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「生活クラブ 森林フォーラム」開催レポート 林野庁が後援 日本の森林と林業の課題を知り、これからを考える

生活クラブ事業連合生活協同組合連合会(本部:東京都新宿区、会長 村上彰一、以下生活クラブ)は 、森林および林業に関わる課題を知り、ともに考える場として2024年3月15日(金)13時30分から、<快・決いい会議室 ホールA>(東京都新宿区歌舞伎町)にて、「生活クラブ 森林フォーラム」を開催しました。

当フォーラムは、「日本の森林、林業の課題、各地域で行なわれている先駆的な取組みについて学習し、生活クラブの提携産地の持続性や資源としての森林の活用の視点で日本の森林のこれからを考える機会とすること」、「当フォーラムを通じ、各地域の森林事業者や活動団体のネットワークづくりのきっかけとすること」を目的に林野庁後援のもと、ぐるっと長野地域協議会、紀伊半島地域協議会、生活クラブ親生会と連携して開催しました。当日は会場に集まった生活クラブ組合員と関係者の104名に加え、オンライン参加が137名となり、総勢241名の参加者が森林について学び、考えました。

森林フォーラム当日の集合写真:登壇者、生活クラブ組合員

【開催概要】
・日時:2024年3月15日(金)13:30~16:40
・会場:<快・決いい会議室 ホールA>(東京都新宿区歌舞伎町)
・主催:生活クラブ事業連合生活協同組合連合会
・共催:紀伊半島地域協議会/ぐるっと長野地域協議会/生活クラブ親生会
・後援:林野庁
・参加人数:241名(会場参加104名、オンライン参加137名)
・プログラム
■ 第1部
1.主催者挨拶:生活クラブ連合会 会長 村上彰一
2.ご来賓挨拶:林野庁 林政部長 谷村栄二氏
3.日本の森林の今:奈良県水循環・森林・景観環境部 奈良の木ブランド課 需要基盤強化係長 植松誠之氏
4.日本の林業の今:豊永林業株式会社 代表取締役 増春雅孝氏
■ 第2部
1.生活雑貨への国産材の利用、木をつかう 暮らしの価値、福島県での漆植林活動:酒井産業株式会社 代表取締役社長 酒井慶太郎氏
2.住宅の共同購入を通じた国産材の利用:オルタスクエア株式会社 常務取締役管理建築士 坂内博氏 
3.森林を活用した地域づくり:岡山県西粟倉村 地方創生推進室参事 上山隆浩氏
4.団体紹介:一般社団法人ゴジョる 代表理事菊池隼氏 さとやまエネルギー株式会社 代表 前田仁氏
5.質疑応答
6.閉会挨拶:生活クラブ長野 理事長 千村康代氏

■ 第1部 ※コメントは一部抜粋

主催者挨拶:生活クラブ連合会 会長 村上彰一


 
生活クラブが森林をテーマにフォーラムを開催するのは初めてとなります。食材宅配を中心とした生協なので、農業、畜産、酪農、漁業などがこれまで中心のテーマでした。農村社会の持続性、ローカルSDGsを考えた際に、日本の国土は約7割が森林なのでこの問題に取り組む必要性を感じました。木材の国内自給率は約40%です。昨今の輸入木材の高騰、バイオマスから国産木材の需要は高まってきています。しかし、林業における人材不足、予算の問題でなかなか増産もできない状況と聞いております。本日は森林、林業がどうなっているのか学習を深めて私たち生協に何ができるのかを考える機会にしていきます。

来賓挨拶:林野庁 林政部長 谷村栄二 氏


 
戦後の復興造林から始まって、日本の森林資源は豊かになり正に使うべきタイミングを迎えています。森林は、使って循環させることでさまざまな機能を発揮させます。伐って植えて育てるこのサイクルを繰り返して先代が培った森林を次世代へつなげていくために、伐った木を使っていくことが必要です。国産木材製品を選択する意義を知っていただき、このサイクルにみなさんも参画いただきたい。本フォーラムがそのための学びと気づきの機会となり、みなさん自身に何ができるのか考えていただき、今後の具体的な行動につながるよう林野庁も後押ししていきたいです。

日本の森林の今:奈良県水循環・森林・景観環境部 奈良の木ブランド課 需要基盤強化係長 植松誠之氏


 
森林は2つに分けると、自然に木々が入れ替わる「天然林」と、人の手によって入れ替える「人工林」があり、それぞれに課題があります。

天然林は、薪や木炭など燃料としての利用が減少したため里山林を利用しなくなっています。竹林が拡大し生い茂ることで別の木が生育するための日光を遮断し、ほかの木を枯らしてしまうことや、昨今の温暖化などで昆虫による木の伝染病ナラ枯れが広がっていることが課題です。

一方の人工林は、林業によって利活用されますが、木材の市場価格はピーク時(昭和55年)から1/2~1/4に下がってしまい、間伐など森林の整備がすすんでいません。所有者不明の森林が約3割あること、所有の境界が不明確なことが要因です。また、林業就業者と林家(林業を生業としている)の高齢化、新規就業者の減少、害獣(シカ、クマ)による被害が深刻化しています。

日本の林業の今:豊永林業株式会社 代表取締役 増春雅孝氏


 
奈良県南部の吉野の木材は、強くて均一な美しい年輪が特徴であり、住宅建材や内装材、寺社仏閣などで重宝されてきました。しかし、木材の市場価格の低迷と搬出コストの高止まりにより管理を放置した森林が増えました。現在の需要の大半はたわみが少なく扱いやすい集成材であり、吉野の木材の強みが発揮しやすい無垢材は現在の需要とズレが生じています。

豊永林業の想いは、「先人が植え、育ててくれた大切な木をきちんと使い、そして次世代につなぐこと」です。管理する1500ha(東京ドーム約400個分)の広さの山林のほとんどが樹齢60年以上と伐期を迎えています。先人がきちんと手入れをしてくれた山林を間伐し、次につなげるトレーサビリティと持続可能性を大切にしています。作業道も山の資産と考え、山にダメージを与えず、自分たちで木を伐って搬出できる道づくりを行なっています。
「昔はよかった」で終わらせないために、消費者のニーズを汲み取る新たな取組みを実践しています。自社の木材を使ってつくった生活雑貨のブランド「rin+」(りんプラス)、地域間でコラボした、食×木の地域ブランド「紀伊スタイル」を立ちあげ、林業を知ってもらうきっかけをつくりました。みなさんもぜひ吉野の森林を見に来て、ぜひ使って欲しいです。
 
■ 第2部
森林事業者や活動団体から国産材の活用事例や、林業を活用した地域活性化の事例を紹介いただきました。

生活雑貨への国産材の利用、木をつかう 暮らしの価値、福島県での漆植林活動:酒井産業株式会社 代表取締役社長 酒井慶太郎氏


 
生活クラブとの木育推進事例として、木や竹でできた調理道具や割りばしの取組み、生活クラブの施設や保育園などでおもちゃや遊具に国産材を使用した事例や、組合員を連れた森の散策ツアーの実施しています。木育啓蒙として生活クラブ絵本「木とあそぼう!もり うみ こども」の作成に協力し、日本人の木の文化や森林の地球での役割など木を使う暮らしの価値を伝えています。

漆の国内自給率は5%と低く、ほとんどを外国に依存している現状です。そんな中、国産の漆の自給率向上と山林活用のため、福島県における震災からの復興支援として漆の植林活動を始め、昨年は500本、その後は毎年2,000本植える予定です。15年後に使用できるようになったら、神社などの修復作業や、工芸品として海外への輸出を計画しています。漆の植林活動は、生活クラブの組合員が参加する援農「夢都里路(ゆとりろ)くらぶ」の取組みとしても今年4月に実施を予定しています。

住宅の共同購入を通じた国産材の利用:オルタスクエア株式会社 常務取締役管理建築士 坂内博氏

生活クラブ神奈川から派生した当社は、「食の安全」から「住まいの安全」へ、「食の共同購入」から「住まいの共同購入」のため設立しました。国産木材(無垢材)を使用し、林産地の見学ツアーを実施し、産地を訪れることで顔が見える関係の家づくりをすすめています。実際に森の中に入り、伐倒、植林、製材工場を見学することで木に対する価値観が変わります。この木材を大黒柱にして家をつくりたいという方もいます。木の家は湿度を調整するので夏も冬も冷暖房に頼らず快適に過ごせます。また、梅雨時期は室内干しでも洗濯物がしっかり乾くと好評です。住宅だけでなく、神奈川県を中心に福祉拠点やみんなの食堂など地域に開かれた施設にも国産木材を使用しています。

森林を活用した地域づくり:岡山県西粟倉村 地方創生推進室参事 上山隆浩氏


 
西粟倉村は人口が1,400人余りの小さい村で面積の93%を森林が占めます。町おこしのため森林を地域の資源として活用する方法を考え、衰退する林業に焦点を当て「百年の森林構想」を立ち上げました。そこから15年、新たに100人の雇用を生み、総売り上げは1億円から11億円までになり、外部から若い人材も来るようになりました。林家が後継者不在で森林の管理ができなくなってしまう問題に対し、これを地域の財産として預かり、村役場が山林管理を担い、自然資本を「私財」から「公財」へと転換しました。また、“大量生産・大量消費モデル”から離脱し、少量生産+地域ストーリーによって選ばれる競争相手のいない市場をターゲットとする「心産業」へ経済モデルを転換しました。地域課題を解決するローカルベンチャー企業がこれまでに50社起業し、地域の自然資本を地域で活用する取組みがすすんでいます。

団体紹介:一般社団法人ゴジョる 代表理事 菊池隼氏、さとやまエネルギー株式会社 代表前田仁氏

一般社団法人ゴジョる
岩手県釜石市は約9割を森林が占めます。東日本大震災をきっかけに人口減が年々すすみ、持続可能な地域の創造のため、林福連携事業を始めました。薪を月間80t生産し、地域の高齢者や就労支援者が年間2,000人働きます。環境・福祉・労働によって地域の課題解決に取り組んでいます。

さとやまエネルギー株式会社
長野県安曇地区は98%を森林が占めます。現在、生活クラブとともに小水力発電所の建設をすすめています。今まで森林の間伐をしていなかったことで倒木処理で工事の進行が遅れるなど改めて森林整備の大切さを実感しています。地域の資源を活用し、地域に貢献する自然エネルギーの創造をめざします。

閉会挨拶:生活クラブ長野理事長 千村康代氏


 
本日は日本の森林と林業の現状と、様々な地域の実践を共有いただきありがとうございました。「森林の現場を見て欲しい」、「国産木材をもっと使って欲しい」という言葉が心に残りました。酒井産業の森林ツアーに参加し、実際に森の中に入ってみることの大切さを体感したことを契機に生活クラブ長野では「生活クラブ活動の森」という里山保護活動を始めました。

森がきれいな水をつくることを学びましたが、私たちが共同購入している山形県庄内地域のお米や岩手県宮古市重茂のわかめがおいしいのは、おいしい水があってこそ。地元のみなさんの努力できれいな水を守っているからだと思います。地域の課題だけでなく私たち組合員にとっても森林の課題はとても大きいと考えます。本フォーラムを機に森林のことをもっと学びたいと思った組合員は多いと思います。さらに新たな地域の活動につながることを期待します。
【2024年3月26日掲載】
 

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