協会が「飼料用米普及のためのシンポジウム2023」を開催。消費者の代表として、生活クラブの組合員が登壇し活動を報告しました。この日、会場では2022年産の「飼料用米多収日本一コンテスト」の表彰式も行なわれ、生活クラブと提携する株式会社秋川牧園に飼料用米を供給している生産者が受賞しました。約140名 が一堂に会したシンポジウムにはオンラインでの視聴も含め組合員20名が参加し、飼料用米の意義を改めて確認する機会となりました。
2023年7月21日に、東京大学の弥生講堂で一般社団法人 日本飼料用米振興協会が「飼料用米普及のためのシンポジウム2023」を開催。消費者の代表として、生活クラブの組合員が登壇し活動を報告しました。この日、会場では2022年産の「飼料用米多収日本一コンテスト」の表彰式も行なわれ、生活クラブと提携する株式会社秋川牧園に飼料用米を供給している生産者が受賞しました。約140名 が一堂に会したシンポジウムにはオンラインでの視聴も含め組合員20名が参加し、飼料用米の意義を改めて確認する機会となりました。
全国に先駆けて始めた、生活クラブの飼料用米プロジェクト
国内で自給できる貴重な飼料用米
飼料用米は豚や鶏、牛などにあたえるお米のこと。日本では、トウモロコシなどの穀物飼料は海外からの輸入が大半で、国内自給率は低いのが現状です。一方私たち人間が食べているお米は国内でほぼ100%自給できているものの、消費量とともに生産量も減り続けています。
生活クラブでは飼料の国内自給力アップをめざし、米を生産するJA庄内みどりや豚肉を生産する株式会社平田牧場と協力して1996年に飼料用米プロジェクトをスタートしました。JA庄内みどりが飼料用米を生産し、平田牧場で飼育している豚にあたえています。飼料用米の生産を通じ、消費量の減少によって使われなくなった水田を活用して農地を守り、お米の生産とも連携して持続していくこともめざしています。
飼料用米は国内で生産しやすく、全ての畜種に利用できる(※)のも大きな特徴です。さらに近年は飼料として使う輸入穀物や牧草などの価格が高止まりしていることから、飼料用米の生産は今や全国各地に広がっています。
(※)牛には稲穂と茎や葉を一緒に刈り取って発酵させた「稲ホールクロップサイレージ」としてあたえます。
飼料用米は豚や鶏、牛などにあたえるお米のこと。日本では、トウモロコシなどの穀物飼料は海外からの輸入が大半で、国内自給率は低いのが現状です。一方私たち人間が食べているお米は国内でほぼ100%自給できているものの、消費量とともに生産量も減り続けています。
生活クラブでは飼料の国内自給力アップをめざし、米を生産するJA庄内みどりや豚肉を生産する株式会社平田牧場と協力して1996年に飼料用米プロジェクトをスタートしました。JA庄内みどりが飼料用米を生産し、平田牧場で飼育している豚にあたえています。飼料用米の生産を通じ、消費量の減少によって使われなくなった水田を活用して農地を守り、お米の生産とも連携して持続していくこともめざしています。
飼料用米は国内で生産しやすく、全ての畜種に利用できる(※)のも大きな特徴です。さらに近年は飼料として使う輸入穀物や牧草などの価格が高止まりしていることから、飼料用米の生産は今や全国各地に広がっています。
(※)牛には稲穂と茎や葉を一緒に刈り取って発酵させた「稲ホールクロップサイレージ」としてあたえます。
「飼料用米普及のためのシンポジウム」と「飼料用米多収日本一表彰式」
気候危機や世界情勢の影響により、畜産の生産に欠かせない穀物飼料の供給量は世界的にひっ迫することが予測され、飼料の国産化は今後ますます重要と言われています。生活クラブも参加している「一般社団法人 日本飼料用米振興協会」では、2014年から毎年「飼料用米普及のためのシンポジウム」を開催し、飼料用米の普及につとめてきました。コロナ禍を経て、今年は4年ぶりに関係者が会場に集まって開催することができました。
この日、農林水産省と共同開催している「飼料用米多収日本一表彰式」も同じ会場で行なわれました。飼料用米を効率的に生産することが畜産の安定的な生産に直結するため、たくさん収穫できた生産者を表彰しています。
気候危機や世界情勢の影響により、畜産の生産に欠かせない穀物飼料の供給量は世界的にひっ迫することが予測され、飼料の国産化は今後ますます重要と言われています。生活クラブも参加している「一般社団法人 日本飼料用米振興協会」では、2014年から毎年「飼料用米普及のためのシンポジウム」を開催し、飼料用米の普及につとめてきました。コロナ禍を経て、今年は4年ぶりに関係者が会場に集まって開催することができました。
この日、農林水産省と共同開催している「飼料用米多収日本一表彰式」も同じ会場で行なわれました。飼料用米を効率的に生産することが畜産の安定的な生産に直結するため、たくさん収穫できた生産者を表彰しています。
会場には飼料用米の特徴や品種について紹介するパネルなど展示も
生産者と消費者の立場から見る、飼料用米をつくり続ける意義
生産者どうしが手を携えて続けてきた飼料用米の生産
(株)秋川牧園 取締役農場長 村田 洋さん
生活クラブの「丹精國鶏」を生産している山口県の(株)秋川牧園。約15年にわたって飼料用米の生産に取り組んできました。さらに、より効率よく生産できるよう九州沖縄農業研究センターと共同で、飼料用米の品種開発にも着手しています。
(株)秋川牧園で飼料用米や有機野菜などの生産部門を担当している村田洋さんは、取組みを続けられた理由として生産者どうしの交流を挙げました。「秋川牧園では、提携する約20戸の飼料用米生産者と視察研修会を開催しています。お互いの水田や栽培設備を見て情報交換することで経験値が上がり、何より仲間の存在によって楽しく前向きに生産に取り組めています。」
さらに村田さんは、飼料用米は畜産品の生産コスト削減や地域全体の活性につながるとした上で、畜産品と米生産者の間で資源を循環させる重要性を訴えました。畜産の生産者が米の栽培に役立つよう品質のよい堆肥を生産するなど、資源と思いやりを循環させることで、お互いが豊かになると語っています。
秋川牧園の飼料用米生産者のなかでも収穫量が一番多い海地 博志さん
秋川牧園に飼料用米を供給している海地博志さんは、2010年から飼料用米の生産を始め、4.2ha(ヘクタール)の畑を夫婦2人で管理しています。2017年、2021年に続き3回目の受賞となる今年は、協同組合日本飼料工業会会長賞を受賞しました。
海地さんが飼料用米の生産に注力できた背景には、秋川牧園の支えがあったといいます。「私は秋川牧園の安心な食を追求する姿勢に共感し、飼料用米の生産を始めました。堆肥を無償で提供してくれたり、生産に必要な申請などを請け負ってくれたり、秋川牧園のフォローがあるからこそ栽培に勤しむことができています」海地さんは、秋川牧園が手掛けている試験品種の栽培なども担っており、両者の信頼関係が伺えました。
飼料用米の生産を後押してきた、畜産品を消費する力
生活クラブ連合消費委員長の萩原つなよさんも、消費者の代表として生活クラブの活動を報告しました。萩原さんは、生活クラブが畜産品の利用を通じて年間14,000tの飼料用米を消費していることに触れ、飼料用米の価値を語りました。「飼料用米は遺伝子組み換えの不安がなく、畜産品の食味が向上することも分かりました。安心でおいしい畜産品の生産に役立っています」
萩原さんは飼料用米の普及が国内自給力の向上や水田を守ることにもつながるとし、未来への想いも述べています。「輸入飼料にたよらず生産された畜産品をみんなで食べて国内自給力を向上させることが、次世代の子どもたちに対する私たちの責任だと思っています」
生活クラブ連合消費委員長の萩原つなよさんも、消費者の代表として生活クラブの活動を報告しました。萩原さんは、生活クラブが畜産品の利用を通じて年間14,000tの飼料用米を消費していることに触れ、飼料用米の価値を語りました。「飼料用米は遺伝子組み換えの不安がなく、畜産品の食味が向上することも分かりました。安心でおいしい畜産品の生産に役立っています」
萩原さんは飼料用米の普及が国内自給力の向上や水田を守ることにもつながるとし、未来への想いも述べています。「輸入飼料にたよらず生産された畜産品をみんなで食べて国内自給力を向上させることが、次世代の子どもたちに対する私たちの責任だと思っています」
生活クラブ連合消費委員長 萩原 つなよさん
飼料用米をつくる人、つかう人、畜産品を食べる人がつながって
国内で安定して畜産品を生産するために飼料用米が不可欠
飼料用米をつくる人、つかう人、畜産品を消費する人による座談会
会場では座談会も行なわれ、村田さんや海地さん、萩原さんも参加。村田さんは、国内で畜産品を安定的に生産するために飼料用米の普及は急務であるとし「飼料用米には多収品種と呼ばれる米が複数ありますが、それぞれ改善の余地があります。国内で飼料を確保するためには、さらに効率よく生産できる品種に改良する必要があります」と、力強く語りました。
萩原さんは、生産者との交流を続けてきた経験から「生活クラブでは、生産者との交流を大切にしています。食材に何が使われていてどんな人がどんな思いでつくっているのかを私たちが知ることは、生産者の力にもなっていると実感しています」と述べ、消費者が食の背景を知る大切さを伝えました。
飼料用米の普及には、生産者と消費者の協同が必要
(一社)日本飼料用米振興協会 副理事長を務める生活クラブ連合会顧問 加藤 好一氏
萩原さんは、生産者との交流を続けてきた経験から「生活クラブでは、生産者との交流を大切にしています。食材に何が使われていてどんな人がどんな思いでつくっているのかを私たちが知ることは、生産者の力にもなっていると実感しています」と述べ、消費者が食の背景を知る大切さを伝えました。
飼料用米の普及には、生産者と消費者の協同が必要
(一社)日本飼料用米振興協会 副理事長を務める生活クラブ連合会顧問 加藤 好一氏
シンポジウムの閉会に際し、日本飼料用米振興協会の副理事長であり生活クラブ連合会顧問の加藤好一氏が、生産者と消費者の関係について述べました。
「生活クラブでは、生産者と組合員が対等互恵であることを大切にしています。提携という言葉にも置き換えられ、協同して物事を成し遂げるという意味があります。飼料用米の生産も、お願いしてやってもらうのではなく、互いに話しあい、責任をもってすすめていく必要があると思っています。このシンポジウムがそのきっかけになればうれしいです。」
消費者である私たちが豚や鶏、牛が何を食べて育つのか知り、未来に思いを馳せて消費することが、飼料を含めた国内自給力の向上につながります。生活クラブではこれからも生産者との交流を続けながら、飼料用米を使って生産された畜産品の持続可能な生産と消費をすすめていきます。
「生活クラブでは、生産者と組合員が対等互恵であることを大切にしています。提携という言葉にも置き換えられ、協同して物事を成し遂げるという意味があります。飼料用米の生産も、お願いしてやってもらうのではなく、互いに話しあい、責任をもってすすめていく必要があると思っています。このシンポジウムがそのきっかけになればうれしいです。」
消費者である私たちが豚や鶏、牛が何を食べて育つのか知り、未来に思いを馳せて消費することが、飼料を含めた国内自給力の向上につながります。生活クラブではこれからも生産者との交流を続けながら、飼料用米を使って生産された畜産品の持続可能な生産と消費をすすめていきます。