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[本の花束2026年5月]動物言語学で自然観を変えるシジュウカラの言葉が繋ぐ世界とは 東京大学 先端科学 技術研究センター准教授 鈴木俊貴さん

動物言語学で自然観を変えるシジュウカラの言葉が繋ぐ世界とは

シジュウカラの研究から鳥の言葉を解明し「動物言語学」を創設した鈴木俊貴さん。
人間中心の視点を捨て、対象の目線で観察・実験を重ねる重要性を説きます。
ネットやAIでは得られない発見の喜びと、新たな自然観について伺いました。


──本書を読んでから、野鳥の声を聞くと「何かしゃべっているのかな」と思うようになりました。

そう。本当にしゃべっているのです。動物が出すいろいろな声に「もしかしてしゃべっているんだろうか」と、誰しも考えたことがあると思います。ところが、それを科学的に証明した例は、意外とこれまでなかったのです。言葉は人間にしかないものだと、長年決めつけられてきましたから。

──言葉とはどんなものですか。
 
たとえば赤ちゃんが成長して「パパ」としゃべる。「パパ」という音でモノを示しているわけです。一方、動物の鳴き声は、笑い声や鳴き声のような単なる感情的なもので、言葉にはなっていないとされてきました。けれども、人間には人間の言葉があるように、鳥には鳥の言葉があるのです。そこには共通点もあるけれども、違いもあります。共通点と相違点、どちらも知ることが大切なのです。
 
──シジュウカラの観察から「ジャージャー」という声がヘビのことだとか、さらには二つの言葉を組み合わせる文法があることまで解明されました。
 
動物たちはお互い観察しています。たとえばシジュウカラの鳴き声を、周りにいるスズメやヤマガラも、ちゃんと理解できます。シジュウカラも、スズメとかヤマガラとか、種類の違う鳥たちの言葉を理解できる。お互い観察しているから会話ができるわけです。昔は人間もそれをやっていたと思います。でも、それをやめてしまい、自分たちが最も高度で、自分たちだけが言葉を持っていて、人間と自然という2つのカテゴリーにわけるのが正しいと思い込んで生きてきた。環境問題が解決されないのもわかりますよね。人間が自然の一部であることを見ていないのですから。
 
──提唱された「動物言語学」は世界中で注目されています。
 
動物言語学は、たとえば人間が動物たちの視点に立って、かれらの住んでいる世界に入って研究するアプローチ。鳥はどんな文法を使っているんだろう、鳥にとっての言葉ってなんだろうと、一つひとつ解き明かす。
この枠組みは実は新しいものでした。そしてこの研究をするうえで大事だったのは、「動物の鳴き声ってただの感情なんじゃないの?」といった反論に耐えうる証拠を残すことでした。
 
──さまざまな実験を工夫された場面は本のなかでも読みどころの一つです。
 
世界中の誰もやっていないくらいシジュウカラを観察し、誰もやったことのないような実験を重ねて論文を書いてきました。
それで世界中の研究者が納得してくれたのです。その歩みをつづったのが、初めて書いたこの本。読んだ子どもたちに「こんな研究をやってみたい」と思ってもらえたらうれしいですね。
 
──子どもの頃の経験は今の研究につながっていますか。
 
虫が大好きだった僕は、コガネグモがカブトムシを食べているのを見て「図鑑には『カブトムシは最強』と書いてあるのに」と疑問に思ったのです。母にそう伝えると「じゃあ自分で見つけたことを図鑑に書き加えてみたら」と言われて、それ以来、見つけたことを青いボールペンで書き込むようになりました。今も同じことを続けているような気がします。「動物たちはしゃべらない」というこれまでの常識を、研究によって書き変えていく。新しい自然の見方、自然観を世界に広めていければと思っています。
 
──AIの発達は、今後の研究に変化をもたらすでしょうか。

鳴き声を分類するなどの作業には役に立ちます。ただ、AIは基本的にはインターネット検索と似て、これまでわかっている情報を整理し、答えをみつけだすものです。誰も知らない世界に気づいて、そこから何かを発見するのは、人間にしかできません。僕は小さいころ、一日中バッタを探したり、川に入って魚を探したり、鳥を見たりしていました。現代では、すぐにインターネット検索して、納得してしまうことが多い。けれども実際に自然に入って見てみると、インターネットや本に書かれていないこと、わかっていないことがまだまだたくさんあるのだと気づかされます。観察しているだけでもワクワクするし、毎日が楽しくなります。

──野外での実体験が大切ですね。

鳥の言葉は、自然とのつながりを取り戻すきっかけになると思っています。シジュウカラは都会にもたくさんいる鳥。この本を読んだ後には、ぜひ外に出て探してもらえたらと思います。

 
インタビュー: 新田穂高
著者撮影:尾崎三朗
取材:2026年1月
イラスト:鈴木佳代子

●すずきとしたか/1983年、東京都生まれ。日本学術振興会特別研究員SPD、京都大学白眉センター特定助教などを経て現職。文部科学大臣表彰(若手科学者賞)、日本動物行動学会賞など受賞多数。シジュウカラに言語能力を発見し、動物たちの言語を解き明かす新しい学問、「動物言語学」を創設。本書が初の単著。

 
『僕には鳥の言葉がわかる』
●鈴木俊貴 著
●小学館(2025年1月)
●18.8×13.1cm/263頁
 
図書の共同購入カタログ『本の花束』2026年5月4回号の記事を転載しました。
 

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