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産地と食べる人の声を国に届けよう! 6生協と生産者、農林水産省が意見交換

私たちの食料と農業を守るためにできることは?
―6生協が「『食料・農業・農村基本計画』に伴う意見交換会」を開催


これからの日本の農業政策の方向性をしめす「食料・農業・農村基本法」が2024年6月、25年ぶりに改正されました。
生活クラブ事業連合生活協同組合連合会(以下、生活クラブ連合会)をはじめ全国各地の6つの生協は、この法改正にもとづく基本計画の策定が目前に迫った2025年3月27日、「『食料・農業・農村基本計画』策定に伴う意見交換会」を衆議院第二議員会館とオンラインで同時開催しました。

現在、お米の安定供給が難しくなっている課題などをはじめ、農業を取り巻く環境は変化し続けています。「10年先も危うい」とされる日本の農業をどのようにして守っていくべきか、組合員や生産者たちの意見を、農林水産省や国会議員に直接訴えるのが目的です。

意見交換会に先立ち、6生協は共同で策定した提言を2月に農林水産省に提出。意見交換会はその提言に触れながらすすめ、各生協の組合員や生産者、農林水産省職員や国会議員など、オンライン参加を含め約270人が参加しました。

提言内容については最下部に記載しています

※生活クラブ事業連合生活協同組合連合会、東都生活協同組合、生活協同組合連合会コープ自然派事業連合、生活協同組合連合会アイチョイス、グリーンコープ生活協同組合連合会、パルシステム生活協同組合連合会

生産者が農業を続けられ、食料の自給ができる基盤整備を

開会にあたり、生活クラブ連合会の村上彰一会長が日本の農業の課題と、今回の提言の意図について説明しました。

生活クラブ連合会 村上彰一会長

「日本では多くの食料を他国からの輸入に依存しています。国際情勢が不安定な今、このままでは私たちの食料を調達できなくなるのではないかという危機感があります。その意味で、改正法の柱として、国民が安定して食料を得るための『食料安全保障』が据えられたのは必要なことでした。ただ、この改正法で果たして食料自給率を高めることができるのか、農業の担い手を維持できるのかという懸念から、今回の提言を共同提出しました。

昨年に引き続き、お米の供給状況は不安定です。政府の備蓄米がやっと放出されたものの、米価は上がり続けたまま。そもそもお米自体が足りず、提携する産地も需要に対応しきれていません。
このような事態は、もとをたどればお米の生産自体が減り、需要に供給が追いつかないために起きているのではないでしょうか。現在も田んぼを畑に変えるといった実質的な減反政策が行なわれていますが、こういう政策は見直すべきではないかと考えます。

私たち生協は、長年にわたり農業や漁業の現場と深く関わってきました。どこも担い手不足で、昨今の気候危機の対応も難しくきびしい状況です。そんな逆境においても、新規就農や後継者の方々が農業に携わってくれている産地もあります。その理由は、『消費者が食べて応援してくれて、苦しい時に支えてくれたから』だと言います。

ただ、この先も農業を続けていくには、生産者のみなさんの所得が確保されねばなりません。私たちの提言にぜひ理解を示してもらい、国の存立基盤である食料自給と農村の再生を実現するために、ともに協力していただきたいです」

生産物の価値に理解を深め、農業を守るための政策が必要

実際の生産現場では、どのようなことが起きているのでしょうか。生活クラブにお米を供給する山形県庄内地域の提携生産者、庄内みどり農業協同組合・遊佐町共同開発米部会事務局長の池田恒紀さんが産地の声を訴えました。
 
庄内みどり農業協同組合・遊佐町共同開発米部会事務局長
池田 恒紀さん

「私たちは約50年前から消費者である生活クラブの組合員と直接話しあいをし続け、お米の栽培時には化学合成農薬をできるだけ減らし、品種や栽培基準、契約数量まで一緒に決めています。
現在高騰が取りざたされているお米の価格についても、お米に付加価値を付けるような価格形成ではなく、組合員に生産原価をちゃんと見てもらい、ともにつくり食べ続けられるような価格を考えてきました。

現在、農林水産省や他省庁による、農業にかかわるスタートアップや大企業への集中的な後押しが行なわれています。こうした大企業が一部の農業者と組んでそこにお金が流れていくのは、少しうらやましく思えるところもありますが、その動きに上手く乗れるような生産者ばかりではありません。

農業は大切な仕事だと誰もがわかっています。しかし、いざ設備投資をして、家族や組織が食べていけるような価格で生産物をちゃんと買ってもらえているかというと、そうならないのが現実です。生産者には自分たちがつくった生産物の価格や価値を決める権利もないのです。

さいわい私たちは、組合員から生産物の価値を理解してもらい、農業を続けていけるような価格について話しあえる場を持っています。このような場をつくれる政策が今必要なのではないでしょうか。私たちもそのような政策とともに、生産と消費、都市と地方の距離をぐっと縮めていける活動を続けていきたいです」

消費するだけでなく、「持続可能な生産を考えるパートナー」になろう

続いて消費者の立場からの意見を伝えるために、6生協の組合員代表がそれぞれ登壇。
登壇者の1人、生活クラブ東京副理事長の豊崎千津美さんは、生産者への思いを込めて次のように話しました。
 
生活クラブ東京 副理事長
豊崎 千津美さん

「身近に畑や田んぼがあるのが当たり前だった時代は、生産物や家畜を育てる産地への理解がもっとあったはずです。しかし、今は生産と消費の場が離れてしまい、その価値がわからなくなってしまっているのではないでしょうか。
都市に住む私たち組合員は、産地にただ食料をつくってもらうだけでなく、持続可能な生産をするためにはどうしたらよいのかを考えるパートナーになる必要があります。

今回の提言の中で、特に次の3点を強くお願いしたいです。

1.  多くの国民に情報を開示し、生産や消費の意見を農政運営に適切に反映させる仕組みを構築してもらいたい
2.国民の命を守るために、苦境にある国内生産者を支援し、安心して農業を続けられる環境を整えることを最優先してもらいたい
3.国内生産の増大と食料自給力、自給率の向上、食料の安定供給に向けて農林水産関係の予算の大幅な増額を期待したい

2024年7月に山形県で起きた豪雨災害により、提携する庄内地域も被災しました。生活クラブの組合員や役職員が産地に入り、行政やJA、生産者と協力して物的・人的支援を行ないました。

この支援により、先ほどの遊佐町共同開発米部会の池田さんから、『もうお米の収穫はできないと思っていたけれど何とかできました。来年の米づくりを諦めかけていた生産者の力になり、さらに未来に向けてのメッセージになりました』との言葉をいただきました。
こういった言葉を聞くことができる関係にとても感謝しています。一人でも多くの人にこのことを伝えていきたいです」

ともに力を合わせ、産地を守り続けていく

生協と組合員、生産者がそれぞれ国に対し、農業と食料に対する危機感と提言の反映を訴えた意見交換会。
これからも生活クラブでは他生協と協力し、大切な食料を食べ、つくり続けていくため、生産者とともに産地を守る活動をすすめていきます。

「食料・農業・農村基本計画」策定に関する提言について(要約)

生活協同組合の6つのグループは、産直を通じて消費と生産をつなぎ、互いが助けあい、資源循環などによる持続可能な社会づくりを追求してきました。この数年で、食料・農業をめぐる状況は大きな変化を迎えています。このような時代における「食料・農業・農村基本法」の改正は、国内の農畜水産業を守り、食料自給率向上にむけて踏み出す大きな機会と捉えています。法改正にあたり、2024年3月にも農林水産省に提言を提出しました。
現在、食料・エネルギーの海外調達がいっそう困難になる中で、国内の農畜水産業の生産強化が大きな課題となっています。これから10年先の食料・農業・農村について、消費者団体の立場から新しい基本計画に対して意見を提言いたします。
1.食料自給率目標の明示と実現に向けた対策を求めます
(1)  農業の多面的機能を発揮し、脱炭素を推進するために食料自給率の向上が必要です
(2)  食料自給率向上に向けた抜本的な対策の強化を求めます
(3)  100%自給可能な水稲の生産基盤強化を求めます
(4)  食料自給率向上には担い手の確保が必要です

2.国内農業、生産者を保護するための適正な価格形成について
(1)  農業分野における財政支援を求めます
(2)  農業生産者と消費者が対立しない価格政策の実現を求めます
(3)  再生産可能な価格の設定と維持に向けた政策を求めます
(4)  農業生産現場における長時間労働、低収入から脱却できる仕組みづくりを求めます

3.環境保全型農業、みどりの食料システム戦略について
(1)  自然循環を生かした安全でおいしい食べものづくりの推進が必要です
(2)  環境への取り組みと、資源循環型農業(未利用資源の活用)の推進を求めます
(3)  みどりの食料システム戦略を農業政策に位置付けた持続可能な農業の推進を求めます
(4)  有機農業・環境保全型農業の推進と学校給食への活用を求めます

4.消費者の立場に立った食品安全などに関わる規制と表示、食料の安全確保の強化について
(1)  食品安全・食品表示に係る制度・政策について、食品表示法の基本理念に則って検討することを求めます
① 加工食品の原料原産地表示制度の見直しを求めます
② 遺伝子操作(遺伝子組換え、ゲノム編集)食品の表示制度の見直しを求めます

5.農村政策について
(1)  多様な農業形態、担い手の確保と気候風土に適った地域農業の育成を求めます
(2)  農村のインフラや環境の維持管理を行うための役割を担う人材の構築を求めます
(3)  関係人口を増やす都市と農村の交流や活動支援を求めます
(4)  家族農業への支援を求めます
【2025年5月7日掲載】

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