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生協の食材宅配【生活クラブ】
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援農や交流で消費材生産や持続的な産地づくりを応援

生活クラブは消費材を食べ続けることで、生産者が将来にわたって作り続けられる関係をめざしてきた。しかし、後継者不足などで人手が足りない産地もあり、生活クラブ連合会は組合員が現地へ赴き生産に参加する「夢都里路(ゆとりろ)くらぶ」の活動を2008年から続けている。そして現在、活動は援農のみならず、持続可能な産地づくりを応援する企画へと広がっている。

消費材生産の貴重な力

あっぱれ・はればれ野菜を作る沃土会(よくどかい)(埼玉県)での農業体験
 
気候危機や世界的な人口増加、頻発する戦争の影響で、食料不足の懸念は強まっている。日本では生産者の減少や高齢化に歯止めがかからず、生産と消費のバランスが崩れ始めている。このような時代を先読みするかのように、夢都里路くらぶは生活クラブ連合会の「生産する消費者運動」の一つとして、組合員が生産に関わる作業を担う活動を15年前から行っている。これまでに36生産者のもとにのべ2200人以上の組合員が訪れ、生産者とともに汗を流している。

夢都里路くらぶのメインの活動は援農だ。とくに収穫の時期ともなれば生産者はとにかく人手がほしい。ミカンや柿は組合員が援農で取った収穫物が、そのまま消費材になる。キムチ用の白菜やトマトケチャップのトマトのように加工食品の原料となる作物もあるが、その生産が厳しくなっている。生活クラブ連合会・活動推進課長の脇田千鶴さんは次のように話す。

「主な産地で生活クラブと生産者が話し合う地域協議会で話題になるのが、加工食品の原料確保です。すでに調達が困難だったり、数年後には入手が心配される作物がたくさんあります。たとえば総菜の原料に欠かせないタケノコは、産地に生えていても取る人が減っているため、原料不足で消費材を取り組む回数が減る可能性があります。タケノコに限らず生産が厳しくなりつつある原料作物の援農が夢都里路くらぶでできたらよいと思っています」

首都圏の生活クラブにはデポーというお店があり、「杜仲(とちゅう)茶」という消費材がある。原料は国産の杜仲の葉で、収穫量が限られているためにデポーでしか扱えないのが現状だ。この収穫を22年秋に夢都里路くらぶで初めて行ったところ、配送での取り組みの可能性も検討ができるほどの収穫量が確保できたという。「国産純粋はちみつ」もミツバチの巣箱から蜜を取る援農がなければ消費材が作れないほど、夢都里路くらぶは消費材生産の貴重な力になっている。

生産者に貢献したい

畑農作業に限らず、作物を傷の有無や大きさ、重さで分ける選果作業の援農もある。たとえば馬鈴薯(ばれいしょ)は一日中選果作業をしたら、マスクをしていても土ぼこりで鼻の穴まで黒くなるほどだ。それでも北海道小清水町のJAこしみずの選果には人が集まる。

「参加者にとっては、消費材を注文して届くまでの工程がわかり、体験できることが価値になります。夢都里路くらぶに参加したことで産地のファンになり、生産者に貢献したい気持ちが強くなるようです」と脇田さんは明かす。

援農は生産の支えになるが、夢都里路くらぶは短期間の企画が多いので技術の習熟が必要な作業は難しい。それでも生産者には産地に組合員が来て、生産の様子を知ってほしいという期待がある。そこで夢都里路くらぶでは「農業体験」という企画を組んでいる。

「食べる人に消費材の生産現場を見聞きしてもらい、一緒に話し合えることが生産者の励みになっているのです」と脇田さん。

このように夢都里路くらぶへの生産者の関心は高いが、忙しい時期に参加者対応をする担当者を確保するのが課題になっている。
「夢都里路くらぶはボランティアで、産地までの往復交通費や宿泊費は組合員負担が前提です。それでも最寄り駅までの送迎や宿泊施設の手配など、産地が担う実務はけっして少なくありません」
車の運転や機械の操作など、万が一事故が発生した場合を考えると、夢都里路くらぶでは企画できない作業もある。

第1次産業を広く応援

企画への参加者は当初、会社勤めなど第一線を退いた人たちを想定していた。昨今は農業に携わりたいと思う人が社会的に増えていることを裏付けるように、10代、20代の組合員家族の参加もある。また、夢都里路くらぶには農業の中長期研修企画もあり、30代など若い世代からも問い合わせが増えている。

「いつも食べている消費材を作っている生産者のもとで研修できる安心感があるようです。これまでに研修に参加した人たちの中には、研修先の農業法人で実際に就農した方もいます」と脇田さんは語る。

最近は消費材の生産者のみならず、生活クラブとは直接取引はないものの産地にとって欠かすことのできない産業を体験する企画も行っている。紀伊半島での林業だ。紀伊半島は、言わずと知れた消費材の梅や梅ぼし、ミカンなどかんきつ類の産地だ。森林が多く、主要産業である林業を営む多くの人たちが地域で暮らすことで学校や病院が成り立っている。もし林業が廃れてしまえば地域に必要な機能が維持できず、消費材の生産も難しくなってしまう。このような地域の持続性という問題意識から林業体験を企画したところ、23年秋は募集人数を超え抽選になるほど応募があった。林業者にとっても消費者と交流する機会はこれまで少なく、森林や林業の現状などについて意見交換するなど貴重な機会になったという。

夢都里路くらぶでは、産地の文化や地域の特徴を知り交流を深める「産地まるごと応援」という企画も進めている。
JA加美よつば管内の宮城県加美町には、地域で栽培した稲わらで縄をない「しめ飾り」を作る文化がある。正月用の消費材として毎年取り組んでいるが、作り手が不足している。人手が必要となる袋詰め作業の手伝いやしめ縄作り体験を夢都里路くらぶの企画にすることで労働力を補うとともに、消費者とも価値を共有して文化の継承につなげていきたいと生産者は考えている。

また、木製品や餃子など多くの生産者がいる長野県塩尻市は、木製品作りや餃子の原料となる野菜の収穫体験の企画を通じて地域のファンが増え、塩尻市を再び訪れたり、移住を検討する人が現われることを願っている。

夢都里路くらぶは農業にとどまらず、消費する組合員が参加することで、漁業や林業もふくめた第1次産業の維持や発展、産地の持続性に貢献したいと考えている。
 
JA加美よつばでの加工用大根の収穫の援農
生産者と一緒に農作業をしたい人必見!
毎年2月と9月に「夢都里路くらぶフェア」と称した各企画のオンライン説明会を開催しています。次回は2024年2月23日。興味をもたれた方は夢都里路くらぶウェブサイトをぜひご覧ください。

夢都里路くらぶウェブサイト
文/本紙・橋本 学
★『生活と自治』2024年1月号 「生活クラブ 夢の素描(デッサン)」を転載しました。
 
【2024年1月30日掲載】
 

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