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手話を通じて地域とつながる「手の和」(横浜みなみ)

【連載】つながりづくり助成


地域のつながりや支え合いをつくるための「つながりづくり助成」。
各地で元気に展開している団体の活動をレポートします。
 

生活クラブステーションSEYA

せやデポーでは、レジの奥の一画で12名ほどが集まり、時おり笑い声が響く和やかな雰囲気で手話の練習をしている皆さんの姿がありました。

つながりづくり助成の2024年度第1回助成団体の「手の和て わ」の取材に伺った日は、月に一度の手話講座が開かれる日でした。
せやデポーの中に「生活クラブステーションSEYA」はあります。
 
デポーの外から見えるように看板が設置されています。
理事の尾野恵里さんは「ここが『生活クラブステーションSEYA』なんです。午前中は瀬谷コモンズの出資金在高確認集会(組合員が自身の積み立てている出資金の現在の在高(金額)を確認)もここで行ないました。直接顔を合わせてお話したいと思って来てもらっています」と。
ステーションSEYAの様子(取材日の午前中)
 
ステーションSEYAの様子(取材日の午後)「手の和」の手話講座
生活クラブステーションとは、生活クラブ神奈川の独自のしくみで、週に1度所定の曜日に、注文品を受け取る拠点ですが、その他にも、イベントを開催するなど、組合員のコミュニティの場としても活用されています。

横浜みなみ生活クラブの金子篤専務によると、「横浜みなみ生活クラブでは、4か所のステーションがあります。生活クラブステーションSEYAはせやデポー内にありますが、一軒家、マンションのテナントを借りて、生活館など、地域ごとにステーションを運営しています。注文品受け取りは4か所のステーションで100人ほどが利用しています。また、活動の拠点として活用されています」とのことでした。

「ろうあ者とのコミュニケーションをとりたい!」という思いから「手の和」設立へ

明るく来た人に話しかけてくれる瀬谷コモンズ運営委員長の細川初枝さんに、「手の和」設立のきっかけを伺いました。

「この生活クラブステーションSEYAは、組合員の居場所としても活用することが目的でしたが、ろうあ者の家族がいる組合員がいたことがきっかけでした。コミュニケーションが取れたらいいなと思ったんです。災害時に『危ない』『逃げて』『大丈夫ですか』『手伝います』と手話で伝えられたら、少しでも力になれるかもしれないと考えました。また、他団体で手話推進活動をしている組合員がいて、講師になってもらえることになったので、コモンズで一緒に活動してきた組合員10名ほどで『手の和』を設立することにしました」と時々手話をまじえながら、話してくれます。
「手の和」発起人の細川初枝さん
 
「手の和」立ち上げメンバーの佐々木由美子さん(左)と羽山孝子さん(右)
また、細川さんは「行政(神奈川県)から取り寄せた、手話を学ぶための冊子を手引きにしながら学んでいます。手話講座の参加者は、固定メンバーは5名ほど、そのほか毎月ではないけれど参加するのが毎回5名前後、せやデポーの組合員やデポーのワーカーズメンバーも参加することもあります」と手話講座の様子を話してくれました。

地域たすけあいコーディネーターが、つながりづくり助成申請時の力に

横浜みなみ生活クラブの地域たすけあいコーディネーターの佐瀬亜美さんにお話を伺いました。佐瀬さんは、横浜みなみエリアにおけるたすけあいに関わる組合員活動のサポートを行なっています。そのひとつとして「手の和」のサポートをしてきました。

佐瀬さんは「活動の立ち上げ支援や相談対応、助成金申請のサポートなどを行なっています。神奈川県や横浜市、社会福祉協議会などの助成制度を活用し、備品購入や広報活動、運営体制の整備などを支援しています。活動を始めたいという思いがあっても、制度や手続きが分からず一歩を踏み出せないという人もいますので、そういう方に寄り添ってサポートできればと」と話します。

尾野恵里理事(左)と地域たすけあいコーディネーターの佐瀬亜美さん(右)

尾野理事は「佐瀬さんに来てもらって、相談させて頂いていました。助成金の申請など分からないことが多いので、本当に助かりました」と振り返ります。

細川さんは「私も、こんな風にしたいというのを話して、相談させてもらって心強い存在です」と。

佐瀬さんは「手の和」の立ち上げ時について「私自身、地域たすけあいコーディネーターになったばかりで、助成制度を理解するのに苦労しましたが、たくさんの資料を読み込み、説明に臨みました」と、苦労も思い出話として笑顔で話してくれました。

「つながりづくり助成」を活用しました

2024年度第1回のつながりづくり助成金は、広報のためのチラシ印刷費、看板やひざかけ等の購入に使用されました。「デポーの鮮魚コーナーの隣なので、ずっと座っていると夏でも寒い時があるので、ストーブやひざかけを購入することができ、助かっています」と尾野さん。手の和の看板は、デポーの外から見えるように設置されています。
つながりづくり助成の助成金で購入した備品
 
つながりづくり助成の助成金で印刷したチラシ。デポー周辺エリアに配布しました。

手話サークル「手の和」講座の様子

この日の講師、安蔵富江さんを囲んで12名が集まりました。安蔵さんがみんなの「私の名前を手話でやると?」に答えながらなごやかに進みます。しかし時折「それだと違う意味になるから、クセがつく前に直してね」と厳しく指導もあり、参加者の覚えようと真剣な表情も伺えました。

講座の中で安蔵さんが、ご自身が手話を始めるきっかけのお話もされていました。「阪神淡路大震災で、ろうあ者の被災者に、必要なものは何か、などを聞いて手伝いをしたかったの。物資の支援は足りてきたころは、やはりお金があると何かと助かると寄付を募る活動をしてきました。30年経って、役目をそろそろ終えることになったけれど、仲間たちと集まって話すのは楽しいから、と続けていますよ」と。

その後、手話で唱歌「ふるさと」や歌謡曲「また逢う日まで」の練習に続きます。
手の和 手話講座1
 
手の和 手話講座2
細川さんは「『愛してる』ってなかなか言えないけど、手話だと言えちゃうわね~」と場を和ませてくれていて、メンバーの楽しそうな雰囲気に、買い物に来た組合員も気になっている様子。「手話は表情が大事よ」と安蔵さんからアドバイスもありました。

「あいうえお」など50音、濁音、半濁音も冊子も活用しながら復習したり、あっという間に一時間半が過ぎてしまいました。

組合員、地域との交流の広がり

手の和での活動の中で、これまで面識のなかった組合員同士のつながりができた、地域の福祉施設とのつながりもできた、というお話を聞くことができました。

つながりづくり助成を活用して作ったチラシを配布し、それを見て参加し始めた組合員の横井さんは、「手話の本を持っていたのですが、自分だけではなかなか進まなくて、チラシを見てよい機会かなと思って参加し始めました。毎回参加できるわけではないのですが、メンバーの皆さん楽しいかたなので、癒しにもなっています」と言います。

細川さんからは「デポーでのワークにろうの方もいて、手話であいさつできるのが嬉しいんですよね。デポーの端と端にいても会話ができちゃいます」とのこと。

また、「手話サークルがきっかけで、デポーの裏手に、精神障害のかたが活動している作業所『ステーション』(たまたま同じ名前です)があって、制作されたバッグなどをこの生活クラブステーションSEYAで販売し、売り上金はお渡しするというつながりもできました」とも。
ステーションSEYAでの販売の様子
 
作業所「ステーション」でのバッグ制作の様子も見せて頂きました。
最後に尾野理事からは、「つながりづくり助成があったおかげで、新しい取り組みの後押しとなり、地域のつながりの一歩を踏み出すことができました。今後は地域生協の中でも情報共有をすすめて、さらなるつながりを作っていくこと、また地域にも開かれたものになって、普段からコミュニケーションを取れたり、災害など何かあった時にたすけあえるようなつながりが広がるよう、活動していきたいです」と展望を語っていただきました。

2025年9月、瀬谷コモンズ運営委員会主催の「秋の拡大まつり」の様子。「手の和」からは組合員が寄付してくれたタオルで細川さんが手作りした雑巾や子供服のバザーを行い、活動費を集めました。作業所「ステーション」と、もう一つの作業所「わくわくワーク」で制作された物品の販売を行ないました。
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