東北の水産物を未来につなぐために!持続可能な漁業をすすめる「三陸のいま」


生活クラブでは、岩手県・宮城県の提携生産者がそれぞれの産地で水揚げされる水産物を通じて、長年にわたり関係を育んでいます。近年の気候危機により水揚げが不安定になるなか、生産者は三陸の魚介をもっと多くの組合員に食べてもらおうと、年間で供給できる消費材づくりに取り組んでいます。海の変化と向きあい、努力し続ける生産者の姿を、見ていきましょう。
温かい海水が流れ込み
三陸の海に異変が起きている
岩手県や宮城県にまたがる三陸海岸は、鮭やわかめなど、良質な水産物が多く水揚げされる好漁場の一つです。しかし近年、海の様子が変わりつつあります。三陸沖もほかの地域と同じく、かつてないほど海水温が上がり、冷水を好む天然の魚の漁獲量が減少。比較的安定して水揚げされていた養殖の魚介にまで影響が出ています。
この要因の一つに、「黒潮の流れ」が関係しているとされています。三陸沖は暖流の黒潮※1 と寒流の親潮※2 が流れ込む、複雑な海域です。海水温が高い黒潮は近年、大きく蛇行しながら、異常な動きをみせています。この結果、魚はより冷たい海水を求めて北へ移動。産地ではこれまで獲れた水産物の水揚げ量が減ったり、成育が遅れたりと、厳しい状況が続いています。
水揚げ量の減少だけでなく、人件費や光熱費、資材費などの経費も上昇しており、生産者の経営にも追い打ちをかけています。こうしたなか、岩手県と宮城県にある4つの生産者では工夫をしながら大切な資源を使って消費材をつくり、三陸の魚介をこれからも食べ続けてもらえるよう努力しています。
※1 黒潮は日本のはるか南からやってきて、日本の太平洋側を通り、千葉県の房総半島あたりまでおよぶ暖流のこと
※2 親潮は日本の北から流れてきて、岩手県の三陸海岸あたりまでおよぶ寒流のこと
この要因の一つに、「黒潮の流れ」が関係しているとされています。三陸沖は暖流の黒潮※1 と寒流の親潮※2 が流れ込む、複雑な海域です。海水温が高い黒潮は近年、大きく蛇行しながら、異常な動きをみせています。この結果、魚はより冷たい海水を求めて北へ移動。産地ではこれまで獲れた水産物の水揚げ量が減ったり、成育が遅れたりと、厳しい状況が続いています。
水揚げ量の減少だけでなく、人件費や光熱費、資材費などの経費も上昇しており、生産者の経営にも追い打ちをかけています。こうしたなか、岩手県と宮城県にある4つの生産者では工夫をしながら大切な資源を使って消費材をつくり、三陸の魚介をこれからも食べ続けてもらえるよう努力しています。
※1 黒潮は日本のはるか南からやってきて、日本の太平洋側を通り、千葉県の房総半島あたりまでおよぶ暖流のこと
※2 親潮は日本の北から流れてきて、岩手県の三陸海岸あたりまでおよぶ寒流のこと

資料:海上保安庁「海流推測図」より作成
産地の現状と三陸の未来に向けたメッセージ
岩手県宮古市 重茂(おもえ)漁業協同組合
<生産者メッセージ>
三陸産わかめ※の収穫量が減少する一方、働き手の高齢化による人手不足という課題も抱えています。課題の解決の希望となるのが「茎付きわかめ」です。消費材の「肉厚わかめ」の茎と葉をわける作業をなくすことで、加工の手間を軽減。実際におうちでカットしてみると、作業の様子がわかります。茎と葉の食感の違いも楽しめます。ぜひお試しください。
※宮城県と、重茂漁協がある岩手県が主産地のわかめ
<生産者メッセージ>
三陸産わかめ※の収穫量が減少する一方、働き手の高齢化による人手不足という課題も抱えています。課題の解決の希望となるのが「茎付きわかめ」です。消費材の「肉厚わかめ」の茎と葉をわける作業をなくすことで、加工の手間を軽減。実際におうちでカットしてみると、作業の様子がわかります。茎と葉の食感の違いも楽しめます。ぜひお試しください。
※宮城県と、重茂漁協がある岩手県が主産地のわかめ

両手を広げてもまだ長いわかめ。葉と茎のそれぞれのおいしさを楽しめます。

茎付きわかめ
宮城県東松島市 株式会社髙橋徳治商店
<生産者メッセージ>
私たちは、今は珍しい魚市場に自ら行く練りもの製造の生産者です。震災から14年経過し、見えてきたこの地の課題。心を閉ざした若者たちの居場所になればと無謀にも野菜加工場もつくりました。たった一人からでもいい、痛い思いをしてきたからこそ一緒に痛みを分かちあい、笑いあえる仲間を増やしたいんです。小さな強い思いが、この地から心に一筋の光となるように。
<生産者メッセージ>
私たちは、今は珍しい魚市場に自ら行く練りもの製造の生産者です。震災から14年経過し、見えてきたこの地の課題。心を閉ざした若者たちの居場所になればと無謀にも野菜加工場もつくりました。たった一人からでもいい、痛い思いをしてきたからこそ一緒に痛みを分かちあい、笑いあえる仲間を増やしたいんです。小さな強い思いが、この地から心に一筋の光となるように。

練り物に使われている野菜を加工している野菜加工場で働く仲間たち

パクパクなぎょっと(お魚ナゲット)
宮城県南三陸町 株式会社丸壽阿部商店
<生産者メッセージ>
海水温の上昇がかきの生育に影響を及ぼし、水揚げ時期も不安定になっています。三陸産生かきの収穫は秋から春で、長い夏の間は出荷がないことから、フライをはじめとする加工品や冷凍品づくりに取り組み、年間を通して供給できる工夫をしています。変化に向きあいながら海の恵みを活用した消費材を、これからもお届けします。
<生産者メッセージ>
海水温の上昇がかきの生育に影響を及ぼし、水揚げ時期も不安定になっています。三陸産生かきの収穫は秋から春で、長い夏の間は出荷がないことから、フライをはじめとする加工品や冷凍品づくりに取り組み、年間を通して供給できる工夫をしています。変化に向きあいながら海の恵みを活用した消費材を、これからもお届けします。

「生かき」の養殖漁業者と(株)丸壽阿部商店の阿部寿一さん(左)

生かき(宮城県産)
宮城県南三陸町 宮城県漁業協同組合
(生産者は全国漁業協同組合連合会)
<生産者メッセージ>
ぎんざけは、水温が20℃を超えると餌を食べなくなったり、酸欠状態になったりします。海水温上昇により海で育つ期間が短くなり、大きく育てるのが難しい状況です。そのため稚魚を大きく育てて放流したり、宮城県産飼料用米を約3%配合した餌を与えるなど、新たな試みも行なっています。品質のいい魚を安心して食べてもらえるよう、大事に育てて届けます。
(生産者は全国漁業協同組合連合会)
<生産者メッセージ>
ぎんざけは、水温が20℃を超えると餌を食べなくなったり、酸欠状態になったりします。海水温上昇により海で育つ期間が短くなり、大きく育てるのが難しい状況です。そのため稚魚を大きく育てて放流したり、宮城県産飼料用米を約3%配合した餌を与えるなど、新たな試みも行なっています。品質のいい魚を安心して食べてもらえるよう、大事に育てて届けます。

佐藤正浩部会長と戸倉銀鮭養殖部会のみなさん

生ぎんざけ切り身(骨取り)3切
持続可能な漁業を続けていくためにも、産地の状況や漁業者のたゆまぬ努力に想いを馳せながら、生産者から届く水産物を食卓に取り入れてみてください。
社会の存続をおびやかす危機への対策をすすめ、暮らしと未来を守ります
気候危機による影響などから、これまでと同じ方法で水産物を供給し続けることが難しくなっています。
地球の生態系を維持しながら、水産加工品をつくり食べ続けていけるよう、提携生産者が抱える課題にも取り組みながら、国内自給力のアップをめざしています。
気候危機による影響などから、これまでと同じ方法で水産物を供給し続けることが難しくなっています。
地球の生態系を維持しながら、水産加工品をつくり食べ続けていけるよう、提携生産者が抱える課題にも取り組みながら、国内自給力のアップをめざしています。

★生活クラブ食べるカタログ 2025年3月4回(12週)より転載しました。
【2025年3月10日掲載】