遺伝子組み換えナタネ自生調査運動20周年記念講演会と報告会に参加
2024年の調査結果を報告
生活クラブは2005年から毎年、遺伝子組み換え(GM)ナタネの自生調査を実施しています。2024年は、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンに参加する団体が調査を開始してから20周年にあたることから、都内でオンライン併用の記念講演会と報告会が7月30日に開催され、生活クラブからはオンラインを含め60人が参加。報告会では2024年の生活クラブの調査結果を報告しました。
生活クラブは2005年から毎年、遺伝子組み換え(GM)ナタネの自生調査を実施しています。2024年は、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンに参加する団体が調査を開始してから20周年にあたることから、都内でオンライン併用の記念講演会と報告会が7月30日に開催され、生活クラブからはオンラインを含め60人が参加。報告会では2024年の生活クラブの調査結果を報告しました。
「シティズン・サイエンス」としてのGMナタネ自生調査
おおぜいの市民の参加で続けてきた調査が20周年を迎えたのを記念し、集会冒頭では、ハワイ大学社会学部の木村あや教授が、「シティズン・サイエンス(市民科学)としてのナタネ自生調査」をテーマに講演しました。
木村教授は、市民放射能測定をはじめとする一般市民による調査を取材して論文にまとめた実績があります。市民の科学的調査への参加は、2000年以降世界中で人気が拡大していると言います。その背景の一つには、環境や健康への悪影響が懸念されるようなできごとが身の回りで頻繁に起こるようになり、きちんとデータを集めたいという機運が市民の側で高まっていることがあります。その代表例がGMナタネ自生調査だと木村教授は言います。また原子力産業に顕著なように、科学が企業寄りであることへの市民の不信感も背景にあります。
農水省や環境省もナタネの輸入港などでGMナタネ自生調査をしていますが、「日本全国の幅広い地域で調査しているのが市民による調査ならではの強み」と木村さんは言います。また、「市民による調査というプレッシャーがあったからこそ、政府の調査も続けられ、市民が新たな場所でGMナタネを見つければ、政府の調査範囲も拡大されてきた」と市民が政府を監視する役目を果たしてきた点も高く評価しました。
木村教授は、市民放射能測定をはじめとする一般市民による調査を取材して論文にまとめた実績があります。市民の科学的調査への参加は、2000年以降世界中で人気が拡大していると言います。その背景の一つには、環境や健康への悪影響が懸念されるようなできごとが身の回りで頻繁に起こるようになり、きちんとデータを集めたいという機運が市民の側で高まっていることがあります。その代表例がGMナタネ自生調査だと木村教授は言います。また原子力産業に顕著なように、科学が企業寄りであることへの市民の不信感も背景にあります。
農水省や環境省もナタネの輸入港などでGMナタネ自生調査をしていますが、「日本全国の幅広い地域で調査しているのが市民による調査ならではの強み」と木村さんは言います。また、「市民による調査というプレッシャーがあったからこそ、政府の調査も続けられ、市民が新たな場所でGMナタネを見つければ、政府の調査範囲も拡大されてきた」と市民が政府を監視する役目を果たしてきた点も高く評価しました。
20年の調査活動を振り返る
続くトークセッションでは、河田昌東さん(遺伝子操作食品を考える中部の会)、天笠啓祐さん(遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン)、八田純人さん(農民連食品分析センター)が、これまで20年の調査を振り返りました。日本の気候は温暖なため、多年草化したナタネが見つかったり、交雑によってラウンドアップ耐性とバスタ耐性の両方の性質を持つようになったナタネが見つかったり、多くの新しい発見があったと河田さんは言います。また雑草との交雑も毎年見つかっています。「私たちの調査のおかげで、交雑の危険性が明らかになり、日本では遺伝子組み換え作物が栽培されていない」と河田さんは調査の成果を語りました。
多年草化したGMナタネ。木のように育って年輪ができている(写真提供・河田昌東さん)
2024年7月の調査で見つかった雑草。交雑で除草剤耐性になっている。
2024年の生活クラブの調査結果
2024年の生活クラブの調査では、381検体を検査し、1次検査*では7検体が陽性、9検体が擬陽性でした。擬陽性のうち5検体はPCR検査**で陰性と分かりました。東京都多摩市で見つかった擬陽性の1検体は、検査紙を使って再検査したところ陰性だと分かりました。東京都江東区で擬陽性の2検体が見つかった場所は、貨物線の下の土手なので、貨物からナタネがこぼれ落ちた可能性もあり、引き続き監視が必要です。
*一次検査:検査紙を使って遺伝子組み換え遺伝子から作られるたんぱく質を検出する検査。
**PCR検査:遺伝子検査。一次検査の結果をより精密に検証したいときに実施している。
生活クラブ北海道からは、理事の石黒真理さんが報告しました。「5月17日に小樽市産業港湾部の担当者にも立ち会ってもらい、4年連続してGMナタネが発見された小樽港のエリアを調査しました。簡易検査の結果、2つの検体で陽性反応(除草剤バスタ)がありました」と石黒さん。6月19日には小樽港の別の地点で、バスタ耐性1検体が見つかりました。生活クラブ北海道は、2024年度も小樽港湾部と北海道農政部に対して、こぼれ落ちや拡散防止対策などの要望をしていきます。
小樽港での調査
*一次検査:検査紙を使って遺伝子組み換え遺伝子から作られるたんぱく質を検出する検査。
**PCR検査:遺伝子検査。一次検査の結果をより精密に検証したいときに実施している。
生活クラブ北海道からは、理事の石黒真理さんが報告しました。「5月17日に小樽市産業港湾部の担当者にも立ち会ってもらい、4年連続してGMナタネが発見された小樽港のエリアを調査しました。簡易検査の結果、2つの検体で陽性反応(除草剤バスタ)がありました」と石黒さん。6月19日には小樽港の別の地点で、バスタ耐性1検体が見つかりました。生活クラブ北海道は、2024年度も小樽港湾部と北海道農政部に対して、こぼれ落ちや拡散防止対策などの要望をしていきます。
小樽港での調査
生活クラブでは2025年も調査を続けることを確認しています。調査にもとづく政府への働きかけを継続します。
2024年の一次検査*の結果(RR:ラウンドアップ耐性、LL:バスタ耐性)
2024年の一次検査*の結果(RR:ラウンドアップ耐性、LL:バスタ耐性)
【2024年9月13日掲載】