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能登半島地震の被災地支援から共生地域の創造へ

2011年、東日本大震災の被災地支援のため、生活クラブ連合会とグリーンコープ共同体、NPO法人「ホームレス支援全国ネットワーク」が協力して設立された公益財団法人「共生地域創造財団」(以下、財団)。東北の再生支援を継続しながら、24年1月1日に発生した能登半島地震の支援に奔走する。財団が大切にしていることは何か。能登の支援現場で財団事務局長の吉田菊恵さんに聞いた。

人を励ます言葉の力


重蔵神社の炊き出し風景。天気にも恵まれ、たくさんの人が列に並んだ

石川県能登半島地震から5カ月を経た6月1日、吉田さんは能登の支援のため、輪島市の重蔵(じゅうぞう)神社で炊き出しを行っていた。この日、ふるまわれたのは「日高昆布の出汁(だし)で作る肉豆腐」だ。吉田さんは人々に笑顔で言葉をかけながら、肉豆腐のお弁当を手渡していく。

「懸命に生活を取り戻そうとしているみなさんに接していると、私自身が励まされることもしばしばです。被災者の方々と共感し合えたと思える瞬間があって、そんなときは心の底からよかったと思えます」(吉田さん)

炊き出しのお弁当は、財団が支援の拠点にしている金沢市の金沢キリスト教会で作っている。
「何かお手伝いできませんか、と言ってくださった金沢の人たちが材料を切ってくれるので本当に助かっています」

地域の人々と協力して作った肉豆腐を、吉田さんたちは片道およそ3時間かけて金沢市から輪島市まで車で運ぶ。震災の爪痕が残る道路はところどころで崩落したり、波打ったりしているため、運ぶだけでも大変だ。輪島市内に入ると、倒壊した建物が目立ち、観光名所だった輪島朝市も焼け落ちたままだ。市内の避難所には、まだ多くの人が身を寄せている。そんな大変な状況のなか、炊き出しにはたくさんの人が集まり、笑顔で言葉を交わす。

「温かいうちにはやく食べてね!」「ありがとう!」
何げない会話が人々の心を少しだけ軽くしてくれる。そのことに気づいたボランティアと被災者たちが主体的にアイデアを出し合って「あったかfe(フェ)」という支援の形が生まれた。被災者の状況や想(おも)いに耳を傾ける「あったかfe」は2カ所で定期的に開催中だ。

「被災者とスタッフがお菓子をお供に温かいコーヒーを飲みながら語り合えば、心のケアになりますし、新しい支援のアイデアも生まれます。金沢キリスト教会には、お菓子を作ってくださる方や配るお菓子を入れるおしゃれな袋を作ってくださる方もいます。地域のみんなが一丸となって支援しているんです」

震災後、火災で焼けたままの輪島朝市の様子。街の被害はあちこちで手つかずの状態で残されている

被災地支援は継続力が鍵

財団が発足したのは東日本大震災の発災から三日後。切迫した状況にもかかわらず、被災地支援の経験者が一人もいないなかでの設立だった。しかし、財団はその後も全国で災害が起こるたびに支援に駆けつけ、経験を積んできた。
「私自身も未経験から支援活動に携わるようになり、いろいろと模索しながらやってきました」

財団の目的は、その名の通り、共生地域を創造すること。支援のその先に、誰ひとり孤立しない社会をつくるのが目標だ。だが、地域を創造する「主体」は、財団ではなく、その地域に住む人々と考えている。大切にしているのは、地元の声に耳を傾ける姿勢だ。今回の能登支援も例外ではない。

「現地のみなさんと対話しながら支援の方法を考えますが、もちろんうまくいかないこともあります。でも、失敗の経験を分かち合いながら一緒に前に進んでいけたとき、地域の人とのつながりをとても心強く感じますね」

財団は、被災者ひとりひとりの状況に長期的に寄り添う「伴走型支援」を活動の大きな指針としている。というのも、被災地支援は、生活インフラが復旧しはじめたころに資金が底をつき、ストップしてしまうケースが多いからだ。その点、財団は、生活クラブ組合員や提携生産者からのカンパなどが大きな財源となり、生活インフラが復旧し、日常を取り戻す次の一歩を踏み出す段階に入っても、細やかな支援を継続できる。

実際、生活クラブ連合会が「能登半島地震復興支援カンパ」を募り、8500万円を超えるカンパが集まった。このカンパは、緊急支援物資の提供、見舞金・義援金・支援金の寄付、その他、生活クラブ連合会の理事会で必要と判断した寄付先や関連費用として、計画に沿って活用される。また、生活クラブ連合会は財団と連携し、必要に応じて職員を被災地に派遣している。財団の活動はこのカンパと人的支援が大きな支えとなり、支援の継続力につながっている。

今後、財団は現地に事務所をかまえてスタッフを採用し、3年ほどの長期的視野で支援を行う方針だ。これからも能登の人々に寄り添い続ける。
 

共生地域創造財団の事務局長、吉田菊恵さん
撮影/魚本勝之
文/本紙・山本 塁
★『生活と自治』2024年8月号 「生活クラブ 夢の素描(デッサン)」を転載しました。
 
【2024年8月30日掲載】
 

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