ゆるやかに継続、たすけあいの「コミュニティ」
地域の関係が希薄になった近年は、近隣の組合員がお互いの存在を知らないということがあるかもしれない。生活クラブ東京では第5次長期計画(2010~14年)で人のつながりを大切にした地域の再生を最優先課題とした。この課題はその後も引き継がれ、これまで組合員同士の顔の見える小さな集まり「コミュニティ」を各地で生み出してきた。24年8月末現在、四つのブロック生協合計で540のコミュニティが存在する。
小さな単位で点をつなぐ

防災クッキングの実演・試食をするコミュニティ(写真提供:まち・小金井)
生活クラブ東京の「コミュニティ」は、組合員によるたすけあいの基礎単位。行政区単位を基本とする組織「まち」のもとにある。意志ある人がコミュニティリーダーになり、近隣に住む班、個配、デポー組合員に声をかけて構成する。
個人化が進む社会の中で、地域の人のつながりをつくろう、まずは組合員同士の集まりをつくろうと、地域づくりの活動に着手した矢先の2011年、東日本大震災が発生した。災害発生時には、近隣住民のつながりがなければ被災者の状況が把握できず、必要な支援が行き届かない。当初中学校区をイメージしていたコミュニティの規模を20~40人の歩いて行ける範囲へと切り替え、組合員が集まるための手立てを模索した。
そこで、北東京生活クラブが実験的に行ったのが、緊急物資の受け取り訓練だった。通常の配達とは別にコースを編成。職員はコミュニティの拠点に共通の消費材を配達し、組合員は受け取りのため拠点に集まって安否確認するという組み立てだ。防災、減災への組合員の関心は高く、大勢の参加が得られたことから、他の三つのブロック生協もこの方法にならった。
けれど、現実に大きな自然災害が起きた場合、受け取り訓練がどこまで実効力を持つのだろうか。たすけあいネットワーク事業部長の高橋央治さんはこの点について「受け取り訓練によって、職員はコミュニティを知り、同時に、生協には緊急時に地域貢献できる設備やシステムがあるという自覚が生まれることが期待できます」と説明する。生活クラブには緊急事態による事業の停止を回避するBCP(ビジネス・コンティニュイティー・プラン)があり、その計画に沿って事業を再開することを最優先にするが、同時に職員がそうした意識を持つことは重要だ。
生活クラブ東京の「コミュニティ」は、組合員によるたすけあいの基礎単位。行政区単位を基本とする組織「まち」のもとにある。意志ある人がコミュニティリーダーになり、近隣に住む班、個配、デポー組合員に声をかけて構成する。
個人化が進む社会の中で、地域の人のつながりをつくろう、まずは組合員同士の集まりをつくろうと、地域づくりの活動に着手した矢先の2011年、東日本大震災が発生した。災害発生時には、近隣住民のつながりがなければ被災者の状況が把握できず、必要な支援が行き届かない。当初中学校区をイメージしていたコミュニティの規模を20~40人の歩いて行ける範囲へと切り替え、組合員が集まるための手立てを模索した。
そこで、北東京生活クラブが実験的に行ったのが、緊急物資の受け取り訓練だった。通常の配達とは別にコースを編成。職員はコミュニティの拠点に共通の消費材を配達し、組合員は受け取りのため拠点に集まって安否確認するという組み立てだ。防災、減災への組合員の関心は高く、大勢の参加が得られたことから、他の三つのブロック生協もこの方法にならった。
けれど、現実に大きな自然災害が起きた場合、受け取り訓練がどこまで実効力を持つのだろうか。たすけあいネットワーク事業部長の高橋央治さんはこの点について「受け取り訓練によって、職員はコミュニティを知り、同時に、生協には緊急時に地域貢献できる設備やシステムがあるという自覚が生まれることが期待できます」と説明する。生活クラブには緊急事態による事業の停止を回避するBCP(ビジネス・コンティニュイティー・プラン)があり、その計画に沿って事業を再開することを最優先にするが、同時に職員がそうした意識を持つことは重要だ。
助けてと言える関係を
「私たちは、防災コミュニティとはうたっていません」と言うのは生活クラブ東京副理事長の小寺浩子さん。「防災は一つのテーマ、集まるきっかけです。大切なのは、日常的につながっていることですから」と話す。
コミュニティの活動内容や予算はブロック生協ごとに異なる。また開始から13年を経て、受け取り訓練はコミュニティリーダーの意見を聞き取りながら、参加希望を募る、新規のコミュニティに限定するなど工夫されてきた。災害を意識した集まりのほか、地域福祉に関わる講座やたすけあい制度の学習会、省エネ講座など、独自の企画をしたり、地域の運動グループの活動拠点を活用するコミュニティも増えている。
コロナ禍で一時活動が停滞したものの、直接会うことの重要性を確認する機会にもなった。生産者交流会や学習会が次々に中止になる中、少人数なら集まることができるのではないかという声があがり、そこからコミュニティの活動が再開した。
コミュニティの活動内容や予算はブロック生協ごとに異なる。また開始から13年を経て、受け取り訓練はコミュニティリーダーの意見を聞き取りながら、参加希望を募る、新規のコミュニティに限定するなど工夫されてきた。災害を意識した集まりのほか、地域福祉に関わる講座やたすけあい制度の学習会、省エネ講座など、独自の企画をしたり、地域の運動グループの活動拠点を活用するコミュニティも増えている。
コロナ禍で一時活動が停滞したものの、直接会うことの重要性を確認する機会にもなった。生産者交流会や学習会が次々に中止になる中、少人数なら集まることができるのではないかという声があがり、そこからコミュニティの活動が再開した。
「デポーに行くならついでに買い物を頼みたいというように、コロナ禍においても顔の見えている人の間では『エッコロたすけあい制度』を使ったたすけあいが続いていました」と小寺さんは振り返る。梅や米の不作で欠品があった昨年は、SNSを活用し「漬けきれなかった梅があるから必要な人は使って」「予備があるからお米が届かなかった人は連絡して」など、制度によらないたすけあいもあったという。
「最近、育休中の方が近隣の組合員にお手紙を届けてつくったコミュニティがあります。若い世代は脱プラなど環境問題に関心があり、そうしたテーマで小さな集まりを持ちたいという人が現れてきています」と小寺さんは今後に期待する。「爆発的には増えていないし休止するコミュニティもある。そもそも関心がない方もいらっしゃいます。けれど、東京全体で500以上のコミュニティが存在することは、一つの成果といえるのではないでしょうか」
「最近、育休中の方が近隣の組合員にお手紙を届けてつくったコミュニティがあります。若い世代は脱プラなど環境問題に関心があり、そうしたテーマで小さな集まりを持ちたいという人が現れてきています」と小寺さんは今後に期待する。「爆発的には増えていないし休止するコミュニティもある。そもそも関心がない方もいらっしゃいます。けれど、東京全体で500以上のコミュニティが存在することは、一つの成果といえるのではないでしょうか」

生活クラブ東京副理事長の小寺浩子さん(写真提供:生活クラブ東京)
「リーダー募集!」というような呼びかけをする以上に、集まりを持ちたいと思う人が登場するきっかけをつくること、自発的でゆるやかであることが、コミュニティ継続の鍵を握っているようだ。
文/本紙・元木知子
★『生活と自治』2025年3月号 「生活クラブ 夢の素描(デッサン)」を転載しました。
【2025年3月30日掲載】