せっけんで未来の環境を守る

掲載日:2025年6月16日

暮らしで使う洗剤には「せっけん」と「合成洗剤」がありますが、生活クラブは「せっけん」のみを扱っています。
なぜ「せっけん」を取り組んでいるのか。
どんな良さがあるのか、一緒に見ていきましょう。

せっけんは分解されやすいから環境への負荷が小さい

天然の油脂とアルカリを原料とするせっけんの起源は、約5,000年前といわれています。せっけんは使用後に環境中に排出されると短時間で洗浄力（界面活性作用）を失い、大部分が水と二酸化炭素に分解されます。また、水道水の中に含まれるミネラル分と反応してできたせっけんカスは、水生生物のえさになります。自然に還る素材でできているので、川や海などの自然環境を守ることにもつながるのです。

このような考えから生活クラブでは、手洗いだけではなく、洗濯や洗髪、食器洗いなど、暮らしの“洗う”を支えるせっけん類を幅広く扱っています。

きっかけは「せっけん運動」　より環境にやさしい洗剤へ

1970年代、日本では合成洗剤による環境への影響や人体への影響がクローズアップされ、せっけんの使用を推し進める「せっけん運動」が全国に広がっていきました。
生活クラブでも合成洗剤を扱っていましたが、当時の組合員が「私たちは環境汚染の被害者であると同時に加害者でもある」と認識。1977年から合成洗剤の取組みをやめ、せっけん類のみの取組みが始まりました。

近年、主原料であるパーム油をめぐって森林破壊や人権問題が指摘されていることから、2022年には洗濯にかかわる3品目で原料の見直しを行ないました。原料の一部に国内の廃食用油由来のリサイクル脂肪酸を、プラ削減のため包材の一部にリサイクルPETを使用するなど、限りある資源の有効活用をすすめています。

せっけんの魅力を発信！

わかめ類の提携生産者・岩手県の重茂（おもえ）漁協では、1975年から合成洗剤追放運動をスタート。重茂地区の豊かな海と天然資源を守るため、今も変わらず「合成洗剤を使わない」という意思を表明し続けています。

重茂（おもえ）漁協をはじめ、生活クラブの多くの提携生産者が「せっけん運動」に賛同し、ともに活動しています。

生活クラブでは、せっけんの魅力を幅広い世代にも伝えたいとの考えから、日本大学芸術学部との産学連携プロジェクトを2023年に実施。この活動は広報ツールの制作を目的としたもので、学生たちは提携産地やせっけん工場を取材し、そこで得た学びをもとに動画やポスター、冊子を制作しました。組合員はそのツールを使って、地域でせっけんを広める活動を行なっています。

産学連携プロジェクトの仕上げとして、日本大学芸術学部の学生たちをはじめ、組合員や提携生産者が集まり、制作発表を行ないました。

水は地球からの借り物
未来のためにせっけんの利用を！

せっけんは、環境にも人にもやさしい洗剤です。特性をよく理解して使えば、汚れ落ちも良く、さまざまな場面で活躍します。

私たちが生活クラブと提携を開始したのは1973年。以来50年以上ともに歩み、さまざまな消費材を開発。生産者交流会などを通じて、せっけんの魅力をお伝えしてきました。

水は山から川へ、そして海へと流れていきます。その途中で私たちは水を使い、汚れと一緒に洗剤を流しています。最近は環境配慮も進んでいますが、合成洗剤の影響は目に見えにくい形で続いています。水は地球からの大切な借りもの。未来のためにも、せっけんを選んでいただけたらうれしいです。

初めて使う方には「固型せっけん」や「キッチン用液体せっけん」がおすすめです。シンプルな成分で、食器洗いから衣類の手洗い、住まいのお掃除まで、家中で大活躍します。