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アジア姉妹会議25周年を記念し学習会を開催

生活クラブ連合会と台湾の主婦連盟生協、韓国の幸福中心生協連合会は、1999年に姉妹提携を結んで以来、お互いの活動を学び合う交流を続けています。2024年は25周年に当たり、生活クラブ連合会で学習会を開催。各単協から、会場とオンラインの合計で41人の参加がありました。

講師の牧島佐代子さん(左から2人目)と参加した横浜みなみ生活クラブのメンバーたち。右から2人目は、現在、アジア姉妹会議準備チーム座長の篠崎みさ子さん(生活クラブ神奈川・理事長)

協同組合と女性運動

2024年は、アジア姉妹提携25周年。11月1日に生活クラブ連合会で、アジア姉妹会議の意義を再確認しようと学習会を開催しました。講師をお願いしたのは、牧島佐代子さん。1996年より2000年まで生活クラブ神奈川の理事長を務め、1999年10月に三姉妹提携の受け皿として生活クラブ連合会に「女性委員会」が設立されてからは委員長として、2004年までアジア姉妹会議の活動をけん引しました。

韓台日の三姉妹に共通するのは、女性が主体となっていることです。韓国幸福中心生協の前身は、1987年に設立した女性民友会。家族、労働、社会の中での女性の権利、意思決定への女性の参加を主張してきました。1989年より生協事業を開始し、2000年には生協法人に。台湾主婦連盟生協の母体は、主婦連盟環境保護基金会。生活の質の向上、女性の権利、環境改善に女性自身が発言し、行動、解決しようと1987年設立されました。1992年より共同購入開始し、2001年生協法人化されました。

生活クラブは1990年代のはじめにそれぞれの団体と国際会議の場で出会いました。1999年の姉妹提携調印式終了後の会議では、「三者とも女性の具体的な社会活動として、協同組合をもっている。女性運動の有効な武器として、あらゆる協同組合の設立と発展のための相互協力と交流を行なう」と確認したと牧島さんは言います。

背景として、巨大な多国籍企業が主導するグローバル経済がありました。それに対抗し、「地域の特性を無視しない、女性や市民が統治するグローバル社会を発展させよう!」と三姉妹の会議を「アジア姉妹会議」と名付け、1年に1回は会う機会を設けることに決めました。台湾、韓国、日本を毎年順番に訪れ、組合員交流や生産者見学、施設の見学などで各々の活動への理解を深めました。また、文化交流やホームスティなどを通して、国を超えて個人と個人が女性として、人間としてふれあい、信頼関係を深め、互いの国の歴史や文化についての学習や交流が深まりました。

2017年アジア姉妹会議(台湾)での文化交流より

「私たちの協同組合の価値と原則」

2002年に北海道で開催したアジア姉妹会議後の協議では、「内的な交流の段階」から「外に向かった提案力」をつけて、アジアの女性による協同組合運動のネットワークづくりへと発展させることを確認しました。そのために実施されたのが、「私たちの協同組合の価値と原則」をめぐる議論です。これによって、自分たちのアイデンティティ、「私たちが望んでいる社会とは」「私たちは何を目標に活動するのか」「協同組合として何ができるか」を議論し、三姉妹たちが「私たちがめざす協同組合像」を明確にしていく。そして、そのことをもって、姉妹提携の意義を確認し、外に広めていく力にしたい。また、生活クラブにとっても、「私たちの協同組合の価値と原則」を組合員が議論することで、改めて自分たちのアイデンティティを明確にし、次代を担う組合員へのメッセージとしたいという意味も込めました。

世界中の協同組合が原則として採用している「協同組合のアイデンティティに関するICA声明」の原則に組合員活動を照らし合わせる作業をワークショップ形式で実施。また泊りがけの研修会やフォーラムなどを積み重ねて作り上げたのが、「私たちの協同組合の価値と原則」です。
*国際協同組合同盟
 

*グローカル:「グローバル」(=GLOBAL・地球的という意味)と「ローカル」(=LOCAL・地方的、地域的という意味)を掛け合わせた造語。「グローバルに考え、ローカルに行動する」という意味。

受け継がれる「協同組合の価値と原則ワークショップ」

連合女性委員会は2005年、「協同組合の価値と原則」を生活クラブの活動に引き寄せて考えた「協同組合の価値と原則ワークショップ」を考案しました。グループに分かれて「自分にとって生活クラブの活動といえばこれ」というものをひとつ選び、付箋紙に書きます。次にそれぞれのキーワードが「価値と原則」のどの項目に当てはまると思うかを考えます。こうして自分たちの日常の活動にどんな意味や意義があるのかを考えるのです。

2015年度の連合会組織改編により、女性委員会が担っていた機能が連合理事会に移行し、ワークショップも連合理事会に受け継がれました。生活クラブ東京では、いまもこのワークショップを組合員リーダーの研修などに活用しています。10月24日には「まち委員長」の全体研修で実施。その様子について多摩南生活クラブ理事長の椿多見子さんは、「しっかりしたマニュアルもあるので、ぜひ実践してほしい」と報告しました。
10月24日、生活クラブ東京での「協同組合の価値と原則ワークショップ」
 

積み上げてきた25年間、そしてこれから

牧島さんは現在、リユース・リサイクル、アジアの女性の自立支援に取り組む非営利団体「WE21ジャパンみなみ」の代表を務めています。WEはWomen's Empowerment(女性のエンパワメント)の略語です。「韓国や台湾において協同組合運動を推進する女性たちとの出会い、国内外における女性のポジションについての学び、女性たちのエンパワーメントと連帯などがいまの私につながっている」と牧島さん。学習会のこの日も、着物をリサイクルした洋服を着て参加しました。

参加した現役の組合員たちからは、「牧島さんが、女性がエンパワーメントしていくことが重要、アジアの女性たちの自立を目指すことが平和活動につながるとおっしゃっていたことが印象に残りました」「女性運動から始まったところから、現在に至るまで協同組合の意義を引き継がれていて、無くしてはいけない活動だなと思いました」「実際に交流してみたいと思いました。どのようなことを考え、どのような活動をしているのか、大変興味深いです」といった感想が寄せられました。
2025年には、アジア姉妹会議25周年を記念するイベントを台湾で開催する予定です。

2023年、東京で開催されたアジア姉妹会議
【2024年12月11日掲載】

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