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多国籍で共に働く「生活クラブ風の村 特養ホーム八街(やちまた)」

介護現場では慢性的な人手不足に陥っており、外国人スタッフが不可欠な状況だ。異なる文化の中で日本語を覚えながら介護業務をするには、事業者側に配慮が求められる。生活クラブ風の村特養ホーム八街(千葉県八街市)では、彼らの労働環境や生活環境にどう配慮し、運営しているのか。

夫婦で育休中

入居者と話すインドネシア出身のスタッフ
 
「夫婦で働き、子どもが生まれて1年間の育休を取ってベトナムに帰っている人もいるんですよ」と生活クラブ風の村特養ホーム八街(やちまた)(以下、風の村八街)の施設長の石井康治さんは話す。

風の村八街では、2017年から外国人スタッフを受け入れるようになり、これまでフィリピン、ベトナム、インドネシア、中国などさまざまな出身地の人が働いてきた。技能実習生や特定技能者は、長くても5~8年で帰国しなければならないのでメンバーは入れ替わる。帰国して日本語や介護の講師となった人や、日本人と結婚し、転居先でまた別の生活クラブ関連の介護施設で働き始めた人もいる。現在は育休中の人も含めて13人が在籍している。

日本で介護福祉士の資格を取得すれば永続的に日本で働ける他、家族を日本に呼び寄せることもでき、育休はもちろんボーナスの支給もある。だが、資格取得のためには、働きながら日本語と介護の勉強をする必要がある。経済連携協定(EPA)の締結国から来て資格取得を目指す人たちは「EPA介護福祉士候補者」と呼ばれ、月に40時間の学習時間確保が施設に対し義務付けられている。
技能実習生や特定技能者については学習時間の義務付けはないが、風の村八街では個別に日本語の講師を招いたり、パソコンも一人1台貸与し、勉強できる環境を整えている。いずれにしても仕事と学習を両立して資格を取得するためにはかなりの努力が必要だ。

働きやすい環境を

たんぽぽ寮。Wi―Fiも完備されている

外国人スタッフを受け入れる前までは、言葉や受け入れ態勢の心配もあり、積極的ではなかった石井さんだったが、一緒に働き始めると意識が変わっていったという。
「つながりを持ってみると、外国人スタッフにとっても、運営する現場にとってもメリットがあり、いい関係になれるとわかりました。だからこそ、気持ちよく働きやすい環境をつくっていくべきだと思いました」
 

風の村八街では21年に施設に隣接して「たんぽぽ寮」を建設した。外国人スタッフは家族に仕送りをしているため、居住費用は少ない方がいい。宗教的な戒律もありそれぞれ食べるものも異なるので、個別に料理できる環境があることも利点だ。休憩も自室で取れる。

外国人スタッフが初めて来日する時には、銀行口座を作るにも審査がある。役所などの手続きも日本語がまだ不自由な中では一苦労だ。風の村八街では生活支援の担当者を置き、サポートしている。
「皆さんご家庭があって外国で働くということには、いろんな背景があると思います。でも本当にお金だけだったら、今は円安なので日本を選びません。日本の文化が好きだとか、治安の良さなどから日本を選んでくれています。その中でも、この風の村八街を選んでいただけることは、本当にありがたいと思っています」と石井さんは言う。同じ出身地のコミュニティーの口コミから風の村八街を勧められて来る人もいるという。

入居者からの言葉

日本語がまだ十分に上達していなくても、介護現場では適切に利用者をケアしていかなくてはいけない。自分が食べる習慣がないものでも入居者に提供することもある。刺し身を温めて出してしまったこともあるそうだ。

ある時、入居者がベトナム人スタッフに「あんた、日本人なのかいなあ、日本人じゃない? あんたベトナム人だったのかい?」と言っているのを石井さんは聞いた。入居者がスタッフを日本人だと思って接している、言葉や文化が違っても、同じ質のケアができていることが、とてもうれしかったという。

入居者は皆、要介護3以上で、認知症の人もいる。日本人、外国人を問わず、厳しい言葉をかけられる場面もある。石井さんは言う。「日本の若い子だと気持ちが折れてしまうような場面でも外国人スタッフはそんなことはなく、とても積極的だと思います。外国人の働く職場だからケアの質が心配だということは全然ないです。寛容な気持ちで受け入れてほしいですね。それはもちろん介護職員としてだけではなく、一般市民としても同じ気持ちで受け入れてほしいと思います」
 
施設長の石井康治さん
 
撮影/葛谷舞子
文/本紙・佐々木和子
★『生活と自治』2024年10月号 「生活クラブ 夢の素描(デッサン)」を転載しました。
 
【2024年10月30日掲載】
 

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