気候危機との闘いに非暴力の戦略で取り組むには マレーシアで開催された国際ワークショップに生活クラブが参加
アジアからの参加者たち、アルバート・アインシュタイン研究所とライトライブリフッド財団のスタッフと
1989年、生活クラブ生協は「先進工業国で最も成功を収めた持続可能な生産と消費のモデルを作り出した」ことに対し「ライトライブリフッド賞」*を受賞しました。同賞を2012年に受賞したジーン・シャープが創設したアルバート・アインシュタイン研究所(アメリカ)によるワークショップが、6月11日から13日までマレーシアのペナン島で開催され、生活クラブの組合員4人が参加しました。
1989年、生活クラブ生協は「先進工業国で最も成功を収めた持続可能な生産と消費のモデルを作り出した」ことに対し「ライトライブリフッド賞」*を受賞しました。同賞を2012年に受賞したジーン・シャープが創設したアルバート・アインシュタイン研究所(アメリカ)によるワークショップが、6月11日から13日までマレーシアのペナン島で開催され、生活クラブの組合員4人が参加しました。
「自分の住む地域をゼロ・カーボンにする」をテーマにワークショップに参加
2024年5月にオンラインで始まったこの企画は、15ヶ月間続きます。一度だけ対面で話し合う機会として設けられたのが、マレーシアでの3日間の集まりでした。参加したのは、インド、カンボジア、マレーシア、日本から合計14人です。
生活クラブからは、多摩きた生活クラブの組合員4人が、ワークショップに参加しています。参加するにあたって選んだテーマは、「自分の住む地域をゼロ・カーボンにする」。4人の住む東京都東村山市、国分寺市、あきる野市はそれぞれ、2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロをめざす「ゼロカーボンシティ」を宣言していますが、ロードマップが明確でなかったり、気候危機への市民の関心がそれほど高くなかったり、課題が多く、このままではゼロ・カーボンの実現は難しいと4人は感じています。そこで、このワークショップで学ぶことを生かして、自分の住む地域をゼロ・カーボンにするための活動に取り組みたいと考えました。
まず非暴力の基本的な概念を学んだ後、マレーシアでは、非暴力運動の戦略を組み立てる練習をしました。自分たちを取り巻く政治状況、地理的・自然環境的要因、交通手段など、さまざまな状況を分析したうえで戦略を考えます。ある参加者は、これまで多くの問題に興味を持ち、行動を起こしたいと思ってきたものの、戦略や状況分析について考えたのは初めてだったと言います。「分析のための知識や自信がないと痛感しました。しかし同時に、今回の参加者が皆、同じ思いを抱えていることを知り、誰も完璧である必要はない、同じ目標を持って仲間どうしで補いあえば、目標を達成する力が持てる」と感じたそうです。
ワークショップに取り組む生活クラブの組合員たち
生活クラブからは、多摩きた生活クラブの組合員4人が、ワークショップに参加しています。参加するにあたって選んだテーマは、「自分の住む地域をゼロ・カーボンにする」。4人の住む東京都東村山市、国分寺市、あきる野市はそれぞれ、2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロをめざす「ゼロカーボンシティ」を宣言していますが、ロードマップが明確でなかったり、気候危機への市民の関心がそれほど高くなかったり、課題が多く、このままではゼロ・カーボンの実現は難しいと4人は感じています。そこで、このワークショップで学ぶことを生かして、自分の住む地域をゼロ・カーボンにするための活動に取り組みたいと考えました。
まず非暴力の基本的な概念を学んだ後、マレーシアでは、非暴力運動の戦略を組み立てる練習をしました。自分たちを取り巻く政治状況、地理的・自然環境的要因、交通手段など、さまざまな状況を分析したうえで戦略を考えます。ある参加者は、これまで多くの問題に興味を持ち、行動を起こしたいと思ってきたものの、戦略や状況分析について考えたのは初めてだったと言います。「分析のための知識や自信がないと痛感しました。しかし同時に、今回の参加者が皆、同じ思いを抱えていることを知り、誰も完璧である必要はない、同じ目標を持って仲間どうしで補いあえば、目標を達成する力が持てる」と感じたそうです。
ワークショップに取り組む生活クラブの組合員たち
ライトライブリフッド財団のサマーさんと
アジアの活動家たちとの出会い
今回のワークショップの参加者たちはみな、自分たちが住む地域で難しい状況に直面している若手活動家です。たとえばインドから参加したのは、アッサム州にあるカジランカ国立公園の敷地内に、国立公園ができる前から暮らしていた先住民族のひとつ、ミシング族の二人の若きリーダー、プラナブ(Pranab)さんとソウラヴ(Saurav)さん。ミシング族(現地の言語で「川の民族」)は、その名のとおり、川とともに暮らしてきた民族です。川で魚をとり、牛などを育てて、川のほとりに高床式の家を建てて、自然と共生しながら暮らしています。
しかし、先住民族のひとびとは、強制立ち退きの恐怖に常にさらされているだけでなく、サイの密漁を取り締まるという名目で武装化した国立公園のレンジャー(自然保護官)から銃殺されたり、拷問を受けるケースもあると言います。プラナブさんとソウラヴさんは、このような人権侵害の事例を調査したり、他の先住民族のひとびとと協力して音楽と芸術のフェスティバルを開催するなどして、この問題の解決を図ろうと運動を展開しています。
しかし、先住民族のひとびとは、強制立ち退きの恐怖に常にさらされているだけでなく、サイの密漁を取り締まるという名目で武装化した国立公園のレンジャー(自然保護官)から銃殺されたり、拷問を受けるケースもあると言います。プラナブさんとソウラヴさんは、このような人権侵害の事例を調査したり、他の先住民族のひとびとと協力して音楽と芸術のフェスティバルを開催するなどして、この問題の解決を図ろうと運動を展開しています。
ミシング族の権利を守る活動のリーダー、プラナブさん(右)とソウラヴさん(左)
非暴力の戦略的行動で気候危機に立ち向かう
近年、スウェーデンのグレタ・トゥーンベリさんをはじめとする若者たちが、気候危機との闘いを世界各地で繰り広げています。こういった世界中の若者たちが、大きな権力との闘いのなかで非暴力の戦略的行動をとれば、きっと未来は変わる。そんな信念から、アルバート・アインシュタイン研究所とライトライブリフッド財団が3年前に始めたのが、この連続ワークショップです。2022年はヨーロッパ、2023年はアフリカ、そして2024年はアジアの若手活動家に参加が呼びかけられました。
アルバート・アインシュタイン研究所を創設したジーン・シャープ(1928-2018、アメリカ)は非暴力闘争の研究の世界的第一人者です。2023年12月にNHKの番組「100分de名著」で取り上げられた著作『独裁体制から民主主義へ』は、「アラブの春」、「オキュパイ・ウォールストリート」、セルビアの民主化運動、そして香港雨傘運動まで、数々の市民運動で教科書のように読まれたと言われています。
アルバート・アインシュタイン研究所を創設したジーン・シャープ(1928-2018、アメリカ)は非暴力闘争の研究の世界的第一人者です。2023年12月にNHKの番組「100分de名著」で取り上げられた著作『独裁体制から民主主義へ』は、「アラブの春」、「オキュパイ・ウォールストリート」、セルビアの民主化運動、そして香港雨傘運動まで、数々の市民運動で教科書のように読まれたと言われています。
ワークショップのコーチを務めるアルバート・アインシュタイン研究所のジョー・ワージーさんは、貧しい黒人コミュニティーの出身。家族と自分が貧困から抜け出すための活動のなかで、非暴力の戦略的行動に出会った。
生活クラブは、何を買い、何を買わないのか、消費者の選択によって社会を変えることができるしくみを構築してきました。これもひとつの非暴力運動と言えます。2025年7月終盤まで、今後も隔週のスケジュールでワークショップに参加し、非暴力のアプローチで運動を成功に導くスキルをさらに身につけていきます。
生活クラブは、何を買い、何を買わないのか、消費者の選択によって社会を変えることができるしくみを構築してきました。これもひとつの非暴力運動と言えます。2025年7月終盤まで、今後も隔週のスケジュールでワークショップに参加し、非暴力のアプローチで運動を成功に導くスキルをさらに身につけていきます。
*注:ライトライブリフッド賞は1980年、地球規模の問題を解決する勇気ある人々を称え、支援することを目的に設立され、これまで、『もったいない』 を世界に広めたケニアのワンガリ・マータイさん、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんなど、 76か国194の個人または団体が受賞している。
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【2024年7月16日掲載】