「森のコーヒー」の産地を訪問 ブラジル視察報告

30年以上にわたり「森のコーヒー」を生産しているジョン・ネットさん
「長い間、私のコーヒーを飲み続けてくれて本当にうれしい。ぜひ、感謝の気持ちをみなさんに伝えてください」
満面の笑みで話すのは、「森のコーヒー」生産者のジョン・ネットさんです。
2026年7月、提携生産者・日東珈琲株式会社のみなさんとともに、生活クラブの人気消費材「森のコーヒー」の原料豆を生産するブラジルの「サント・アントニオ農園」と「ドゥトラ農園」を訪問しました。
「長い間、私のコーヒーを飲み続けてくれて本当にうれしい。ぜひ、感謝の気持ちをみなさんに伝えてください」
満面の笑みで話すのは、「森のコーヒー」生産者のジョン・ネットさんです。
2026年7月、提携生産者・日東珈琲株式会社のみなさんとともに、生活クラブの人気消費材「森のコーヒー」の原料豆を生産するブラジルの「サント・アントニオ農園」と「ドゥトラ農園」を訪問しました。
自然の力で育てるコーヒー
生活クラブは国産を大切にしていますが、コーヒー豆のように国内での生産が難しいものもあります。「輸入品でも栽培方法やつくる人が分かるコーヒーが飲みたい」という組合員の思いがきっかけで、日東珈琲を通して出会ったのがジョンさんです。
サンパウロ州で代々続くサント・アントニオ農園の農園主であるジョンさんは、ずっと以前は農薬や化学肥料も使ってコーヒーを育てていました。しかし、繰り返し農薬を使うことに疑問を抱き、1990年に農薬の使用をやめ、さらに肥料も使わず太陽の光と雨と土の力だけで育てる農法に切り替えました。当初は雑草がはびこるなどの苦労がありましたが、牛や馬を放し飼いにしたり、農学者の助言を採り入れてコーヒー以外の様々な木を植え、森を豊かにしたところ次第にうまくいくようになりました。
サンパウロ州で代々続くサント・アントニオ農園の農園主であるジョンさんは、ずっと以前は農薬や化学肥料も使ってコーヒーを育てていました。しかし、繰り返し農薬を使うことに疑問を抱き、1990年に農薬の使用をやめ、さらに肥料も使わず太陽の光と雨と土の力だけで育てる農法に切り替えました。当初は雑草がはびこるなどの苦労がありましたが、牛や馬を放し飼いにしたり、農学者の助言を採り入れてコーヒー以外の様々な木を植え、森を豊かにしたところ次第にうまくいくようになりました。

ジョンさんが育てた森の明るい日陰で育つコーヒーの木
気候変動に柔軟に向き合う
ジョンさんはコーヒーの木を人間の都合に合わせようとしません。一般的な農園のように、作業性のために木を一直線に植えたり枝を剪定したりせず、収穫方法も完熟して自然に落ちた実を拾うなど、独自の方法で育ててきました。しかし、これまではその方法で十分な収穫量がありましたが、2023年から干ばつや局地的な大雨、乾季の雨などに見舞われ、サント・アントニオ農園でもコーヒー豆の品質が悪化し収穫量も激減しました。
ジョンさんは農法を少し見直し、有機肥料の材料に放し飼いの家畜の排せつ物だけでなく、コーヒー豆を取り出したあとの果肉や外皮も使うことにしました。養分だけでなく保水効果が期待できるからです。また、収穫期に雨が降るようになったので、落ちた実を拾うのではなく、赤や黄色に完熟した実を手で摘む方法に変え、干ばつや病気に強い品種のタネも蒔き始めました。
「今も毎日自然から学んでいます。そして私が学び実践してきたことを、一緒に働く娘や農園の仲間に伝えていきたいのです」と、ジョンさんは力強く語りました。
ジョンさんは農法を少し見直し、有機肥料の材料に放し飼いの家畜の排せつ物だけでなく、コーヒー豆を取り出したあとの果肉や外皮も使うことにしました。養分だけでなく保水効果が期待できるからです。また、収穫期に雨が降るようになったので、落ちた実を拾うのではなく、赤や黄色に完熟した実を手で摘む方法に変え、干ばつや病気に強い品種のタネも蒔き始めました。
「今も毎日自然から学んでいます。そして私が学び実践してきたことを、一緒に働く娘や農園の仲間に伝えていきたいのです」と、ジョンさんは力強く語りました。

「自然のバランスが変わってきているのを感じる」と話すジョンさん
環境に配慮した山岳地帯の農園
サント・アントニオ農園の不作を受け、「森のコーヒー」は2026年3月から指定農園を増やしました。今回はその1つであるドゥトラ農園を初めて訪ねました。ミナスジェライス州東部、マッタス・デ・ミナス地域の標高1,000~1,400メートルの山岳地帯にあるドゥトラ農園は、総面積1,000ヘクタール以上、その約3分の2にコーヒーの木を植えています。エジニルソンさんとヴァルテルさんの兄弟を中心にドゥトラ一家が経営する農園は、自然林を多く残し、太陽光発電にも取り組むなど、環境に配慮した農業を行なっています。

兄のエジニルソンさん(右)と弟のヴァルテルさん(左)。日東珈琲の長谷川勝彦社長(中央)は、毎年産地を訪れて生産状況を確認している
豊かな生態系が育む品質
ドゥトラ農園は有機JAS認証を取得し、味や品質が非常に優れた「スペシャルティコーヒー」と呼ばれるコーヒーを生産しています。エジニルソンさんは有機認証を取得した理由をこのように語ってくれました。
「もちろん需要があったからですが、自分たち自身がオーガニックの食べ物が好きなことと、将来、子どもたちに農園を引き継ぐ際に、『いい農園』を手渡したいという思いがありました。認証は取っていなかったものの父の代も同様の農法でしたから、標高の高さも含めてここは有機栽培に向いているのだと思います」
広大な農園には自然林とコーヒーの木を植えた部分がモザイク状に存在します。自然林以外にもアボカドなどのさまざまな樹木が植えられ、多くの生き物が生息します。昆虫やクモ、多様な鳥が飛び交い、生態系の豊かさを実感できる農園でした。
「もちろん需要があったからですが、自分たち自身がオーガニックの食べ物が好きなことと、将来、子どもたちに農園を引き継ぐ際に、『いい農園』を手渡したいという思いがありました。認証は取っていなかったものの父の代も同様の農法でしたから、標高の高さも含めてここは有機栽培に向いているのだと思います」
広大な農園には自然林とコーヒーの木を植えた部分がモザイク状に存在します。自然林以外にもアボカドなどのさまざまな樹木が植えられ、多くの生き物が生息します。昆虫やクモ、多様な鳥が飛び交い、生態系の豊かさを実感できる農園でした。

完熟したコーヒーの実を好んで食べる「ジャクー」は、キジほどの大きさ
1杯のコーヒーの可能性

暑さや病虫害でアラビカ種の栽培適地が減り、コーヒー豆の価格が高騰したり入手できなくなったりする懸念が、「コーヒーの2050年問題」です。生活クラブが日東珈琲を通して取り組んでいるのは、自然林を多く残すなど、環境負荷に配慮した農園ばかりですが、ブラジル全体では平地を中心に森を伐採してプランテーションをつくり、降り注ぐ陽光の下で農薬と化学肥料を大量に使うコーヒー栽培が主流です。この「森林伐採型」の農法でブラジルは世界一のコーヒー生産国になりましたが、その結果、気候危機の加速や生物多様性の喪失、土壌の劣化、水質の汚染などにもつながっているといえます。
コーヒーの木は元々森の木陰に自生していた植物で、本来は森と共生できる作物です。「森林共生型」の農法でつくられたコーヒー豆は生物多様性や土壌の豊かさを保ち、ゆっくり熟すため味がよいといわれています。しかし、世界のコーヒー栽培の75パーセントは森林伐採型で行なわれており、森林共生型の栽培面積は全体の25パーセント以下というのが実情です。
コーヒーは世界中で毎日20億杯も飲まれています。もし、それがすべて森林共生型になれば世界は変わるかもしれません。カップ一杯の「森のコーヒー」の向こうには、約0.2平方メートルの森があります。森と共生するおいしいコーヒーを選んでみませんか。


森林共生型の農園で育つコーヒー(ドゥトラ農園)
【2026年9月4日掲載】
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