【新役員に聞く!】混迷の時代に掲げる「共生と非戦」とは?
ロシアによるウクライナ侵攻、パレスチナの現状、アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃……世界各地の戦闘で、罪のない市民が犠牲になっている。一方、国内に目を向ければ、ヘイトスピーチなどの排外主義的な動きが広がっている。私たちは、どう考えるべきか。去る6月29日、第37回通常総会において生活クラブ連合会(東京都新宿区)の会長に就任した柳下信宏さんに聞いた。
常に人々の側に立つ

生活クラブ連合会会長・柳下信宏さん
――生活クラブの方針を定めた『生活クラブ連合憲章』(P35参照)に「共生と非戦」とあります。生活クラブの活動とどう関係しているのでしょうか。
私たちは、誰もが幸せに暮らしたいと願っています。自分の生き方は自分で決めたい、誰かに強制されたくない、ましてや暴力を受けたくないと思っています。しかし、今、ウクライナで、ガザで、イランで、世界各地で、大勢の人々が傷つき、極限状態の中で暮らしています。みな同じ人間なのに、です。そんなことは、許されないでしょう。その国で暮らす人々の暮らしは、国家に大きな影響を受けます。しかし、人々の暮らしと国家の利益は必ずしも一致しません。人々の権利を守るのが国家の役割のはずなのに、自衛のため、国益のためと、理屈をつけながら戦争が行われています。そして、いつも傷つくのは人々です。生活クラブをはじめとする協同組合は、常に人々の側に立ちます。協同組合を運営するのは一人一人の組合員であり、それはすなわち、市民だからです。いのちと暮らし、そして人権を大切に考えるためにあるのが協同組合ですから、人々は共に生き、決して戦わない「共生と非戦」以外に選択肢はありません。
――一方、国内に目を向けると、「自分たちの暮らしを守るため」という理由で、外国にルーツがある人々を受け入れるべきではないという声が少なくありません。
日本には、日本以外にルーツがある人々がたくさん暮らしています。生活クラブ連合会がある新宿で働いていると、観光客を含めて、さまざまな人々と出会います。日本に住むのは、日本国籍を取得している人だけではありませんし、第1次産業や介護の現場などは、外国籍の方や日本以外にルーツのある方の労働なくしては成り立ちません。生活クラブの共同購入も成立しないのです。また、留学生のみなさんが、卒業後、日本で働いたとしても、出身国に帰られたとしても、日本との良好な関係が築かれていくという意味で、日本社会にとって大きなプラスです。文化的に異なる背景を持つ人と暮らすとき、さまざまな衝突が起こるのは当たり前のことです。それでも共存していくことが大切なのです。例えば、最近、よく耳にする「日本人ファースト」という言葉は、ファースト、セカンド、サードと人々に順位をつけ、分断していくことになりかねません。日本で生活する人々の国籍を問わず、弱い人から順に人権を奪っていくことにつながると、強く危惧します。
人間が主役の経済を
――生活クラブで扱う品は、すべて「商品」ではなく、「消費材」と呼びます。「消費材」の考え方と「共生と非戦」の考え方は、どう結びつきますか。
生活クラブは、「売って利益を得る」ためではなく、組合員自身が消費する(使う)ために、必要なものを生産者につくってもらい、みんなで購入しています。「消費するための材」という意味を込めて「消費材」と呼んでいるのです。消費材が大切にする食の安全性の追求とは、単に安全なものを選んで食べることだけではありません。つくる人、運ぶ人、消費者など、携わる人たちすべてが、人間らしく働き、生きていける社会の追求でもあるのです。これは、戦争や平和の問題と根っこでつながっています。この点は、生活クラブだけではなく、日本の生協全体が、平和活動に取り組んできた理由でもあります。昨年、日本生活協同組合連合会(日本生協連)が発した「2025年 わたしたちの平和宣言」をぜひ、お読みください(※)。およそ80年前は、日本も戦争をしていました。なぜ戦争が起こり、止められなかったのか。二度と戦争を起こさないためには何が必要なのか。あの悲惨な戦争を含め、人間が人間らしく生きることを拒むような政治、経済、社会のあり方に対して異議を申し立て、仲間を広げながら活動してきたのが生活クラブです。
私たちは資本主義社会に生きています。資本主義とは、お金を中心に経済が回っていく仕組みです。ただ、利潤を優先するあまり、水俣病などの公害に象徴される環境破壊や人権侵害が起きた歴史から、利潤優先だけでは資本主義社会も成り立たないという理解が広がってきました。そのため、近年はSDGsの取り組みやビジネスの場面で人権侵害がないよう配慮する取り組みが社会的要請になっています。一方で、気候危機などの明確な危機が目の前にあるにもかかわらず、化石燃料や原子力に依存し続ける現状があります。このように、お金もうけできればよい、自分だけよければよい、今さえよければよいという風潮に対する実現可能な代替案として、生活クラブ連合憲章では「社会的連帯経済」を広げることを掲げています。「社会的連帯経済」とは、社会を構成するみんなのために、連帯してよりよい社会をつくっていく、新しい経済のあり方です。連合憲章では、お金ではなく、人間が主役の経済を実践していくと、宣言しているのです。
日本生活協同組合連合会が発した「2025年 わたしたちの平和宣言」はこちら
https://jccu.coop/activity/future/pdf/heiwasengen2025.pdf
生活クラブは、「売って利益を得る」ためではなく、組合員自身が消費する(使う)ために、必要なものを生産者につくってもらい、みんなで購入しています。「消費するための材」という意味を込めて「消費材」と呼んでいるのです。消費材が大切にする食の安全性の追求とは、単に安全なものを選んで食べることだけではありません。つくる人、運ぶ人、消費者など、携わる人たちすべてが、人間らしく働き、生きていける社会の追求でもあるのです。これは、戦争や平和の問題と根っこでつながっています。この点は、生活クラブだけではなく、日本の生協全体が、平和活動に取り組んできた理由でもあります。昨年、日本生活協同組合連合会(日本生協連)が発した「2025年 わたしたちの平和宣言」をぜひ、お読みください(※)。およそ80年前は、日本も戦争をしていました。なぜ戦争が起こり、止められなかったのか。二度と戦争を起こさないためには何が必要なのか。あの悲惨な戦争を含め、人間が人間らしく生きることを拒むような政治、経済、社会のあり方に対して異議を申し立て、仲間を広げながら活動してきたのが生活クラブです。
私たちは資本主義社会に生きています。資本主義とは、お金を中心に経済が回っていく仕組みです。ただ、利潤を優先するあまり、水俣病などの公害に象徴される環境破壊や人権侵害が起きた歴史から、利潤優先だけでは資本主義社会も成り立たないという理解が広がってきました。そのため、近年はSDGsの取り組みやビジネスの場面で人権侵害がないよう配慮する取り組みが社会的要請になっています。一方で、気候危機などの明確な危機が目の前にあるにもかかわらず、化石燃料や原子力に依存し続ける現状があります。このように、お金もうけできればよい、自分だけよければよい、今さえよければよいという風潮に対する実現可能な代替案として、生活クラブ連合憲章では「社会的連帯経済」を広げることを掲げています。「社会的連帯経済」とは、社会を構成するみんなのために、連帯してよりよい社会をつくっていく、新しい経済のあり方です。連合憲章では、お金ではなく、人間が主役の経済を実践していくと、宣言しているのです。
日本生活協同組合連合会が発した「2025年 わたしたちの平和宣言」はこちら
https://jccu.coop/activity/future/pdf/heiwasengen2025.pdf
生活クラブ連合憲章
生活クラブは、「生活」に根ざして “自ら考え、自ら行動する” 市民が集う「クラブ」として1965年に創立されました。以来、消費者を排除した市場経済のあり方に異議を申し立て、消費者自らが生産・流通に参画する運動と事業を提案・実行してきました。
グローバリズムと競争原理のもと、格差・孤立がかつてない速度と規模で進行しています。しかし、人々は、それでも希望を捨てることなく、それぞれの地域で、また、国際連帯を通じて問題解決に挑み続けています。このような状況のなか、協同組合をはじめとする非営利・協同セクターが果たすべき役割への人々の期待は、世界的に高まっています。経済成長による利潤の追求ではなく、民主的な運営により、人が支え合い分かち合う “社会的連帯経済*” を地域にひろげ、持続可能な地域社会づくりに取り組んでいきます。そして、必要な機能を共有・発揮することで、以下のとおり行動します。
一.生活クラブ連合会は、安全・健康・環境ならびに協同を生活価値として捉え、その向上・改善を図り、経済的・社会的な発言力・影響力を発揮します。
一.生活クラブ連合会は、組合員主権にもとづいて運営される生活クラブの会員生協が自立と連帯の立場で連合し、あらゆる人の生活の豊かさを実現する「サステイナブル(持続可能)で民主的な経済・社会モデル」を提起し実践します。
一.生活クラブ連合会は、経済・社会・文化の基盤となる平和と環境を守るため、常に共生と非戦の立場を貫きます。
1989年 創立総会決定
2023年 第34回通常総会改訂
*社会的連帯経済:営利を目的とせずに、相互扶助や協働をベースとし、人間の関係性や自然との共生を大事にして行われる経済活動
撮影・小澤晶子
文/本紙・山本 塁
文/本紙・山本 塁
★『生活と自治』2026年8月号 「生活クラブ 夢の素描(デッサン)」を転載しました。
【2026年8月28日掲載】
ニュース記事、読みもの記事は、掲載時点の情報に基づいて制作しています。掲載後の状況の変化により、記事内で紹介している内容が現在の状況と異なる場合があります。掲載から時間が経った記事をお読みになる際は、あらかじめご留意ください。
生活クラブをはじめませんか?
42万人が選ぶ安心食材の宅配生協です
新規加入で値引き&クーポンプレゼント
