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【連載】キタノチカラウシが食卓に届くまで ─第1回 牛のオスとメスの分岐点

【連載】キタノチカラウシが食卓に届くまで

ミルクを懸命に飲む子牛。生後3週間ほどですが、力強く食らいついてきます

生活クラブの牛肉「キタノチカラウシ」は、乳牛(ホルスタイン)のオスを育てた、肉の旨みがギュッと詰まった食べごたえのある赤身の牛肉です。飼育から加工までを提携生産者の北海道チクレン農業協同組合連合会(以下、チクレン)が一貫管理しています。
白と黒のホルスタインと言われると、思い浮かべるのは「牛乳」ではないでしょうか。ただ、乳を出すのはすべてメス牛です。それでは、生まれてくるオス牛はどうなるのか。チクレンの会員農協が運営する直営牧場であり、酪農と畜産の両方を担う北海道別海町のなかしゅんべつ未来牧場での取組みを紹介します。
撮影:日本大学芸術学部産学連携プロジェクト2025年

酪農と牛肉生産は一つの流れの中に

牛は妊娠・出産を経て、ようやく約10ヶ月の間、乳を出すようになります。酪農を続けていくためには、出産を重ねながら生乳を搾り続ける必要があります。

なかしゅんべつ未来牧場では、乳牛として育つメス牛だけでなく、オス牛も肉牛として育てています。やがて牛乳や牛肉として日々の食卓へ。酪農と牛肉生産は切り離されたものではなく、ひとつの流れの中にあります。

乳牛から生まれるオス牛を肉牛へ
乳牛の親からは、メスだけでなくオスの子牛も生まれます。メスは酪農家が乳牛へ、オスは畜産農家が肉牛として育てています。それぞれを利用することで、命を無駄にせず、酪農と牛肉生産の両方を支えています。

牛ファーストで大切に育てる

生産者の友貞義照さんは、「牛たちは人間の都合で生まれてくる。それなら責任は最後までとりたい」と話します。その言葉からは、生まれてきた命を無駄にせず、それぞれの価値を生かそうとする考え方が伝わってきます。

「牛に無理をさせない」ことを大切に、広大な自然に囲まれた環境の中、敷料を敷き詰めた牛舎で牛を飼育。牛舎は毎日清掃して清潔な状態を保ち、1頭1頭の体調に目を配り、食欲や表情の変化を見ながら丁寧に管理しています。出荷するまでの約19ヶ月間、牛ファーストで大切に育てるのです。
 
なかしゅんべつ未来牧場の友貞義照さん。愛情をかけて牛を育てています
牛の世話を体験する学生たち
 

 

こまめに清掃している牛舎。暑さに弱い牛のために、風通しを良くしています

命を無駄にせずに価値を生み出す

一般的に、乳用種であるホルスタインのオス牛は市場での価値が低いとされています。その背景には、日本では脂の多い霜降り肉が好まれる傾向があり、赤身肉でさっぱりとした肉質のホルスタインは評価されにくいのが実情です。

そうした中でも、なかしゅんべつ未来牧場では「オスが生まれてくる以上、誰かがやらなければならない」という思いでホルスタインのオス牛を引き受けています。そして愛情をかけて育て、おいしい牛肉という価値を生み出します。

牛たちに向きあう生産者の姿勢は生半可なものではありません。そうした人々に敬意を払いながらおいしく食べる。それは乳牛と肉牛をつなぐしくみを支え、さらに命を無駄にしないという選択を、日々の食卓で実践することでもあります。
(株)なかしゅんべつ未来牧場
日本有数の生乳生産地・北海道東部別海町にある、チクレンの会員農協が運営する直営牧場。肥育前の「素牛(もとうし)」を育成し、チクレンの肥育牧場へ供給する生産拠点で、赤身肉を安定的に生産・供給するうえで重要な役割を担っています。生乳の生産に加え、肉牛の育成・販売、新規就農をめざす酪農研修も実施。東京ドーム約61個分の広大な敷地で、約1,600頭の牛を飼育しています(2025年12月末現在)。

生活クラブ×日本大学芸術学部
生活クラブでは、2023年から日本大学芸術学部の学生と産学連携プロジェクトを実施しています。2025年のテーマは「国内自給」。生活クラブの牛肉の生産者・チクレンと畜産農家のもとで、学生たちが取材した牛肉づくりの現場について、全4回でお届けします(一部抜粋)。
★『生活クラブOPINION 』 2026年6月3回(24週) 掲載記事を転載しました。
【2026年6月1日掲載】
 

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